|
カテゴリ:体験談
❖ 告げられた病名 ❖ 多忙な日々から解放され、私にも静かな日々が訪れた。 しかし朝ドラ終了後、1年ほどたった時、右わきの下に大きなしこりがあるのに気が付き、軽い気持ちでかかりつけ医のクリニックに行った。すぐにCT検査が行われ、終わったときに診療放射線技師の様子を見た私は、なぜか不吉な予感にとらわれた。 案の定、かかりつけ医から告げられた病名は悪性リンパ腫、住んでいる市のPET画像の撮影をしてもらうようと言われた。その結果は本人の私ではなく、かかりつけ医の方に伝えられた。 「先生、結果を教えてください。私はどんな結果でも恐れません」 ずっと長く診てもらっていた先生だったので、私はそうお願いをした。 「やはり、悪性リンパ腫でした」 PET検査のクリニックから来た報告書を私はコピーしてもらった。 その用紙には、右口蓋扁桃、右頸部リンパ節、右鎖骨下・腋窩・上腕、左腋窩、肝S5/6、肛門部、左総腸骨リンパ節、右鼠径リンパ節に集積が多発、脾臓の集積も増加、と恐ろしいほど多くの文字が並んでいた。診断はステージ4、実に全身の11カ所に悪性腫瘍ができたいたのである。 これまで私は、内臓の病気などには気をつけてきたつもりであった。 時々胃や腸のカメラ検査も受けていたし、乳がんなどの検診もしていた。それでも病気の宿業は深く、緑内障は手術せずに克服できたものの、他の病気では5回も手術を受けている。 今回は血液のがん、いろいろと検査を受けてきた隙間をついて出てきた病気であった。予想もしていなかったし、手術によって治せる病気ではない。これまでで一番重い病気であった。 「悪性リンパ腫は、治ることがありますよ」 かかりつけ医の先生は、気の毒そうな表情で、低い声で言った。
【古川智映子の負けない人生】聖教新聞2022.9.1 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 20, 2024 09:31:57 PM
コメント(0) | コメントを書く |
|