「森を通り抜けて…」映画ヴィレッジ考など
いま交渉中の国道に面した小高い丘陵地の山林物件の境界確認に行った。久しぶりに林の中を歩いたら軽いめまいを覚えたが少しずつ身体にフィトンチットが吸収され細胞が活性されてゆく感じがした。ボクは森が好きだ。とくに雑木林が大好きなのだ。小さい頃、ボクが育った家は町外れにあったのでよく友達と野原や山に行って遊んだ記憶がある。夢中で野山で遊んでいると、あっという間に日が暮れた。そんなときボクらは遠くで灯り始める家々の明かりや揺らぐ煙突の煙をしばし眺めては一番星を探した。それでも調子付いて遊んでいると急激に日が落ちた。そんなボクらの遊び場から帰宅するには小さな森を通らなければならない。森の中はもう真っ暗闇でみんな怖いものだからで体をしっかり寄せ合ってはわざと大声上げて駆け抜けた。すっかり昇った白い月の明かりを頼りに田んぼの畦道を駆けて往来の道路に出るのだが一度だけ友だちが転んで田んぼに全身落ちた事があったっけ…。見過ごしてしまったナイト・シャマラン監督の映画「ヴィレッジ」をレンタルした。当然に封切時はサスペンス・ホラーに括られていたけれど、この作品は無垢なる愛の映画の何ものでもなかった。とにかく映像と演出が素晴らしい!!観ていない人たちの為にネタばらしはしないけれど、冒頭のシーンからもう伏線が敷かれているのだ。ヒロインの盲目の少女役にロン・ハワードの娘!ブライス・ダラス・ハワード、無口な好青年に「グラディエーター」のホアキン・フェニックス、そして無垢な狂人役にはなんと!あの「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディ。インターネットで拾ってきたストーリーをネタばれしないように記すとこうである。「深い森に囲まれたその村では、人々が家族のような絆で結ばれながら、幸福な暮らしを営んでいる。地上の楽園のような村には、決して破ってはならない三つの掟があった。森に入ってはならない、不吉な赤い色を封印せよ、警告の鐘に注意せよ-。誰が何のために掟を作ったのか、確かなことは誰一人知らないが、村人は森に棲むと噂される未知の怪物を恐れ、自分たちの世界の中だけで慎ましく生活していたのだった…。がしかし…」もう一度言うが映像と演出が素晴らしい!!とくにヒロインが森を駆け抜けて行くシーンは印象的だ。何よりもこの映画を引き立たせたのは盲目の少女役のブライス・ダラス・ハワードの魅力に他ならない。でもこの映画が実際、作品的に興行的にも成功したのかどうかはよく分からない…。ネット上で調べてみるとかなり賛否両論に分かれているようだ。ファンがサスペンス・ホラーの傑作「シックス・センス」の衝撃を期待すると肩透かしを喰らうに違いない。だからボクは言いたいのだ。この「ヴィレッジ」に限らずに映画をテレビのCMで流されている予告編に決して惑わされないで観て欲しいのだ。しかし本当に久しぶりに面白い映画を観た。確かによく考えると疑問点はたくさんあるけれど単純にボクは好きな映画だな。ラストシーンでどうして盲目の少女が森を通り抜ける役目に成りえたのか分かるんだよ…。愛する者の為に少女が森を越えてゆくのだけれど、なぜこの物語のヒロインが「盲目の少女」に設定した意味が分かるのです。ねえ…。誰か機会があったら観てみない?感想を聞かせてよ。