エリック・クラプトン
大学生の頃、私は放送会(放送研究会)に所属していたこの放送会では、アナウンス部、製作部、技術部に分かれていて、当時好きだった先輩が製作だったという単純な理由で、脚本とキュー振り原稿を書く製作部に入った私の大学は、珍しく高校のような「お昼の放送」があり、月に2回ほど脚本を書いていたテーマを決めてそれに合わせたネタやフリートーク、音楽を織り交ぜながら30分の枠を好きに使っていいので、好きなアーティストの曲をかけまくっていたその中で最もよく使ったのは、当時大好きだったエリック・クラプトンの曲不倫や泥沼の離婚、ドラッグ、息子の事故死など、危険な香りと波乱に満ちた半生を経て落ち着いたのだろうか、アンプラグドで聞いた「レイラ」には泣けるほどしびれた記憶がある人生の辛酸をなめつくし、枯れ果てた末にたどり着いたかのようなバラードの数々に酔いしれたそして11月下旬のある日、大好きなクラプトンのライブに念願叶って遂に行ってきました!!!なけなしの小遣いを泣く泣くはたいて、行ったそのライブは驚きの嵐でした開演時間に遅れること10分今か今かと逸る気持ちを抑えながら、ワクワクドキドキ待っていると、会場が暗くなることもなくいきなりバンドメンバーらしき人たちが出てきて、おもむろにライブは始まった2階席だったため、顔ははっきり見えないが、バンドメンバーだと思っていた人たちの中にクラプトンがいて、私の中では「え?え~?!始まったの?」という感じ今まで行ったライブは大体が 「始めますよ~・・・ドーン!」 という感じで始まり、そこで歓声と共に皆これ総立ちになる訳なのだが、あっさり始まってしまったため立ち時を掴めぬまま、シンバルを持ったチンパンジーのように手を叩き、着席していたしかし、焦がれに焦がれたクラプトンが生でギターを弾いているのを聞くだけで、涙が出そうなほど感激し、鳥肌が立ったでも、やっぱりおかしいこれはロックのコンサートであり、クラシックのコンサートではないのだそう言えば、ライブが始まる前に外で一服していたら、周りにスーツを着て、クラッチバッグを手にした会社帰りの中年のおじ様が大勢いらっしゃったトイレに行く時に、杖をついた初老の男性とすれ違ったよ~く目を凝らして自分の前の席を見渡してみるとスーツ姿のおじ様方が、まるで野球観戦しているかのようなリラックス振りで着席しているそうなのです今まで行ったどのライブより年齢層が高いのですアリーナでは、面白い現象が起きていたアリーナの半分が立席しているのに、半分は着席しているその着席グループの中で、前から2番目の席の若いカップルは始まった勢いと共に立ち上がったものの、周りがみんな座っているものだから、肩身が狭い思いだったろうクラプトンはと言えば、MCを入れることもなく淡々と曲をこなして、終わりに「Thank You! ありがと」 とつぶやく最後にレイラを演奏、さすがにその時は盛り上がっていたが、それでも2階席で立ち上がる人は居なかった・・・連日のライブで、還暦を超えたクラプトンはお疲れだったのかそれとも毎日このような着席ライブで辟易としているのか調べてみたところ、やはり私が行った日の武道館ライブは最も盛り上がりに欠けるライブだったらしいそれにしても踊るつもりのない人は、踊る気満々でスニーカーで行った私にアリーナ席を譲ってくれてもいいんでない? という不満で一杯だったエ~ン!アリーナで踊りたかったよぉでも、やっぱりクラプトンはスゴイのだギターのことは全然分からないし弾けないけど、そんな私でも鳥肌立ちまくりなのだ今回のライブは人生で初めてのノリの悪いライブだったけど、10年越しの念願叶って極上のブルースが聞けたので良しとする♪*この記事を読んで、武道館ライブをしっぽり楽しんだよという方がいらしたら申し訳ありません若い時もカッコイイけど・・・歳とってからの、このいぶし銀のような渋さもたまらんのだ