123006 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

空想世界と少しの現実

空想世界と少しの現実

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

緋褪色

緋褪色

Freepage List

Comments

緋褪色@ 美羽子さんへ コメントありがとうです! 美羽子さんの…
緋褪色@ black obeliskさんへ ご無沙汰しております! データー・・・…
緋褪色@ ながさわひろさんへ お返事遅くなってしまい申し訳ありません…
美羽子@ Re:小説、しばらくお休みさせていただきます。(09/16) お話をより良くする為のデータ移しや編集…
black_obelisk@ Re:小説、しばらくお休みさせていただきます。(09/16) コメントではお久しぶりです。 データを…

Category

Favorite Blog

(・(ェ)・) 櫻戯さん
寝ても覚めても貴方… mi wa koさん
腐女子の囁き♪ あきらNo.1さん
おれ兵隊だから 天の字さん
black obelisk black_obeliskさん

Archives

2024/11
2024/10
2024/09
2024/08
2024/07
2008/08/23
XML
君のいない日常は、自分にとって当たり前だなんて、どうしても想えない。俺の護るべき人、染姫、君だけなんだ。時折電話して近況を報告し合う。声を聞くたびに、離れている切なさで、心が引き裂かれそうになるんだ。

そしてどこかで、君と白雅さんが間違いを犯すのじゃないかって、恐怖に怯えている。信じていても離れている距離が、真綿でじわじわと締め付けられるように、心の呼吸を奪っていく。

人を好きになるって、こんなにも苦しいんだね。今までしてきた恋が、全て幼稚だったと、フェイクだったとつくづく想うよ。彼女に手紙を書きながら考える。
電話も、メールも普及している今の時代、遅れてるかもしれないけど、彼女に形に残るような恋文を贈りたかった。俺からの強いメッセージが、離れている距離を感じなくさせるほど、君の心を繋ぎ止めると信じるから。

離れて半年が過ぎている。もう?それともあっという間だったのかな。仕事に復帰したという彼女は、愛美を連れてklavierに行っている。さすがだね、白雅さん貴方ってやっぱり凄い人だよ。
感嘆する一方で、強い嫉妬心に苛まれる心。ねぇ染姫、俺は心から君を信じ切れていないのかな?ねぇ、どうしたら俺は、君の心を完全に掴んだと、確信が持てるんだろう!

愛してるって簡単には言えないよ。心から君が好きだから。同じ言葉を、君の顔を見つめたまま聴きたい。そして脳裏に強く焼き付けたいんだ。そうすれば離れている距離すらも、たわいも無いと考えられるから。

彼女が愛美を抱き上げて、微笑んでいる姿の写真。それを前にして少し微笑む。「逢いたいな、君達に」言葉に出せば、現実になりそうな気がするよ。手紙を書き終えて長い溜息を付いた。


「愛美、すごい熱!」彼女の額に手を当て、思わず呟いた。どうしよう、もう夜の十時、医者はやってない。どうすればいいんだっけ?こんな時?必死に頭を巡らせる。
とりあえず冷静にならなくちゃ。この子の母親は私だけなんだからっ!!

体温を測ると40度の熱!確か、解熱剤は、あまり使わない方がいいんだよね?考えて水枕を作り出す。「大丈夫、大丈夫だよ!ママが何とかするからね!愛美、ママがいるから大丈夫だよ!」ぐったりする彼女を抱き上げたまま、水枕に水と氷と塩を入れた。

「熱が出たときには、解熱剤はあんまり使わない方がいいらしいぞ!水枕に、水と氷を入れて、更に塩を入れるともっと冷えるから、憶えておけよ!なんでも自分で抱え込まず、不安があったら相談しろよな!」

白雅の言葉を想い返す。前以って聞いていたアドバイスが役立つ時が来た。私はもうお母さんなんだから、しっかりしなくちゃ!強くなる為に、この国に残るって決めたんだもん!
紅緒、大丈夫だよ。君からの励ましは、私を十二分に勇気をくれているよ!

