1年たって 緊急入院した時の状況(3)
個室への移動は、長期入院を考えると金銭的負担増はあったが結果的には良かったと思う。妻のトイレ問題も解決した。やはり、他の入院患者やその見舞い客がいる前でトイレする気にはならなかったらしい。とはいえ、個室に移動しても結局便秘気味には違いなかったようだった。トイレ問題以上にその後の経過とその対応が問題だった。数日を経てその後も子宮口はどんどん広がり、定期的なお腹のハリがでてきていた。陣痛だった。陣痛の間隔が10分間隔になった時に妻から電話があった。(病院内のため携帯電話は不可が原則だが、個室に入ったために携帯電話を使っていても分からない状態だった。病院も見逃してくれていたらしい。)妻 「もう生まれてしまうかもしれないって。この病院だと助からないけど、別の病院に転院すれば助けられるかもしれない。だけど…障害を持ってしまうかもしれないって。どうしようか。病院に来て欲しいんだけど。」夜も遅くなってカズの就寝時間になっていたが、カズは妻の母に任せて病院に駆け付けた。病室で、妻と一緒にいる場で主治医の先生と話をした。「このまま生まれても、この病院では対処しません。対処しなければ、数秒の命でしょう。24週まで持てば、30週以下でも受け入れてくれる病院があるので、24週まで待って他の病院への転院することができますが、今の状態では受け入れてくれません。今の状態で赤ちゃんが生まれるようなことになれば、その子は一生病院からでれないでしょう。ご両親のその覚悟はありますか?もしどうしてもということであれば受け入れてくれる病院を探します。但し、受入れてくれる病院があるかどうかは分かりません。また、転院は救急車で搬送しますが、どうしても振動があるので陣痛が進む可能性があります。どうしますか?」と言われました。その場で決めることは出来ず、「相談させて欲しい」ことだけかろうじて伝えました。妻と相談しても決めることはできず、電話でお互いの両親に現状と意見を聞きました。そして、私達夫婦は「病院からでれないとしても、障がいがのこってしまうとしても、この子は笑えるような日が来ると思いますか?」と言う質問を主治医にした。担当医「・・・。今の週数では肺ができておらず、呼吸器をつけることになります。呼吸器は管を入れますが、痛みを伴うので麻酔をかけることになると思います。少なくとも、呼吸器はつけっぱなしになると思うので、ずっと眠り続けることになるでしょう」この言葉を聞いて涙がでてしまいました。そして、私「直ぐに転院はしなくて良いです。今直ぐ生まれることになっても、処置できなくていいです。但し、この病院でできるベストをお願いします」主治医はうなずいて病室から出て行った。この決断後、奇跡的に10分間隔のハリは収まった。この日から数日間、(本当は駄目なのですが)個室に移ったこともあり、夜間は病院に泊り込み、ソファーで寝起きしていた。いつ生まれても、ほんの一瞬しか会えなかったとしてもちゃんと名前で呼んであげられるように名前を考え始めていた。おなかの中の子のために今できる唯一の事のように考えていたからだった。この頃、エコーを見る限り女の子だろうということで女の子の名前を考え、名前はほぼ決まっていた。