心を震わせたオオカミ。
先日あるセミナーで内山大志さんという人に会いました。 http://www.retro-timemachine.com/ レトロタイムマシンというcafeを経営されているのですが、その彼の今の夢。それは、「富士山プロジェクト」Love the Earthをテーマに1000人の人を富士山に集結させようというものです!想像するだけでわくわくしませんか?その巨大なたくらみはどこから来たのか。彼の深い瞳の中から感じ取った想いを一つの童話にしてみました。少しでも彼の想いに近づいていればいいのですが。。ちなみにその富士山プロジェクト参加の人はどしどし内山さんまでメールしてください!------------「心を震わせたオオカミ」高い高い山の、深い深い森の奥に一匹のオオカミが住んでいました。名前を“タイ”と言いました。茶色の毛並みはつやつやと美しく、そのたくましい足で、山の中をまるで風のように駆け抜け、真っ黒な瞳は、獲物を狙うときに透明な水晶のように輝くのでした。彼はその深い山のあちこちを歩き回り、たくさんの食べ物の場所や、動物たちの住処、そして狩りの仕方を知り尽くしていました。群れの中では、力でも、知識でも彼にかなうものはいませんでした。けれど、ある日そんな彼に群れの長老が言いました。おまえは今までに様々な世界を見てきたろう。けれど、おまえはまだ知らないものがある。すべての出来事の奥にある“真実”というものだ。その意味がわかるまでは、世界を知っているとは言えないな。タイはさっぱり意味のわからないその長老の言葉がいつも気になって耳から離れませんでした。けれど、どこを走り回っても“真実”を見つける方法がわかりません。山中を駆け回っても、弱い動物に牙をむいても、一人で崖の上から吼えていても。。タイはそれが気になって、あまり食事もしないままあちこちと旅をするようになりました。あまりにも食べないので、身体はげっそりと痩せ、目は以前よりもずっと鋭く、何かを追い求める目になりました。そんなある夜、山の中でお腹の空いたタイは、ムクドリを捕まえました。まだ暖かいムクドリを口にくわえ、食べようとしたとき、そのムクドリがキィッーーキィッーーと鳴き声をあげました。それはまるで地球の裏側までも届きそうな大きな鳴き声でした。すると、森のあちこちでその声に応えるようにキィッーー。。キィッーー。。とあちこちで声がします。まるでタイを取り囲むようにその声はやがて数を増やし、キィキィッキィッ。。と今にも襲い掛かってきそうな勢いです。タイは今までに味わったことのなかった、背中の震えるような恐怖を感じました。その小さな今まさに息絶えようとしていたムクドリの声と想いが生み出した振動。その波のような想いの輪が、すごい力でタイに襲い掛かってきたからです。タイは思わずくわえていたムクドリを離しました。まるでロケットのようにムクドリは一直線に林の木々の間に向けて飛んで行きました。小さくキィッキィッと鳴きながら。その時、突然タイは長老の言っていた“真実”という言葉が蘇ってきました。そう自分は、“真実”というもののそばまで自分は来ているのかもしれない。。そう思ったタイは近くの岩に駆け上り、大きな月に向かって思いっきり吼えました。クォーゥン。。クォーゥン。。何度も。何度も。そうすると、それに応えてやがて遠くの群れのオオカミたちが声を上げました。クォーゥン。。。クォーゥン。。。それははるか遠くからでしたが、はっきりとタイの耳には聞こえました。そしてその数は増えていったのです。すると、どうでしょう。さっきのムクドリや、他の動物たちまでもが空に向かって鳴き声を上げ始めました。クォーゥン。。キィッーキィキィッーー。ワゥーーゥン。。まるで森が震えるように立ち上がる声にタイの胸の中も激しく震えていました。“真実”?それが何かはわからないけれど、この震え、ざわめき、高揚感。タイは感じたのです。この心の震えの先にはきっと大きな何かがあるに違いない、生きているうちにどうしてもそれに触れてみたい。。!!タイは今までいた森のずっと先、その頂には万年雪がかぶるという山を目指すことにしました。あのいつもは朝日が昇り、その黄金色に輝く峰に登ったなら、そしてそこから自分の叫びを誰かに届けられたら、誰かと分かち合えたら、きっと。。大地が震えるに違いない。いっしょに心の震えを聞きにおいで。そこに行けば、木も草も、鳥も、うさぎも、仲間のオオカミたちも、この世界の空気さえも、新しい鼓動を聞くことができる。そこにはまぶしいほどに輝く何かが生まれ出るはずだから。あなたも一緒に心を震わせてみませんか?自分の心の奥の何かを信じて。。・・to be continued.(この続きは現実で。。)dedicated to Mr. Taishi Uchiyama,