『LOVE&PEACE』
先日、代官山に在るカルロス ゴーン氏の奥様のリタ ゴーンさんの経営する『マイレバノン』の日記を書いたが、SDカードの紛失により画像も無く、上手くレバノン料理について御伝え出来なかったのが残念であった。そんな訳で、本日は東京に2件有るレバノン料理店で、私の地元である新宿は『新宿アイランド』の地下1階のスパイスロード内に在る『シンドバッド』へ相方殿と行ってまいりました。お店の方の説明で、『単品料理は量がかなり多いので、お二人でしたらコースで頼まれた方が色々と楽しめます。』との事でしたので、お薦めされるままに『おすすめコース\3,200』を2人分オーダー致しました。本日も、例の如く運転が有りましたので…ビールの代わりにペリエを頂きました。そして、いよいよコース料理が運ばれてきました。初めに3種類の料理とピタパンからスタートです。 3種の料理を手前から時計回りで説明をすると『ババガヌージ』(焼きなすとピーマンの練り合せ)・『タブーリ』(パセリやトマト等7種類の野菜を微塵切りにしたサラダ)・『ホンモス』(ひよこ豆と白ごまのペースト)これらの料理をコブスと呼ばれる焼きたてのピタパンに好みで挟んで食します。地中海に面したレバノンらしく、オリーブオイルがふんだんに使われていた。どの料理も香辛料等は強くなく、くせも無く食傷気味なこの時期にはうってつけの料理である。次に運ばれて来たのは…三種の料理の盛り合わせである。右手前から時計回りで料理の説明をすると、『トマトのサラダ』(オリーブオイルと香辛料ハーブ等がアクセントに利いています)・『シシタウク』(チキンのレモンガーリック焼きで、肉はジューシーでレモンの酸味とガーリックの風味が食欲をそそる)・シャルムラ(白身魚のハーブ風味ソースで、カラリと揚げた白身魚にトマトベースの少しピリッと辛いソースがかけられている)メインの肉料理は…『カフタカバブ』(スパイシーラムミンチの串焼き)・『シンドバッドカバブ』(チキンミンチ、ハーブの串焼き)この段階では既に串は抜かれているが、両方ともチャント串が刺さった状態で運ばれてきて、テーブルで串を抜き取ってくれるのである。この2種の料理は好きなほうをチョイス出来る。相方殿は羊が苦手なのでチキンを食べたが、どちらも甲乙付けがたく美味しかった。私はラムをメインで食べたが、柔らかくて臭みも感じなかった。使われている香辛料やハーブは肉によって替えてあり、ラムはスパイスベースでチキンはミント等のハーブが上手く使われていた。 最後の料理は、左から『マクルウバ』(牛肉のアラビア風炊き込みライス)『マッシュポテト』(ポテトとミンチの重ね焼き)で、少しピリッとするソースをかけた炊き込みご飯は普通のピラフの様でくせも無く美味しい。マッシュポテトは下に少し酸っぱめのミートソースが隠れており、上のマッシュポテトと混ぜながら食べるとバランスが良くて美味しい。締めくくりには…アラビックコーヒーです。(※ミントティもチョイス出来ます)深めにロースとされ煮出された粉っぽい珈琲は、何故だかエスプリを感じる…この内容で\3,200は。非常にヴァリューを感じる事が出来た。相方殿にとっては初めてのレバノン料理だったが、味も大変に気に入ってくれたようだ。さて、料理の話はこの位にして、チョットお店で感じた事を少しだけ書いてみようと思う。今回行ったのはレバノン料理…皆さんは、レバノンって、どんな国だか知っていますか?無知を晒す様で恥ずかしいのですが、正直レバノンについての私が持っていたイメージは『中東の国』『紛争が絶えない』『砂漠の真ん中』『何時でも灼熱の太陽』『情勢が悪くなると原油価格が上がる…』と言った貧相な私のイメージ…情けない限りです…。実は、今回行ったシンドバッドの店内では、レバノンを紹介するVTRがループで流されていたのです。