お手軽
最近、ダンナがヘンだ。夜更かしゲームをやめて早く寝る。それも朝、ヨガをやるために。もう、三週間くらい続いている。今までどれほど口をすっぱくして言っても、やろうとしなかったのに、どうした風の吹き回しか。わたしの見込みどおり、ダンナはヨガに向いていたらしい。とても体が楽になったのだそうで、一生懸命やっている。根が理屈っぽい人なので、とにかく理詰めで研究している。わたしより理屈っぽいんだから相当なもんだ。で、その結果「体を整えるためには太極拳よりも合理的」という結論に達したらしく、「武術的に強くなるのが目的なわけじゃないんだったら、ヨガのほうがいい」とうるさい。それもわからなくはないが、こっちだってもう、足掛け五年太極拳をやってるんだ。いまさら、「はいそうですか」と鞍替えも出来ない。「だって、太極拳の究極の目的は護身でしょ。目的が不純じゃない?」「究極の目的は太極を感得することです」「だったら強くなる必要ないじゃん。ヨガのほうが純粋に太極拳の言う太極を感得するために考え抜かれてるよ」「…」「どう思う」「わかった。じゃあ、強くなる」「え?」「ここまでやったんだもの。とことんやってやるわよ。強くなってやる」なんだか意地と成り行きで新たな決意をしてしまった。でもわりと本気だ。だいぶ体のこりがほぐれてきたダンナ、「頭だけねえ、どうしてもすっきり抜けないよ」という。「それはもう、瞑想に手をつけるしかないね」ためしにいってみたら、素直に瞑想を始めた。…どうした風の吹きまわしだ?あれだけすすめてものらりくらりと無視してたくせに。寝室にこもって約20分。ばたんとドアが開いてだんなが出てきて、一言。「よし、悟った」そりゃまた、ずいぶん…