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カテゴリ:そのた
わたしの小さなメルマガ【チョビ単】が1歳を迎えるにあたって、
ふと思い出したことを書いてみます。 ブラジルでは、子供の1歳の誕生日を特に盛大に祝います。 O anniversario de un aninho (ウン・アニーニョ=1歳)と呼ばれる 最初のお誕生祝いは、親戚、友人、近所の人たち、大勢を招いて、 時には(1歳の赤ちゃんにはうるさいだけなんじゃ?)とあきれる ほどにぎやかなパーティーを開きます。 「なぜ?」と質問したら、ブラジル人の友人はこう答えてくれました。 「1歳まで生きるのは大変だからね。」 そのときは、そんなものなのか・・・程度に聞き流していたのですが、 ブラジルのある日系人移住地を訪問したときに、友人の言葉の本当の 意味を知りました。 その移住地の墓地には、遠い親戚のおじいちゃんが眠っているので、 訪問したついでに(ごめんなさい)お墓参りをしたのです。 日系移住地の中でも伝統のある大きな町なので、墓地も広く、 立派な墓石が並んでいました。 ブラジルの豪華なお墓は、小さな家のような作りになっていて、 中にテーブルや椅子が置いてあったりして、とても素敵です。 親戚のおじいちゃんのお墓は、それほど大きなものではありません でしたが、立派な石の十字架に名前が刻まれていました。 立派なお墓があるということは、子孫が繁栄したという証です。 ちゃんと守る家族がいるので、きれいに掃除もされています。 墓地のはじのほうに、小さな木の杭のようなものが並んでいました。 近づいてみると、それはみな小さな墓標でした。 古いものは読めませんでしたが、刻まれている文字と年号を たどっていくと、 1958.3.1-1958.10.5 1959.4.20-1960.1.12 どれも、どれも、1歳未満で亡くなっている子供たちの墓標 だったのです。 案内してくれたおばあちゃんが、昔を振り返って話してくれました。 「お母さんの乳を飲んでいる間はええんよね。乳が出なくなったり、 乳離れすると、みんな弱って、病気になってね、次々と死んで しまうんだよ。赤ん坊ばっかり、何人も何人も、この墓地に埋めたよ。」 これは、日系の移住地に限ったことではないでしょう。 ブラジルの過酷な自然に立ち向かって、大人も子供も、たくさんの 犠牲者が出たのです。 だから、今でも、1歳の誕生日はとても盛大に祝われます。 幸運を喜んで。 感謝をこめて。 メルマガの1周年を喜ぶと同時に、○十年も生きてくることができた 自分の人生を思って、たくさんの人たちに感謝したいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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