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カテゴリ:コラム
寄席の割給金 落語家 桂 米多朗 先日、最低賃金の全国平均が、初めて1000円を超えた、とのニュースを見ましたが、私は落語家になった35年前は、寄席での前座の最低賃金は300円でした。時給じゃなくて日給です(笑)。 今の前座は、最低1000円は貰っているみたいです。 とはいっても、我々出演者も都内の寄席では、前座と大して変わりはない、いや前座の方が真打よりも多く貰っている事もある。それは、前座は固定給ですが、我々出演者は「割給金」と言って歩合制になっているからです。 私は中堅真打で「2円20銭」をお客様の人数でかけた額がギャラとなります。つまり今の来場者数が1000人だったら、「2200円」、10人だったら「22円」。これじゃ交通費にもならないので多少割り増しはありますが。 寄席に10日間出演したら、その後の楽屋で、封筒半分くらいの「割袋」を渡されます。後ろに5000と記されていたら、その数字が10日間のだいたいの来場者数で、私の場合は「1万1000円」現金が入っています。 この割数は、落語家の年功序列ですので、笑点に出演している有名人でも私と大して変わりなく、うたまる師匠も生前4円50銭だったとか……。 昔から先輩たちも文句を言ってないので、我々も「給金を上げろ!」とは言えず、代々受け継がれていくことでしょう。 また寄席は毎日興行していますので、満席もあれば少ない時もある。寄席は修行の場でお金御稼ぐ場所ではないといわれていますが、落語家も貯金も、高座(口座)が一番。落語家は寄席で噺を落とし、お客様は寄席でお金を落とすのが一番とも言われています。どうぞ寄席にお越し下さい。
【すなどけい】公明新聞2023.8.18 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 30, 2024 10:01:16 PM
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