アロンアルファより強力なグミ
オフィスで仕事を手伝ってくれているS子ちゃんにカエルの形をしたグミをすすめられ、ありがたくいただいた所、予想外に粘着力が強力で、ゴリッといういやな予感がする歯応えとともに、奥歯の詰め物がぽろっと取れてしまった。グミ(イメージ)S子ちゃんの前では冷静さを装っていたおいらの焦りは実は半端ではなく、歯の心配より、真っ先に頭に浮かんだのはお金だわお金だわお金だわお金だわお金だわお金だわお金だわという事だった。なんせ歯科のみならず、医療については高額かつ「売り手市場」であるこの国。診療所のアポは数ヶ月待ちだの、歯の治療は千ドル単位だの、そんな噂ばかりを聞いていたので、日本で出来る限りの治療とメンテナンスを受けて赴任してきたのだが、ついに赴任4年半目をして初めてこちらの歯科治療を受けるハメとなってしまった。しかし予想に反し、思いのほか治療のアポイントはあっさりと取れ、翌日の午後には町の歯医者さんの待合室にいるおいらの姿があった。しかも初診の手続きの後にすぐに診察室へ通され、全くストレスを感じる事なく診療を受ける事が出来た。診察スペースは完全個室。診察台はフルリクライニングでまるでファーストクラスのシートのよう。おまけにオーバーヘッドモニターではクローズアップされた患部の映像が映し出され、先生はその映像を指し示しながら症状と治療に関する懇切丁寧な説明をしてくれたのだった。イメージ歯医者に行ったのはかれこれ5年近くも前なので、歯科医療とはこんなに大きく進化していたのか、とスマホショックに引き続き大きなカルチャーショックを受けた。先生の説明によると、おいらのFilling(詰め物)が取れてしまったのは、経年劣化によるものと、内部の虫歯が進行してしまった事による緩みに起因しており、(この時とても「蛙の形をしたグミ」が原因である事は公言できず)治療のオプションとしては、取れた銀製の詰め物を再接着するか、今の穴の形にあわせ、新しいセラミック製の詰め物を作り直すかのいずれかとの事だった。前者の場合は当日その場で処置が完了し、治療費も200ドルで済むが、またポロリと取れる可能性は否定できない。後者の場合は半永久的に問題解決できるが、さらに3日の治療を要し、金額もだいたい1,000ドルくらいになるとの事。日本の健康保険以外の医療保険に加入していないおいらは、迷わず前者を選択し、様子を見る事にした。たかだか奥歯1本に1,000ドルかけるのは、たとえ清水の舞台からバンジージャンプをしたとしても決断できないおいらであった。治療は滞りなく終了し、先生は、「説明の通りこれはあくまで仮処置だから、今後痛みや知覚過敏などの症状が出たらいつでも遠慮なくコールしてね」と言ってくれた。今回はアポイント及び事務対応、待ち時間、ファシリティ、医師による適切な説明などどれをとっても申し分なく、これまで聞いていた豪州歯科医療に関する巷の悪評は何だったんだろうと思うほどであった。Icon Dental GroupShop 5b Echelon 18-22 Anzac Parade, Yeppoon QLD 470307 4939 2900http://www.icondental.com.au/と同時に、後日おいらが外出していた時に、おいらのデスクにはS子ちゃんからの業務メモと共に、差入れとして事もあろうに「同じ破壊力を持つグミ」が置いてあり、「実はこいつが犯人です」とグミの袋と一緒にS子ちゃんの首根っこをつかまえて先生のところへ突き出してやりたいという気持ちを抱いたのであった。S子ちゃん、でもいつも仕事のお手伝い感謝しています。次は歯に優しいお菓子でお願い♪。