『死者の伝記』
『死者の伝記』。ナショナルジオグラフィック製作のドキュメンタリー映像である。先日、パソコンテレビ「ギャオ」にて視聴した。アメリカのテネシー大学が法医学、法人類学の立場から死体の腐敗過程についての研究を短編のドキュメンタリー映像にしたものだ。大変ショッキングな映像もあるが、制作者の真摯な気持ちが伝わる作品だった。死体の腐敗過程には季節、気温、湿度、着衣の有無など特定の要因が影響し、ウジの成長度合いから死亡推定日時を割り出すとか、科学的に死後の腐敗を見つめてゆく内容だ。献体として提供された遺体も、科学や犯罪捜査の鑑識技術向上のために提供されており、科学者たちも自身が死亡した場合は自分も献体として提供したいと望んだり、科学者や協力者の誠実な気持ちも伝わってくる。法医学や法人類学でも研究が遅れている分野であるということを知り、地道な研究の重要性を認識させてくれる作品だった。このような研究の背景には、映像には描かれていないがアメリカの犯罪の深刻さも意識させてくれる。4月からギャオのドキュメンタリーコーナーが消滅してしまうようだが残念だ。視聴率が低いのだろうが、良質のドキュメンタリーは放送を続けて欲しいが。※追記:GYAOが2023年3月31日でサービスを終了しました。写真:北アフリカのドイツ軍兵士の墓墓標によると、Ernst Fogt(エルンスト フォークト)geb(geboren 生まれ)29.5.18(1918年5月29日生まれ)gest(gestorben 亡くなる)12.10.41(1941年10月12日戦死)