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カテゴリ:本の感想 作家別-ま行
実はこちらが 宮本作品 お初
すごく読みやすいことにびっくり 人気作家は つい遠巻きにしてしまっていて いままで遠巻きにしていたのを反省 今作を知ったきっかけは 新聞の書評欄で あらすじを読み 主人公が管理人として 立ち退き勧告中のビルに着任し 一癖も二癖もありそうな 不法住居者たちとどのように渡り合って行くのかと 興味をもったのがそもそもの始まり。 昨年刊行の単行本ゆえ 図書館予約をいれたら まつこと 一年近く、、 やっと上・下そろいで 読めました。 杉山ビルヂング 別名 骸骨ビルの その 骸骨という響きに なかなか後ろ暗いストーリーが展開されるのかと 思っていたら 新の意味での舞台は「骸骨ビルの庭」の”庭” そこは一人の青年が 戦後 友人の一人とともに 期せずして 戦災孤児達を育て上げた場所 その養い子の一人が後年 育ての親より 性的虐待を受けていたと告訴 スキャンダルにまみれるなか 養い親は 非業の死をとげる その背景にはビルの管理をめぐる 遺産相続がからんでいるようで 主人公 八木沢は そういったいきさつを 何一つ聞かされず、 不法住居社たちに立ち退きの説得を おこなう管理人としてやってきます。 そして入居者たち すなわち この骸骨ビルで 拾われ育てられた戦災孤児達の 育ての親達との 当時の暮らしを 聞き書き留めるという形で話が進みます。 そこには戦後の焼け跡のなか ある者は戦争で親を失い、ある者は親に捨てられ その”欠けた”ものを かかえながら 骸骨ビルで養い親と出会い 食べるために「庭」で作物を育てる日々で 「人として」生きるすべの手助けを受け また知らず知らずに与えていた物語 骨身を惜しんだらどうなるか! 今の日本であれば (幸いに) 多少の支障があって住む程度のことが 作中では それは飢餓の一歩であり 死をむかえることにつながる 荒れ果てた時代 そんな中にあっての まさに”むきだし”の 慈しみ が とても 心に残る言葉の数々で 目頭が何度も熱くなってきました。
住人たちを立ち退かせるため、八木沢省三郎は管理人として骸骨ビルに着任する。そこは、戦後、二人の青年が子供たちを育てた場所だった。食料にも事欠き、庭で野菜を作りながら、彼らは命を賭して子供たちと生きた。成人してもなおビルに住み続けるかつての子供たちと、老いた育ての親、それぞれの人生の軌跡と断ち切れぬ絆が八木沢の心を動かす。すべての日本人が忘れられない記憶。現代人が失った純粋な生き方が、今、鮮やかに甦る。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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