春の草
”はるくさ”ひらがなで書くと、一層、春の草の新たな芽吹きの優しさが感じられます。春、一斉に咲き出す”雑草”と呼ばれている若草の小さな花を眺めた事ありますか。「それぞれに名前があるのだぞ~。」可愛いですよ。毎年、「可愛いな~!!」などと見とれていると、さあ大変。芝を蒔いたはずの庭は、可愛い悪魔に占領されてしまいます。桜をはじめ春の花は、着物にも多くデザインされ使われています。着物は、季節を先取りして楽しむものといわれてきましたが、最近では、四季の草花をちりばめることで、四季を問わずにお召しいただけるものが多く制作されるようになり、特に、桜の好きな方は多く、桜の花を四季を問わずお召し頂く方が増え、夏の絽の着物にも用いられるようになりました。日本人は、世界でも桜好きな国民だと言われているのだそうですが、日本人気質に合うのでしょうか。私は、昼間から”花見”などと称して酒がのめるので、特に桜は大好きです。ある日、桜を遠目に見ながら、近くに咲いている菜の花を摘まみながら酒を飲んでいましたら、子供に、「おっちゃん(おじいちゃんと言われたかも)その花食えるの。おいしいの」と聞かれた事がありました。「おいしいヨ。春の味がするのだよ」と答えましたら、子供も菜の花を口に運び「ニガ!!」と言いました。桜の花は、実写的に、又は、抽象化され、京友禅、加賀友禅、江戸小紋などにも多く用いられ、人気の高い柄だといえます。