だから、一人でも頑張れるんだから!それでも半分泣きそうになりながら、不安に押し潰されそうな感情を、唇を噛み締めてひたすら耐える。紅緒、君が側にいてくれたなら。一瞬過ぎる想いをすぐにかき消す。

「そんなこと想うくらいなら、もっと強くなれ!私っ!!」甘えは必要ないんだよ、私はもっと強くなるって決めたんだから!「愛美、ママがずっと一緒にいるからね!」
言い聞かせながら、ベットに彼女を連れて行く。

息が熱い。手も足も。「可哀想に、ごめんね、もっと早く気がついてあげれば、お医者さんにいけたのに。駄目なママでごめんね・・・」額を撫でながら彼女の隣に添い寝する。
小さな手が私の手を求める。握り締めて応えると力なく微かに笑った。

「愛美・・・」こんな時まで、ママに気を使わなくったっていいのに!「いい子過ぎるくらい、愛美はいい子だよ!」顔を見ていたら感情を堪えきれなくなって、涙が零れ落ちた。

「えっ!!愛美が熱出した?大丈夫なのかよっ!!うん、いいよ、休め!お前は平気なのか?そうか、帰りにそっち寄るよ!来るなって、そりゃないだろ?(´ω`ι)はいはい!でも多分行くからさ!じゃあな!」

「なによっ!!来るなって言ってるのにっ!!いくら元旦那でも、私達の部屋に気軽に来ないでよねっ!!」電話を切り終えて白雅に非難!全く、こういう点、デリカシーに欠けるわ!貴方って!
離婚してからの彼と私、まるで友達みたいな付き合い。白雅だって結婚すればいいのに。そうすれば、こんなに私に気を使う必要ないのにね。小さく溜息。

その一方で、結婚してほしくないとも想う。なんでだろ?とっくに未練なんて無いのに。「変なの!私達って!」呟いて薄く笑う。
愛美の熱は38度5分まで下がって、少しだけ食欲も出てきていた。お母さんって大変なんだなって改めて感じる。

私もこうやって育てられてきたんだよね!京都にいる母を想う。単身赴任でこちらに来ている父と兄。染色工房を手放し、店だけになった実家。母はそこに残ったままだ。なんだか急に母の声が聞きたくなって、実家に電話を掛けてみた。

他愛のない会話を交わした後、母に尋ねた。「すごいよね、お父さんと離れていて、不安は無いの?」

私の問いに母は一笑! 「いやーね!不安なんてないわよ!お父さんも、いい加減いい年じゃないの。女遊びも羽振りのいい頃だけよ!それよりも早く、紅緒君だったわよね?入籍しちゃいなさいよ!」

「あんまり男性を待たせちゃいけないわよ!お母さんこの間、こっそり銀座店行っちゃったわ!いい子じゃない!でもちょっぴり疲れた顔してたわよ!」
「紅緒に会ったの?」ヮ(゚д゚)ォ! 

「声は掛けていないわよ!(´∀`*))ァ'`,、 こっそり娘の恋人がどんな人か見たくなったの。貴女には今度こそ、幸せになってほしいんですもの!」

恋人

「ごめんね、お母さん」
「謝る必要ないわよ!貴女が出した決断に、親でも、口出し出来ないんだから。それでも心配で、今回、彼氏見に行っちゃったんだけどね!」

電話口で屈託なく笑う母。ごめんね、心配かけて。言葉に出せない謝罪を心で繰り返す。「突然ごめんね、電話しちゃって。お母さんの声聞いたら、安心したよ。私は元気だから大丈夫」

「そう?ならいいわ!愛美の風邪、早く治るといいわね!貴女もあまり無理するんじゃないわよ!白雅君にも宜しくね!そうそう!お父さんに愛してるわって言っといて!((藁´∀`)) じゃあね!」

「はーい!相変わらずラブラブね!じゃあね、バイバイ!」電話を切って、心が少しだけ楽になっていた。母はいつも明るくて、みんなをほっとさせてくれる、太陽みたいな人だ。
ねぇ、お母さん、私も貴女みたいになれる?異国から日本に来て、多くの苦労も、文化の違いに困惑したでしょうに。

疲れた顔していたなんて、紅緒、今君はまさに、その渦中にいるんだよね?逢いたい、凄く逢いたいよ・・・置いた受話器をぎゅっと握り締めた。


ダンシング・オン・ザ・ウォーター番外編 最終回 プロポーズへ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008/08/23 10:54:12 PM
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X