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2022年08月03日
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カテゴリ:遠州の報徳運動
報徳の精神とはなにか。
 「報徳」について「静岡県報徳社事蹟」では「起源」と「大意」にに分けて次のように説明する。
 報徳の起源
 徳川幕府の末頃、二宮尊徳は幼い頃から艱難をなめ、刻苦勉励して民力を活用し、生活を豊かにする道を窮めた。社会救済の念を起こし、空理空論を排除し、実理実行、「徳をもって徳に報いる」道を起こした。至誠・勤労・分度・推譲の四つを説いて、道徳と経済が調和し、並び行われるように図り、人を導き、世を益そうとした。
その教義は一つだが、治者のために計画実施したものと、平民のために説いたものと、二つの方法がある。一つは興国安民の方法。もう一つは報徳結社の方法だ。
興国安民の方法は、幕府及び諸侯のため国を治める要道で、上より下に及ぼすもの。この方法は命令的に行うもので、その効果は迅速だ。この方法は善い方法だが、治者に人物を得ない時はたちまち廃絶して永続できない。
報徳結社の方法は、身を修め家庭を整える方法を説き、専ら個人を指導し、報徳社の団結の力で相互の福利社会の利益を増進する方法だ。下館藩士のため信友講を設け、また相模国片岡村の同志が克譲社を創設し、これが報徳の名を付した始めだ。団結の力により報徳の教義を調べ、本質を究明実践し、一身一家一村の福祉を増進しようとするものだ。この方法は個人相互の結合により設立するもので、興国安民の方法に比べ遅々としているが、廃絶のおそれが少ない。現在各地に設立する報徳社団は皆この系統に属するもので、専ら個人の福利増進と社会の公益を図っている。
報徳の発達については、尊徳の高弟富田高慶と福住正兄等の功績が大きく、この二人は尊徳に親しく仕え、その薫陶を長く受け、報徳の教義並びに尊徳の言行などを記述し、報徳の教えの啓発に努力した。
報徳の大意
報徳の教説は、二宮尊徳が社会救済の目的を実現するために唱導したものが一個の道徳の教えとなったもので、上は政治の原則より下は個人の家庭経済まで含み、理論を後にし、実行を先にする。
 世の中には天道と人道とがあり、天道は自然の法則で、天道に従い植物は成長し、動物は自由に行動する。しかし人類はこの自然の法則に一任できない。もし天道にまかせたままだと、人類は怠慢と悪行により生存を遂げることができない。人類が生存するためには、相互の共存をはかり、法によって善悪の標準を定め、人類の共存に害があるものを悪として除去し、利益のある方法を行うことを善行としなければならない。共存の必要上、各人個々が互いに勤労し、社会を完全にし、社会全体の福利を増進しなければならない。
人と生まれた者は各自の本分を尽し勤労しなければならない。この勤労と推譲を人道における善とする。各人の勤労勤労で生産したもので生計を行い、その生計には一定の限度を置いて、この限度以外のものを生産の元資に供し、更に他人に譲渡する。これを分度・推譲という。分度は、自己の所得と消費に対して限度を加え、非生産的費用を制限し生産的資本の充実をはかるために定めるものだ。
 富田高慶は報徳の教えをわけて四綱領とし、「至誠を本とし、勤労を主とし、分度を立てることを体とし、推譲を用とした」。
尊徳は「報徳訓」で、自己が存在するのは父母の保護・養育による。そのまた父母は天地の令命による。私は父母・天地の賜物で、その生活は父母の財産・教養により、人がこの世に安んじることができるのは天地、君主、父母の保護による。人はその徳に報いなければならない。徳に報いるには自己の徳行で行うべきで、これが人間が人道を守るべき理由である。報徳によれば、他人に恩恵を施すことも結局自己が人と社会とに対する義務とする。報徳の根元は、道徳と経済の調和された教えであり、その活動は天地人の三つの働きに報いるに自己の徳行をもってするということに帰着する。





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最終更新日  2022年08月03日 15時21分52秒
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