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空想世界と少しの現実

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緋褪色

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「待てっ!!愛美っ!!座って飯食えっ!!こらーっ!!何でこんなに落ち着きがないんだ??愛美はっ!!」染姫に愛美を預けられた初日、俺は慣れない育児に四苦八苦!
育児って・・・地獄だ(>д<;)
「愛美が、角の生えた小悪魔に見えるぜ!」俺の言葉に浄瑠璃が苦笑を浮かべる!


「駄目だね、白雅!もっと忍耐力も持たないと!姉さんの大変さ、少しは解った?」 
「解りたくないけど、解ったよ!だーから、愛美っ!!飯を手で掴むなっ!!あーっ!!味噌汁ひっくり返したぞっ!!浄瑠璃!お前笑ってないで手を貸せっ!!」
「しょうがないな~!愛美、おじちゃんが抱っこしてあげるよ!座ってご飯食べようね!白雅パパは忍耐力無いから、愛美は嫌なんでしょ?よしよし!」

「何で俺よりお前に懐く?愛美、父ちゃんは、こんなにお前に尽くしてるのに~!」俺のぼやきに奴が笑う!
「愛美はね、のんびりやなんだよ!白雅はせっかちで、型通りに世話をしようとするから、彼女は言う事聞かないんじゃないのかな?手でご飯を掴むのは、子どもだったら誰でもやるでしょ?」
「でも、もうスプーンで飯食えるんだぜ?何で手で掴む?それが解んねぇっ!!」

「怒っている感情に、愛美は敏感だよ!もっと君も落ち着かないと!ほら僕がやると、ちゃんと自分食べるもの!いい子だね、愛美」
不貞腐れる俺。「父ちゃんより、おじさんがいいのかよ~!切ねーな!それにしても、お前も育児すっかり慣れたな!浄瑠璃!」言葉に明るく答える。

「そりゃそうですよ!僕だって一児の父親なんですからね!たまにSarraute(サロート)さんとDaladier(ダラディエ)さんの不在の時に、僕がBalzac (バルザック)を預かるんですから。男の子も可愛いですよ!眼の大きいところが僕似です!」
奴のところに産まれたのは男の子。髪の色も奴そっくりな、可愛い子だった。Sarrauteさんは二人目を妊娠中。無論こいつの子だ。「なんだか、複雑だよな~!Daladierさんが気の毒に想えるぜ!」

Sarraute、浄瑠璃

「仕方ないでしょ?そういう約束になっているんだから。僕達には、感情を絡めないって決まりがあるんだからね!相変わらずそこには拘るね?白雅なんて、僕がいないところで、浮気してたくせに!」

「そこをつくなって!鳳梨とはセ○レだったのっ!!それよりお前、早くフランスから帰って来いよ~!寂しいんですけどっ!!一時帰国が一週間だけなんて、辛すぎだぜっ!!」思わず溜息をつくと、いたずらっぽく微笑みを浮かべた。

「しょうがないでしょ?我慢してください!姉さん、紅緒さんの所に行ったんですね、彼も喜んでいるんじゃないですか?好きな人に逢えて。愛美、おじちゃんと一緒にお風呂入ろうか?もう、お腹一杯みたいだもんね!」

「一週間か」それでも、想い人が側にいるのはすっげー嬉しい。今、お前もあいつの腕の中で、幸せを噛み締めているんだろうな。まっ、お前が幸せならそれでいいさ!愛美を抱き上げて、風呂に向かう浄瑠璃の背中を見守った。

前以って、klavier銀座店に電話を掛けて、彼が休みだと確認していた。どうしても逢いたくなって、日本まで来てしまった。白雅に愛美を預けて。いいよね、たまには。彼だって父親なんだから。

賃貸マンションに暮らす紅緒。なんだかドキドキするよ!インターホンを押す指が、微かに震えている。スピーカーから懐かしい彼の声「はい」
「私です」「えっ!!もしかして染姫?まっ待ってて!今開けるからっ!!」
慌てて受話器を置く音がして、ガチャガチャと乱暴に鍵を開錠する音。そんなに慌てなくても、逃げないのに。少し可笑しくなってしまう。外側に開けられた扉から、大好きな人が顔を覗かせた。

「染姫・・・」「久しぶり」言い終えないうちに、身体を強く抱き締められていた。懐かしい温もりと、BVLGARI BLV NOTTEの香り。私と同じ香水を漂わせた愛する君。

「逢いたかった・・・染姫」「私も」優しく口づけをくれる何度も何度も。逢いたかったよ、すっごく。紅緒

「中、入らない?染姫」彼が促す言葉に頷いて、軽く背中を押してエスコートしてくれる。玄関の扉が閉まった後、鍵を閉めた彼は、再び身体を強く抱き締めた。胸が苦しくなるくらい。