そこに映し出されたレバノンは、私のイメージを完全に覆す物でした。更にオーナーと話をする機会にも恵まれたので、見る事聞く事に驚く事ばかりであった。因みに、オーナーの日本語は流暢で完璧な物でしたので、アラビア語が話せない私でも難なく色々な話を窺う事が出来ました。まずレバノン共和国は砂漠の真ん中等ではなく地中海沿岸に在り、国土は10,452km2で、日本で言えば岐阜県程度の小さな国です。中東諸国の中で、唯一不毛な砂漠地帯が無い豊かな国なのです。また、レバノンにはチャント四季が有り、3つ有るという3000メートル級(富士山クラス)の山には1年の内の8ヶ月もの間雪を湛えており、立派なスキー場も有り多くのレバノンの人々はスキーを楽しんでいるのだそうです。また、標高1800メートル以上の高地には有名なレバノン杉も自生しており、平野部も緑と花が豊かで、砂漠なんて何処にあるの?って感じである。海岸線も美しく、漁場も豊かな感じで、賑わう港町の様子も窺えた。街は古い物と新しい物がハイブリッドされており、歴史有る建造物や近代的なショッピングセンター・ブランドショップ・カジノ等も有り、そこはさながらヨーロッパの何処かの都市の様にも見えます。食事も交易の国だけあって、様々な文化の物がミックスされた感じで美味しかったが、食事と言えば、私の好きなワインの歴史も古く、歴史上最古のワインはレバノンだとも言われている。歴史を見ると、レバノンは、古くはオスマントルコ帝国に侵略され、その後はフランスに統治されていたという数奇な運命を辿っている国です。ヨーロッパが世界の中心だった頃には『レバノンを制する者は世界を制す』と言うほど、重要な国と捉えられていたそうです。その様な歴史からか、レバノンの人々は様々な国の言葉が話せるそうで、最低でも3ヶ国語(アラビア語・フランス語・英語)を完全に使いこなせるそうです。今回行ったシンドバッドのオーナーは6ヶ国語を操り、オーナーの御爺様は何と9ヶ国語を使えたそうです。非常に知的な方々が多いようです。宗教も様々な宗教が共存しており、キリスト教(マロン派、ギリシャ正教、ギリシャ・カトリック、ローマ・カトリック、アルメニア正教)、イスラム教(シーア派、スンニ派、ドルーズ派)等18宗教を数えるほどだそうです。様々な文化の交流点と成って来たレバノンには貴重な遺跡も多く、ギリシャのパルテノン神殿のように立派な柱の立ち並ぶ遺跡群や十字軍の遠征の際に建てられた物か、クロスを掲げた立派な教会や、岩場に作られた重厚な佇まいの建物等、どれも実に素晴らしい物であった。少し話は飛ぶのだが、先日アメリカのオジサンが、世界最高画素数40億画素のデジカメを作ったという話を聞いた。このオジサンは、何故40億画素もの超高解像度のデジカメを作ったのかと言うと、自分の孫に世界遺産を見せてやりたいからだそうだ。今の世界は、戦争や温暖化・酸性雨等の環境破壊によって、どんどん次代に残さなくてはならない大切な物が壊されている。オジサンは世界遺産を中心に写真を撮って、今現在の風景を孫やそれ以降の人々に残したいのだそうだ。オジサンのしている事は、非常に素晴らしい活動だと思う。が、しかし、そうしなくては次代に残していけない現状と言うのは如何な物だろうか…現在を生きている者として非常に情けなく思う。レバノンの置かれた状況は、歴史・宗教・思想・政治等が複雑に絡まりあって、私等では到底何も出来ることは無いのかもしれないが、只々戦争の無い平和な世界になるように祈りたいと思う。そして、平和に成ったレバノンを実際にこの目で見てみたい。今一番行ってみたい国はレバノンになった。平和な国に生んでくれた親に感謝すると共に、もっと世界に目を向けなければ成らないと痛切に感じた。長々と思った事を書き殴ってしまったが、最後に、この言葉を『LOVE&PEACE』