英文和訳はコミュニケーション
英語は英語のままで理解する。日本語に訳さないほうが簡単。とはいえ、英語の試験には「下線部和訳」というのがつきもの。これはテストである以上、「わたしは訳しません」というわけにはいきませんよね。たとえば、きのうの例文のひとつ、これが和訳問題に出たとしましょう。4)願望 If you are to stay here,you have to pay.「ここに滞在することを確定するならば、あなたは払わなければならない。」な~~んて書いたら、点数もらえませんね(笑)下線部和訳に限らず、いえ、英語に限らず、試験の本質はコミュニケーションです。例えばこの例文の場合、こういうシテュエーションだと考えられます。試験官:この文のこの構文の意味と、この単語の意味は解るかな?回答者:if + be to の構文の意味と、自動詞 pay の意味が 解っているか知りたいのですね?だったら、これでどうです? 「もしここに滞在するつもりなら、あなたは代金を 支払わなければならない。」 これで、わたしが解っていることを解ってもらえますね?試験官:この解答ならば、解っているということがはっきり判るから 点数をあげよう。こういうコミュニケーションです。(なんだかなぁ・・・w)試験官は「これが知りたい」という部分を教えてくれませんから、回答者は、問題のポイントを自分で考えて、それがちゃんと相手に伝わる形の解答を出すことになります。お互いに本音を言わずに本音を伝え合う・・・う~~~ん、実に深い会話だ(笑)If you are to stay here を「ここに滞在したいなら」と訳しても、元の意味からそんなに離れるわけではありません。むしろ、この訳のほうが自然な日本語ですよね。(映画の字幕だったら、これでOKでしょ)でも、「ここに滞在したいなら」だと、If you want to stay hereと読み間違えて訳しているかもしれないわけで、「解っているのかどうかが判らない」ということになってしまいます。「だって、そういう意味だから、これでいいじゃん」というわけにはいかないんです。ここらへんが、英語ぺらぺらの帰国子女が英語のテストでいい点が取れないことが多い、という現象を説明してくれますね。入試は、落とすことが目的です。そこが、学校の定期テストとは決定的に違います。学校の教師と違い、相手は知らない人です。コミュニケーションをしっかり取って、試験官を納得させることができなければ、点数はもらえないんです。そう考えると、「誤解の余地のない回答」を書かなければならないわけで、その「誤解の余地のない答え」のノウハウをまとめたものが、入試の参考書なわけです。入学試験の参考書は、そういう意味では、特殊なコミュニケーションの手引書であって、英語の教科書ではないといえるかもしれませんね。でも、だからといってそんな英語の勉強は無駄だ、とは思いません。これはこれ、それはそれ、ということです。こんなの無駄だと思ってたら、予備校の教師などやってません。英語を読んで理解することと、それを元に試験場での顔の見えないコミュニケーションを取ること、それは全く別のものだということを、しっかり認識してから、英語の勉強をすることをお薦めします。試験場でのコミュニケーションは、特殊ではありますが、これはこれで、その後の人生で役に立たないわけでもないですしね。