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カテゴリ:コラム
西宮止まりの〝名神〟 武庫川女子大学名誉教授 丸山 健夫 名神高速道路の名神は、名古屋と神戸のはずだ。ところが名神高速の終点は神戸ではなく、手前の兵庫県西宮市だ。西宮までなのに、なぜ名神高速道路というのだろうか。 一九五七年、「国土開発縦貫自動車道建設法」や「高速自動車国道法」が成立。日本の高速道路の歴史が始まる。このとき「高速自動車国道の路線を指定する政令」で、日本初の高速道路の路線が決まった。そのルートは、愛知県小牧市の起点に吹田市、芦屋市などを経て終点は神戸市と明記されている。つまり名神高速道路はその名の通り最初は神戸までの予定だった。 日本初の高速道路建設では、有名なドイツのアウトバーンの技術者が招かれる。それは世界銀行からの借金の条件であったが、道路の微妙なカーブや花びらのような形のインターチェンジはドイツ流だった。ところが建設費用が膨大になっていく。予定ルートには、芦屋市や神戸市の住宅密集地もあった。用地買収に莫大な時間と費用がかかると予想できた。そこで経費節約の名目でルートが変更される。阪急西宮北口の手前で南に大きくカーブ。西宮市の海岸沿いで一般国道と接続する現在のルートになり、神戸までは将来の課題となった。 一九六四年、東京オリンピックの一ヶ月前、名神高速道路は愛知県一宮から兵庫県西宮までが開通する。だが、西宮止まりは未来に課題を残す。接続する一般道が名神高速道路占用の道路ではない。広くても、後の神戸まで阪神高速ができても、結局、慢性的な交通渋滞の原因となった。今、名神高速道路を延長し、阪神高速湾岸線と接続させる計画が進む。やっぱり物事は一気にやるのがよさそうだ。またあとでのツケは、意外に大きい。
【すなどけい】公明新聞2022.9.9 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 27, 2024 07:28:42 AM
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