常人ではない!!「鷹と生きる~鷹使い松原英俊の半生~」
待望の本が届いた。図書館に取り寄せを依頼していた山と渓谷社発行 谷山宏典著「鷹と生きる~鷹使い・松原英俊の半生~」である。遠い流山図書館からはるばる届いた貴重本で返却期日厳守なのですぐ読んだ。以前、ネットでこの松原さんについては概略知っていたが、本を読んでみると様々なことが判明した。父は銀行員、母は小学校の教員という恵まれた家庭で育ち、慶応義塾大学に進学したけどほとんど授業は受けないで卒業したこと、鷹とともに自然の中で生きていくことを決意して沓掛朝治さんに弟子入りし、基本技術を習うが、1年で独立したいきさつ、特に興味深かったのは奥さんとの出会いや結婚までの流れ、電気も水道もガスもない山小屋での自給自足生活、鷹の訓練などなど。とても常人とは思えない破天荒かつ鷹とともに生きることに喜びに見出す生活に何の揺るぎもないまっすぐな人生を送ってきた人だった。 左手にクマタカを留まらせて新聞を読む松原さん 一緒に狩りをする松原氏とクマタカ加無号 月山の雪深い地域で狩りをする鷹は自分の分身で鷹の断食が過ぎて鷹を死なせてしまった時の悲嘆のくれ方が尋常ではない。「妻子よりクマタカが大事」と言い、大火事の時、妻子の行方よりクマタカを優先して救出したのだった。ただ奥さんもその生き方に共鳴して結婚しただけあって肝が据わっている人に思えた。彼の理想の生き方はデルス・ウザーラだと言う。すごく納得した。大昔、デルス・ウザーラという映画があったのを思い出した。とにかく便利で物質的に豊かな生活というものに全く固執せず、鷹と自然の中でともに生きることが幸福と感じる稀有な人の生き方はすごく刺激的でたるんだ心を揺すられた。