「いっちみち」乃南アサ短編傑作選 (新潮文庫)
内容紹介(出版社より)
家族が引き起こした不祥事で故郷を離れ、コロナ禍のなか帰郷した女性。
母の実家で、家業代々の秘密を知った息子。
両親を事故で失い、我が家にやってきた不思議な従妹。
わかりあえると思ったら、遠ざかる。温かいのに怖い。
恋があって、愛があって家族になったはずなのに──。
「人間」という人生最大のミステリーを描き続けてきた作家による、傑作短編を精選した文庫オリジナルアンソロジー。
図書館に本を返却しに行って、寝ながら読める単行本を探していた時、この本をみつけた。
最初の「いっちみち」を流し読みして選んだのだが、私好みはこの一作だけ。
あとは不気味なミステリーの連続で、なんだか嫌な気持ちになって眠りにくくなる。
フィクションのミステリーではあるのだが、人間のおぞましさを抉られるような感じなのだ。
ブラックユーモア程度ならまだいいのだけど。
ということで、「だまされた!」。
この短編集のレビューを読んでいて、「イヤミス」という単語(ジャンル?)を知った。
イヤミスとは? イヤミス の意味とおすすめ作家の代表作
イヤミスとは、ミステリー小説の一種で、読んだ後に「嫌な気分」になる小説のことだという。
ここに紹介されている作家では、湊かなえの「告白」しか読んでいないのだが、
あの一作で私は彼女の作品を読んではいない。
本を読んで嫌な気分になるのは御免だというのが私の読書傾向。
でも、このような作品を好む人もいるようだ。
乃南さんの作品には好きなものも多いので、彼女はこのような作品も書けるのだと感心した。
読者の心をひきつける作品を書けることでは、彼女は職人に近いのだろう。