いつかどこかで

夫がエアコン屋なので、寒い日が続くと、「エアコンが故障した！」
という電話が入ってきます。

「取り付けたばかりなのに、なんということだ！
さっさと直しに来いっ！」

というお怒りの電話もあります。こんなに寒いと、頭に来る
お気持ちもよぉ～くわかりますので、急いで駆けつけるわけ
ですが、まったく故障していないことのほうが多いんですね。

一番多いのは、「霜とり中」。エアコンは、室内を暖める分、
室外機が冷えます。寒い時期には、室外機が凍ってしまいます。
こうなると暖房できませんから、「霜取り運転」といって、
熱を室外機に回して室外機の霜を解かすわけです。この間、室内は
ただの送風になるわけですが、これが「冷たい風」に感じられる
わけですね。

エアコンを取り付けたときに、ご説明するんですが、夏に
取り付けて「霜取り」の説明を聞いても、覚えている方は
少ないのです。

もうひとつの原因は、「フィルターづまり」。室内機のフィルターの
掃除を忘れていて、ほこりが詰まっている場合です。エアコンの
室内機には、温度を感知するセンサーが付いています。このセンサーは
ほとんどの場合、空気の吸い込み口の付近、制御盤（ランプの点い
ている場所）の近くにあります。フィルターが目詰まりすると、
吹き出した暖かい空気を吸い込んでしまうので、センサーが暖まって、
運転停止するわけですね。

このほか、タンスの上のエアコンの場合、タンスの上に荷物を
重ねたりすると、ここで暖かい空気が渦になってグルグルまいて
しまい、部屋全体に流れずに、エアコンだけを暖めてしまうこと
もあります。この場合も、センサーが暖まって運転が止まります。

たまにあるのが、室外機の後ろ側（吸い込み側）に、飛んできた
ビニール袋がべったりと張り付いている、というもの。エアコンの
室外機が寒いと思って毛布をかぶせた、というお年よりもいました。
室外機は、後ろから前へ空気が流れないと、故障を避けるために
緊急停止するようになっています。室外機にカバーをかけたまま
忘れて運転してしまった、落ち葉がたくさん後ろにたまっていた、
ワンちゃんの毛がたくさん吸い込まれて張り付いていた、などの
バリエーションがあります。この場合は、電源を抜いて、ほうき
などで落ち葉や毛を取ってください。ホースなどで水をかけて
洗うこともできますが、機械部分（配管のつながっている側）の
内側に水が入らないようにだけ注意してください。

きょう伺ったお宅では、あまりに寒いので、カーテンを厚手の
ものに取り替えられたとのことでした。新品の厚手のカーテンが
エアコンの吹き出し口の真下に立ち上がって、暖かい風を上に
跳ね返していました。エアコンを自動運転すると、暖房の時は
下向きに、冷房の時は上向きに風を送るようになっています。
それで、下に出た風がエアコンだけを暖めて、すぐに暖房が
止まってしまったんですね。

吹き出しの向きを、リモコンを使って手動で、少し斜めにすれば
問題は解決するのですが、そのお部屋をお使いの方はおばあちゃんで
リモコンの使い方がよく解らないとのこと。了解をもらって、
カーテンレールを２センチほど下に移動しました。

これでもうだいじょうぶですよ。

カーテンを取り付けるとき、カーテンの上にエアコンを取り付ける
ときには、ちょっと気をつけてみてください。「故障だっ！」と
大騒ぎしないで済むこともあります。

（本当に故障の場合もありますから、上記の点をチェックして、
それでも暖まらなければ、すぐに販売店に連絡してくださいね。
修理は早めのほうがいいです。エアコンの冷媒ガスが漏れている
ような場合は、早ければガス補充も安く済みます。）

久しぶりのエアコン屋モードでした。