新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
今年も、ゆるゆるとマイペースでブログを書き綴って行きたいと思います。
まずは2015年に聴いたコンサートのまとめ、マーラー編です。
1番 ヘンゲルブロック&ハンブルク北ドイツ放響 6/ 3 シンフォニーホール
(1893年ハンブルグ稿)
2番 コバケン&読響 4/24 東京芸術劇場
ハーディング&新日フィル 7/11 すみだトリフォニー
3番 山田和樹&日フィル 2/28 オーチャード
テミルカーノフ&読響 6/ 5 サントリー
テミルカーノフ&読響 6/ 7 文京シビックホール
ノット&東響 9/11 サントリー
ノット&東響 9/12 ミューザ川崎
大植&大フィル 9/17 シンフォニーホール
大植&大フィル 9/18 シンフォニーホール
デュトワ&N響 12/11 NHKホール
デュトワ&N響 12/12 NHKホール
4番 ハイティンク&ロンドン響 9/28 サントリー
5番 コバケン&日フィル 6/28 サントリー
6番 チョンミョンフン&東フィル 2/26 東京オペラシティ
ドゥダメル&ロサンゼルスフィル 3/28 サントリー
大地 井上喜惟&マーラー祝祭オケ 8/22 ミューザ川崎
インキネン&日フィル 11/ 7 サントリー
9番 尾高&東フィル 7/17 サントリー
1番のヘンゲルブロックは、アンコールでやったワーグナーのローエングリーンから第三幕への前奏曲が、乗りの良い爆演でした。最後近くで突如短調に転じて、「禁問の動機」(チャイコフスキーの「白鳥の湖」の有名な情景のメロディーに似たもの)が強烈に奏でられたのが鮮やかで、どきっとさせられて、「普通に聴くのとは違うバージョンの演奏だな」とびっくりしました。拍手が終わって、オケの人たちが舞台裏にほぼ引っ込んで、客席もほとんどのお客さんがホールから出て、さて自分も帰ろうかというとき、そばにいた若い男性が、舞台に残って楽器の片付けをしていた打楽器奏者に、声をかけました。「さっきのローエングリーンの編曲は誰のですか?こういうのは初めてききましたので」などと尋ねていて、何やら面白そうなのですかさずそばに近づいて、やりとりを見聞きさせてもらいました。打楽器奏者はすぐには答えられなくて、自分のパート譜をあらためて眺めて、「トスカニーニ!」と言いました。トスカニーニ編曲のもののようです。僕はその若い男性と、「最後の短調のメロディーのところですね、あそこかっこよかったですね。」と一言二言話をして、帰りました。後日ネットでトスカニーニの演奏を聴いたところ、まさにこのときと同じ、最後に強烈に「禁問の動機」が出てくる演奏でした。
2番は、コバケンと読響の演奏がすばらしくて感動しました。コバケンの2番は2014年の日フィルとの演奏を聴きましたが、そのときよりも格段に充実した演奏でした。ハーディングの2番は、記事に書いたとおりで、ストーティンさんの歌が聴きものでした。
3番は、2015年はプロのオケがたくさん取り上げてくれて、5種9回の3番を聴けました。最大の聴きものだったのはノット&東響。これはブログ記事に書いたとおり、ゆっくりした歩みで圧倒的な感銘を呼ぶ名演でした。あと大植&大フィルの熱く深い思い入れに根差す3番と、それと対照的にデュトワ&N響の客観的で端正な美しさを持つ3番とが、いろいろな意味で印象に残る3番でした。山田和樹さんの演奏は、3年がかりのマーラー・チクルスの第1年目で、若い指揮者の今後の成長に期待したいと思います。それからテミルカーノフは、2014年の復活が超名演だったので大いに期待しましたが、期待を裏切られる凡演でした。
4番は、ハイティンク&LSOが、記事に書いたとおり究極の絶美の演奏でした。今回の日本ツアーのプログラムにはハイティンクの来日の記録が載っていて興味深かったのでプログラムを買いました。これによるとハイティンクの日本でのマーラー演奏は、1968年の1番から始まり、以後10番(アダージョ)、4番(ここまでがコンセルトヘボウ)、9番(ウィーンフィル)、6番(シカゴ響)、そして今回の4番になります。4番は2回目なのですね。
5番も、コバケン節全開のすばらしい演奏を味わえました。
6番は、チョンミュンフンが良かったです。マーラーの音楽に耽溺するのではなく、少し距離を置いたところからのアプローチで、きっちりとしたフォルムの美しい、名演でした。これまで聴いたチョンのマーラーの中で、個人的にはベストです。もう一つの6番ドゥダメルは、巨大な木の箱をわざわざ作ってそれを舞台上の雛壇の高いところに置き会場のどこからでも良く見えるようにしておいて、それをハンマーで叩かせるという、サービス精神旺盛な、勢いある演奏でした。演奏後の会場の盛り上がりは相当なものでしたけれど、個人的には、第三楽章のカウベルの音が野暮など、随所に繊細さが足りず、一貫したポリシーが感じられず、残念な演奏でした。
大地の歌は、井上喜惟さんとアマオケのマーラー祝祭オケが、味わい深い演奏を聴かせてくれました。このコンビの2014年の10番は、生演奏は聞きのがしましたが、CDを買って聴いたところ、こちらもすばらしい演奏でした。
2016年はマーラーの演奏会が少なそうですが、また素敵なマーラー体験ができればと思っています。