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カテゴリ:遠州の報徳運動
「片山氏決心誓書の末に添える一言
先師いわく、それ世の中、法則とすべき物は、天地の道と、親子の道と、夫婦の道と、農業の道との四つである。この四つの道は、誠に両全完全である。百事にこの四つの道を法(のり)とするならば、必ず誤りがない。予の歌に「おのが子を、恵む心を、法とせば、学ばずとても、道に到らん」とよんでいるのはこの心である。それ天地は生々の徳を下し、地はこれを受けて、万物は発育し、親は子を育てるのに損益を忘れ、ひたすら子の生長を楽しみ、子は親に育てられて父母を慕う。夫婦の間も、また相互に楽しんで今日を送る。農夫もまた勤労して、植物の繫栄を楽しみ、草木もまた欣々として繫茂する。皆共に苦情がなく、喜悦の情のみである。さてこの道にのっとる時は、商法は売って喜び、買って喜ぶようにすべきである。売って喜び買って喜ばないのは道ではない。買って喜び売って喜ばないのも道ではない。貸借の道もまた同じである。借りて喜び貸して喜ぶようにするべきである。借りて喜び貸して喜ばないのは道ではない、貸して喜び借りて喜ばないのも道ではない。百事このとおりである。それ我が教えはこの道にのっとるために、天地の生々の心を心として、親子と夫婦との情に基づいて、損益を度外に置いて、土地の潤沢と、土地の復興とを楽しむのである。それ無利息金貸付の法は、元金の増加することを徳としない、貸付高の増加することを徳とする。これは「利を以て利とせず、義を以て利とする」(「大学」の章句)と同じである。元金が増加するのを喜ぶのは利心である。貸付高が増加するのを喜ぶのは善心である。これ大善心のある者でなければ、できない業(わざ)である。尊ぶべきであると諭されたことがあった。ここに片平父子は家業を勉強し、ぜいたくを禁じ放埓を慎んで、この法を立てて、天地の功徳、皇恩、国恩に報いたてまつる。報徳の道を片平の家の主として一家の事をば客として、この主客を誤らないために作られた、この決心誓書を尊しというのも愚かである。 天地地祇八百万神(やおよろずのかみ)も、冥助し守護したまうべし。そうであれば代々の子孫たちもこの誓書お永遠に確実に守り、報徳の教えに違う事がなく、朝夕に心田の荒蕪を去って、天授の徳政善種を培養し、善行の収穫を得て、あまねく国家に及ぼし、天意を奉じ、天威を恐れて、天につかえるこの道を勤めたまうならば、代々の祖先もこの徳によって、昇天して神爵を受けたまうであろう。子孫長久家門繫栄は、疑いのないものである。以上。 明治十八年一月一日 報徳教徒 福住正兄しるす お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年07月31日 17時12分33秒
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