「紅緒、話があるの」「ん?話?まさか別れ話じゃないよね?」
「だったらどうする?」「そんなわけないもん!染姫笑ってるし」「あはは!ばれちゃった?その前にお邪魔していい?」「もちろん!どうぞ!」
彼につかまったまま、履いていた黒いヒールを脱いで、玄関で揃える様子を見守る。とても嬉しそうな表情に、心が温かくなる!来てよかった、君に逢いに。

ずっと彼女を追う側だったんだもの、君が此処まで来てくれたなんて、余程のことだよね!部屋に通し入れながら想う。「愛美は白雅さんに預けてきたんだね?」「うん、ごめん、逢いたかったでしょ?」「まあね!」

「話って何?」「ん・・・KISSしてくれたら教えてあげる」「言われなくてもしちゃう」唇を奪われてゆっくりと眼を閉じた。
KISSしながら、俺の背中に文字を書き始める。何度も何度も。アイシテル ケッコンシヨウ
カタカナで書かれる文字に、心臓が強く高鳴った!マジでっ!!
唇を解放して彼女を見つめる!「結婚、してくれるの??」 
「うん!結婚しよう!もう決めたよ!迷いもない。離れてみてよく解った。私に必要なのは紅緒だけ!」彼女の手が頬に触れる。不覚にも涙が浮かんでいた。彼女は微笑を浮かべて、涙を人差し指で拭う。

「やっべーっ!!マジ嬉しいんだけどっ!!襲っていい??っつーか襲っちゃうっ!!」染姫の返事も聞かず、俺は彼女の身体を抱き上げて、ベットルームの扉を開けた。

「紅緒、今日はつけないで。私、君との子どもが欲しいの。その為にこっちに来たんだから」
俺を見つめる彼女は、大きな瞳に決意を滲ませる。「俺との・・子?」頷く染姫。「でもさ、まだ愛美も小さいよ?大丈夫?」

「大丈夫だよ。そんなに心配しないで!貴方の不在、ちゃんと立派に護ります。紅緒そっくりな男の子が欲しいな!頑張って!パパ!」いたずらっぽい表情で微笑む!もう可愛くて愛しくてたまらないっ!!
「うっしゃーっ!!頑張るぜっ!!」彼女の服に手を掛ける手が、緊張で震えてる。最初の時みたいだ!この日の為に揃えたのかな、黒の下着はklavierの新作だ!「klavierの新作だよね?すげーセクシーなんですけど?脱がすのが勿体無いくらい!」


「さすが店長さん!気がつきましたか?これ、私がデザインしたんだよ!君に脱がされる想像をしながらね!」「マジで!すっげー嬉しいっ!!」肩ひもがシルバーチェーンで出来ていて、服から見えてもエレガントなブラ。ショーツはレースたっぷり使った、レーヨンのショーツ。今回の新作の中で、一番売れ行きがいい下着のセットだった。

KISSで唇を塞いだまま、彼女の背中に手を回し、フックをそっと外す。露になった綺麗な胸は、初めての時と変わらない。唇を解放し耳元で囁く。「綺麗だよ、染姫。子ども産む前より痩せたね」
「毎晩腹筋と測筋してるよ。あと二キロのダンベルもね。紅緒にたくさん喜んで欲しいから」
「嬉しいね、男としてはたまんない!奥さんには、ずっと綺麗でいて欲しいもん!」

「あっ!」 声を上げる表情が悩ましい。「もっと声出していいよ、その方が俺、燃えるから」「ん・・・あン・・」可愛い声を出して、身体を捩らせる姿に見惚れる。いっぱいいっぱい感じさせて、何度でも天国を味合わせたい衝動が、下着に指を掛けさせた。

「俺が欲しい?染姫。身体は正直に反応しちゃってるよ」少しだけ意地悪を言いたくなる。もっと君の、悩ましい姿が見たいんだ!笑ロいって言われても、とことん彼女を堪能する為に、煽る言葉を囁き続けるからさ、もっと乱れて!

「欲しいよ・・紅・緒・・・ハァ・・・」吐息が熱い。唇を塞いでゆっくりと身体を重ねると、少し大きくなる喘ぎ。俺が男だって感じる瞬間だ!「すっげーいい感じ!染姫、ねぇ、俺色に染まって!ずっとこれから先も、俺だけの色で」彼女はうっとりとした表情を浮かべて、優しく微笑み返す。

「ん・・・違うよ、紅緒、私が貴方を染め上げるんだよ?だから私の名前は、物を染める女の意味の、染姫なんだから、ね?」

可愛い微笑みに、胸は最高潮に高まる!「じゃ、俺を何度でも染め上げて!染姫の色で!藍が染めれば一層深くなるように、君だけの深い愛で俺を染め上げて!」聡明な君なら解るよね?これって、ずっと考えていた、俺からのプロポーズの言葉なんだぜ!

先にプロポーズされちゃったけど、まぁいいか!少し笑って、体の下の彼女の額にキスをした。



                         









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Last updated  2008/08/23 11:17:20 PM
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