DJ Kennedy/life is damn groovy

You Make Me Feel(Mighty Real) / Sylvester

Film: 54(1998)

これはStudio 54のオープンから、二人のオーナー（映画の中ではマイク・マイアーズ演ずるスティーヴ・ラベル一人）が逮捕され、狂喜乱舞の世界に終焉が訪れるまでのストーリーが、ニュージャージーの静かな町からファッショナブルで刺激的なＮＹへの憧れを持ちStudio 54での経験の中で大人になっていく男の子を軸に、当時の様子や実際の出来事を描いたもの。

Studio 54を知る上でのキーワードはRich&Famous,Money,Drug,Sex。これらが毎夜うごめき人々を陶酔させるスキャンダラスなクラブの内情。

主演のライアン・フィリピは主人公シェーンを好演している。実際に彼の演じたバスボーイのシェーンは存在しないけれども、ＶＩＰに可愛がられ雑誌の表紙にまでなったトップ・バーテンダーがモデルになっていると思われる。Studio 54にはスティーヴによって決められた厳しいドア・ポリシーがあり、ドアマンはクラブにマッチした身なりでない者は例えセレブリティでも中へ入れず、映画の中で、シェーンが地味なシャーツで並んでいると、スティーヴが（おそらく彼の好みであった）シェーンに「服を脱げ」と言い、上半身裸になったシェーンを中に招き入れるシーンがあるが、あの話自体は、客はシェーンでなく、また彼を選んだのもスティーヴではなくそのドアマンであったらしいが実話である。

この映画、実はそのクウォリティに関して賛否両論で、創られた人物やストーリーが中心で事実の色が薄過ぎる、という指摘も少なくないようだ。それでも音楽は当時流された曲ばかりであるし、ノスタルジィの香りが身体中に広がる。

１０点満点なら６－７点、と批評する評論家たちも口を揃えて絶賛したのは、スティーヴを演じたマイク・マイアーズだ。ある評論を読んでいたら、
「あのフィルムの中の彼は、もうマイクのかたちを残していなかった。
　まさにスティーヴ・ラベルそのもので、観ていて圧倒された。
　彼があってこの作品は輝きを得た」
と書かれていた。彼一人観ていても当時の様子が手に取れるほどによく分かる、と言っても過言ではないほどに素晴らしい。

９０分に満たない短い映画だけれど、きっと楽しく、７０年代を知らない若い人たちも、当時が青春の真っ只中だった人達も、フェアリィ・テイルのようなディスコ・エラを感じることができるだろう。