サイモン&ガーファンクル「サウンド・オブ・サイレンス」+アート・ガーファンクル「天使の歌声」を聴く
サイモン&ガーファンクルが間もなく来日します。太平洋戦争開戦の年に生誕した二人だから、今年で共に68歳。特にアートの衰えは隠せないはずだし、入場券も馬鹿みたいに高いとくれば、たとえ今回が最後の再結成ツアーといえども流石に食指は動きません。追加公演の日本武道館なんて一番安い席で15,000円ですからねえ。という訳で、私はCDで彼等の遺産を楽しむことにしました。ロックン・ロール草創期に活躍した重要ユニット、エヴァリー・ブラザーズに絶大な影響を受けたハーモニー・スタイル、そしてボブ・ディランの影響下からいち早く抜け出して内省的かつ含蓄に富んだ歌詞を紡いだポールのソング・ライティング能力は、オリジナルアルバムとしては二枚目に当たる紹介盤の冒頭を飾るタイトル曲のビルボード・チャートのナンバー1獲得によって、初めて社会的に認知されたのでした。「ハロー、暗闇よ。僕の古い友達よ」、印象的なフレーズで始まるこの世紀の傑作のみならず「木の葉は緑」「ブレスト」「キャシーの歌」「4月になれば彼女は」「アイ・アム・ア・ロック」etc、重要曲のオンパレード!加えて英国フォーク界の重鎮であったデイヴィ・グレアム作「アンジー」において顕著なポールの卓越したギター・テクニックをも堪能できてしまうという、次世代に必ずや語り継がれていくであろう名盤です(私も昔は「アンジー」を必死にコピーして周囲の称賛を浴びたものですが、久しくギターを弾いておらず再演は絶望的です)。その流れで、アートが解散後に発表した1stアルバム「天使の歌声」を聴きました。カーペンターズのヒット曲「愛のプレリュード」「雨の日と月曜日は」を生み出した、ポール・ウィリアムズ&ロジャー・ニコルズ作「青春の旅路」が第一の聴きもの。あの「明日にかける橋」と甲乙つけ難いレベルのドラマティック・バラードで、アートの類まれなる歌唱力を思い知らされる傑作です。you tubeで原題「Traveling Boy」と検索すれば容易にヒットするので、未聴の方は是非お聴き下さい。他の楽曲もアートの全盛期の美声と大変マッチしており、最上のボーカル・アルバムと断言します。なお、本アルバムの原題「Angel Clare」は、トマス・ハーディ作「ダーバヴィル家のテス」の登場人物です。ナスターシャ・キンスキー主演の映画でも名高いハーディの代表作ですが、それについてはまた後日に語ろうと思います。それではここらでおやすみなさい。 Sony Music House サイモン&ガーファンクル/サウンド・オブ・サイレンス紹介盤! 【Aポイント+メール便送料無料】エヴァリー・ブラザーズ Everly Brothers / Complete Cadence ...絶頂期、ケイデンス・レーベル時代の音源! アート・ガーファンクル/天使の歌声(CD)紹介盤パート2!