カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
山粧う三面鏡に百の母 数式にエナドリの染み降り 誤字減点泣きべそ帰路に色葉散 焼けた顔赤土で歓喜秋実る まつりの後満点の月懐く風 枝豆を買うダイハード放映日 百点に二重線あり豊の秋 百点を集めたアルバム星月夜
10月17日のプレバト俳句。 お題は「100点満点」。 ◇ 望月理恵。 山粧う 三面鏡に百の母 星流る 三面鏡に百の母(添削後) 星月夜 三面鏡に百の母(添削後) これは稀に見る "結果オーライ" の句! どう考えても「百歳の母」と読めるし、 先生もそう解釈したはずですが、 作者の話によると、 「100点のテストを渡したときの母」 だそうですwww 実際、 作者の年齢から察するに、 母親が百歳のはずはないのよね…(^^; 作者の意図とはまったく別の句なので、 通常なら容赦なく減点されるはずですが、 誰ひとりそれをツッコむこともなく、 70点の《才能アリ1位》が確定しました。 才能アリが誰もいないのは、 番組的に体裁が悪いからかもしれません。 まあ、結果オーライとはいえ、 たしかに「三面鏡に百の母」というフレーズは、 なかなか魅力的で捨てがたいものがある。 惜しむらくは季語が近いこと。 添削句では、 夜の季語を取り合わせましたが、 「百歳の老婆が夜の鏡に向かう」ってのは、 あまり健康的な感じがしませんね。 あくまで昼の句にすべきだと思います。 たとえば、 秋草や 三面鏡に百の母 くらいでいいのでは? ※ちなみに、添削のような夜の句にした場合は、《百歳の母》という意味ではなく、《夜の仕事に出掛けようとする母が、七変化の化粧と合わせ鏡とが相俟って百面相にも見えてくる》みたいな幻想句と読めるかもしれません。 ◇ ラランド・ニシダ。 数式にエナドリの染み 降くだり月 数式にエナドリの染み 星流る(添削後) なかなか面白い句です。 中七の「エナドリ」は、 エナジードリンクの略語だそうです。 秋の季語「降り月」は、 満月から欠けはじめる月のこと。 もちろん作者は、 「学生の句」として詠んだわけですが、 写真を見ずに字面だけで解釈すれば、 「学者の句」として読むこともできる。 先生は「季語が近い」との理由で添削しましたが、 わたしは、かならずしもそうは思わない。 なぜなら「エナドリの染み」は、 失敗の跡とも努力の跡とも解釈できるから。 かりに「学者の句」として読んだ場合、 研究の成果がポジティブなものかネガティブなものか、 季語の取り合わせによって意味合いが逆転する。 季語を変えた結果、 原句と添削句とでまったく印象が変わるし、 ある意味では改作になってるともいえます。 ◇ Hey! Say! JUMP薮宏太。 誤字減点 泣きべそ帰路に色葉散る 誤字減点 泣きべその帰路 鰯雲(添削後) これも「季語が近い」との理由で直してますが、 なぜか添削のほうは三段切れになってます。 そこは「泣きべそ帰路の鰯雲」と書けば解決する。 ◇ 青山祐子。 焼けた顔 赤土コートで歓喜 秋実る 赤土のコート 歓喜の秋高し(添削後) 原句は三段切れで、 夏の「日焼け」と「秋」の季重なり。 ちなみに「秋実る」なんて季語はありません。 「秋が実る」という意味なのか、 「秋に実る」という意味なのか知らんけど、 なんとなく季語っぽい言葉を発明しちゃったの?? これは添削のほうが妥当です。 ◇ 笠松将。 まつりの後ご 満点の月 懐く風 満点の月や 祭の後の風(添削後) 原句は三段切れで、 夏の「祭り」と秋の「月」の季重なり。 ただし、作者の話によれば、 ここでいう「まつり」は実際の祭りじゃなく、 前回のプレバト収録現場の比喩なのだそうです。 そして「満点」も月の比喩的な形容。 下五の「懐く」は風の擬人化です。 端的にいうなら、 三段切れで比喩と擬人化を並べた意味不明な句w かたや先生の添削は、 その比喩を真に受けて「祭」の句に直してますが、 やはり夏の句なのか秋の句なのか分かりません。 ためしに、 収録のあとの満月 風なじむ としてみました。 ◇ こがけん。 枝豆を買うダイハード放映日 先生は、 句またがりの二句一章と解釈してましたが… その場合は、 「ダイハード放映日なので、枝豆を買う」 という因果関係の取り合わせになってしまう。 なので、 これはあくまで一句一章と解釈すべきでしょう。 つまり、動詞「買う」は終止形でなく連体形です。 ◇ 梅沢富美男。 百点に二重線あり 豊とよの秋 豊の秋闌たけ 百点に二重線(添削後) 兼題写真をそのまま詠んだような句ですが、 懸念すべき点があるとすれば、 「訂正・取り消しの二重線」と誤読されかねないこと。 そうした誤読を避けるためにこそ、 ポジティブな季語を取り合わせる必要がある。 …とはいえ、 添削句の「豊の秋が闌ける」ってのは、 ポジティブ表現があまりに過剰でくどい。 ほとんど重複的だというべきです。 ◇ 清水アナ。 百点を集めたアルバム 星月夜 アルバムに写真だけでなく、 新聞の切り抜きなどを貼る人はいますが、 テストの答案用紙を貼る人もいるんですね(笑)。 幼い日の輝かしい記憶を、 満天の星月夜に重ねたってことでしょう。 それを微笑ましいと感じるのか、 一笑に付すのかは読み手しだいですが、 形式的にいえば中八なのが欠点です。
▽過去の記事はこちら https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.10.21 15:20:42
[プレバト俳句を添削ごと査定?!] カテゴリの最新記事
|
|