Give me a banana, please!
「にこにこぷんの英語教室」だったかな、子供向けのビデオアニメがありました。なつかしの(?)じゃじゃまる、ぴっころ、ぽろりの3人組が、ジャズチャンツに乗せて英語を覚えていくお話。そのアニメの中に、女神さまが現れて、たしか、"What do you want?"と、3人(匹?)に尋ねる場面がありました。じゃじゃまるが(ジャズチャンツのリズムに乗せて)"Give me a banana, a banana, please!"と言うと、女神が"OK! Here you are!"と答えて、宝箱からバナナがどっとあふれ出てくる、そういう展開でした。じゃじゃまるは大喜びです。このビデオを、幼稚園の子どもたちに見せたことがあります。中に、アメリカ人の子どもが二人いたのですが、この場面を見たとたん、この二人がゲラゲラ笑い出したのです。日本人の子どもたちは笑いません。わたしも、何がおかしいのか、わからなくて、「何がおかしいの?」と、二人に聞いてみました。(日本語で、です(笑))二人の答えは「だって、a banana って頼んだのに、女神さまったら、いっぱいバナナを出すんだもん。おかしいじゃん!」わたしは「うっ」と、つまりました。アメリカ人の感覚からすれば、「a banana と bananas の間には、バナナちょうだいと言ったら、代わりにリンゴが出てきたくらいの、決定的な違いがあるにちがいない。う~~~みゅ、これは頭で理解できても、身体で理解するのは、わたしには無理なんじゃないか???」と思ったのです。日本語は、特に数が重要な場合を除いては指定しません。ある意味、物の数はあまり重要ではないという言葉です。「鉛筆貸して」と言えば、一本渡します。何か書くためだから一本あればいいんだろうと勝手に解釈するわけで、3本も渡したら、けげんな顔をされるでしょう。また、「鉛筆削っておいて」と言われれば、筆箱に入ってる鉛筆全部でしょう。一本だけ削っておいたら、「なにそれ?」と言われますよね。英語では、単数・複数というのは名詞が持っている意味情報の一部ですから、名詞と切り離すことができないわけです。一方日本語では、数の情報は名詞に含まれてはいないので、英語を読んだり聞いたりするとき、意味を処理する段階で、脳が無視してしまうのではないでしょうか。国立大学入試レベルの作文でも、a を忘れたり、students has なんてミスをする生徒はたくさんいます。これで減点されるのは、あまりにももったいないので、いつも、じゃじゃまるとバナナの話をするのですが、難しさを確認するだけで、そこから先の決定打がみつかりません。どうしたら、ピンと来るようになるんでしょうか。(それとも、永遠にムリ?)