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September 25, 2024
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カテゴリ:コラム

読者指数とは?

東京大学教授  安藤 宏

いかなる文章にも、その文章独自の「読者指数」のようなものがある。書き手が、具体的な読み手をどこまでも想定して書いていくか、という度合いのようなものである。

新聞の一面記事や百科事典の記述などは、当然のことながら指数は限りなくゼロに近い。「あなたはどう思いますか?」と語りかけられても迷惑な話だろう。これに対してその対極にあるのが、ラブレターなどのように特定の「あなた」を想定して語り掛けていく文章だ。たとえば論説文やレポートであっても、単に結論を示すのでは核、「~といえるのではないだろうか」などと語りかけてみたくなるときがある。読者と内容を共有したい。という心理が働くからなのだろう。

客観的に「示す」ことと、主観的に「語る」こと。書き始めるとき、この二つの極の間のどのあたりに軸を定めるか、意識してみるがよい文章を書くコツかもしれない。

文章の中に想定される読者は、あくまでも想像上のものだ。書き手にとって、こうあって欲しい、と願う「あらまほしき読者」である。たとえばアブレターであっても、我々は現実の相手その人ではなく、自分の思いを聞き届けてくれるであろう理想の姿を想像しながら書いているのである。

小説もまたしかり。作者は「理想の読者」を想定するし、読者もまた、無意識のうちにそれに我が身をなぞらえて読もうとするだろう。残念ながらうまく想定できないときは、共鳴しにくい小説、ということになってしまうのかもしれない。「理想の読者」をめぐって、作者と現実の読者はさまざまな駆け引きを展開する。こうした暗黙の共同作業の歴史として文学史を考えてみたら面白いのではないだろうか。というのが、自分の研究の発想の転換点なったように思う。

 

 

 

【言葉の遠近法】公明新聞2023.8.2






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Last updated  September 25, 2024 05:29:38 AM
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