分数、小数、百分率、円周率、面積、エトセトラ・・・と惠子にはたくさん覚えなくてはならないことがあるのに、ラテン語の活用を丸暗記しなくてはいけないし、友達と遊んだり、夏休みの子供プログラムに参加したり・・・となかなか算数の勉強をする時間がない。しかし、その割には、いつも部屋で本を読んでいるのが、少々腹立たしい。
ところで、ドイツ人って、2桁の数字は、1桁目から書くし(つまり、87なら、7を書いてから、左側に8を書き加える)、分数も、分子から書く。当然うちの子供達もそう。答えはあっているのだけど、書く順番が違うと、私のリズムが狂ってしまう。惠子の偉い所は、私に対しては、口頭では、かならず日本語で答えるところであるが、それでも、問題をさせると、計算方法が日本で習うやり方と違うので、とまどってしまう。また、10cm=1dm という 単位もよく教科書にでてくるので、私の頭まで混乱する。デシ平方メートル、デシ立方メートルなんて単位がでてくると、なんだかやる気が失せる。ドイツでは、小2でデシメートルの概念をメートルやセンチメートルと一緒に習うが、日本では習わないのでは??少なくとも、私は習ったことがない。この違いはどこから来るのだろう?
分数、小数は、大体理解できたようなのだが、必ず躓くのが、「dreisatz」と呼ばれる文章題。日本語では、何というのかわからないが、比例反比例の文章題で、dreiは、3、satzは、文のこと。よくある問題は、リッターあたり1.049ユーロのディーゼルガソリンを50リッター入れると幾らになるか?また、22,03ユーロ分入れると、何リットルになるか?というような問題。50リッター入れると幾らになるか?はわかるのだが、22,03ユーロ分入れると何リッター必要か、というのが、いつもスムーズに回答に結びつかない。ゆっくり説明したいのだが、その時間がなかなかない。また、文章題だと、私自身が内容を理解できないので、解説しづらいということもある。きちんと教えれば絶対わかると思うのだけど、ドイツ語の教科書を使い、英語の問題集で練習し、日本語で説明する・・・・なんだか、こんな教え方でいいのだろうか?と不安になる。
ちなみに、英語の問題集では、3,5のことを3・5と表記してある。しかし、ドイツ語では、3・5は、3x5のことである。3÷5は、ドイツでは、3:5と表記する。また、小数、分数は、ドイツ語で、Dezimalzahlen、Brueche、英語では、Decimals、Fractionsという。分母、分子は、ドイツ語では、Nenner,Zaehler、英語では、Denominator、Numeratorという。このように、単語一つとっても、表記ひとつをとっても、違うので、教える側も混乱するし、教わる側はもっと大変なのかもしれない。日本語で統一するのが私としては一番やりやすいのだけど、それでは、惠子が学校で困る。ドイツ語だけでは、私が教えられない。多言語家族には、利点もあるけど、不利な点もまた同じ数だけあるのだと思う。