加藤多一さんの児童書に一時期はまったけれど、しばらく手にしていなかった。
亡くなられたのは昨年(2023年)だったのだな。
懐かしくなって、読んでいなかった本を三冊借りてみた。
「子っこヤギのむこうに」
《あらすじ・内容》
「わたし、だっこしてもいいの」生まれてはじめて子っこヤギをだかせてもらえる。マユはうれしさで胸がいっぱい。ふぶきのなか、農家へいそいだ。冬休みのある一日、マユは一ぴきの子っこヤギのいのちをとおして、生きもののあり方、いのちの尊さを知る。
「エカシの森と子馬のポンコ」
《書籍の内容》
子っこ馬のポンコが行く。
ここで、ポンコはほんとうに自由だ。すきなところへ、すきなように歩いていく。
でもある日、川の水の声も、風の声もいつもと違う。それがおとなになるっていうこと?
森の長老の木・エカシ、ここにいるのに体はどこにでもあるというカメムシたちが、ポンコにおとなになることを教えてくれる。
──加藤多一が北海道の森で暮らす子馬のポンコの成長を、やさしくあたたかなまなざしで描く。
「オオカミの声が聞こえる」
「助けて!マウコ」 誰か呼んでいる・・・
ひとりの女性が自分のなかのアイヌスピリットを呼び覚ます。
北の地を離れ都会で暮らしていたアイヌの女性マウコは、あるとき自分のアイヌとしての自分を取り戻し、生きていく道を探すために北海道に戻る。図書館や博物館を巡っているうちに、100年以上も前に絶滅したエゾオオカミの剥製から見つめられ、何かのメッセージを感じて、行動に移すのだが・・・。
加藤さんがそれぞれの作品で伝えたかったことはよくわかる。
というより、伝えたいことが前面に出すぎている感じもする。
それでも、年を重ねても自分の生き方と、現代の問題への危機感を強く持って、それを作品に紡ぎ続けた意欲と意志は凄いなと思う。
児童書の形をとってはいるが、現代の大人達へのメッセージが強いのかもしれない。