テーマ:時計NEWS(281)
カテゴリ:TAG Heuer
今年のタグ・ホイヤーは、新型自社開発クロノグラフムーブメント「Cal.1887」を発表し、これを搭載する「カレラ」の予定価格を40万円台に設定するなど、ETA2010年問題への対応に抜かりはありません。この価格設定は他ブランド(とりわけクロノグラフを多く扱う中堅ブランド)にとって、とても楽観視できるものではないでしょう。私の予想も大きく裏切られました^^;)
ところで、今年のタグ・ホイヤーにはもう一つ興味深い発表がありました。それがコンセプトモデル「ペンデュラム・コンセプト」です。 なんとこのコンセプトモデルは、従来通りスイスレバー脱進機を搭載しながら「ひげゼンマイ」を持ちません。かといって電子デバイスも一切使用しない、正真正銘の「機械式」です。アンクルを介してテンプに主ゼンマイの動力を伝えると同時に、テンプの往復運動から正確な運針のタイミングを受け取るという作動原理は機械式時計そのものですが、ひげゼンマイの代わりに「磁力」を使用しています。テンプに埋め込まれた永久磁石がひげゼンマイの変わりに復元トルクを生み出すというわけです。 機械式時計が発明された17世紀以降、ひげゼンマイは様々な改良が加えられながら300年以上機械式時計の心臓部に欠かせない部品として今日に至っています。しかし克服できなかった欠点も存在しました。温度変化や重力に影響される点です。材質は日進月歩で進化するも、線膨張係数を「0」にするには至らず(シリコンは線膨張係数が大きいらしい)、幾何学的な重心が回転により変化する問題は解決できませんでした。 そこでタグ・ホイヤーが目を付けたのが「磁力」だったわけです。 磁力は磁場によって主に鉄に作用する力で、磁場には質量も無ければ体積もないのですから少なくとも重心の問題は完全に解決されると言っていいでしょう。但し温度変化に関してはどうなんでしょうか?磁石って温度によって磁場が変化したりしないのでしょうか?また、ひげゼンマイ以上に磁気の影響を受けそうな気もします。コンセプトモデルではテンプがオープンハート状態で耐磁が考慮されているようには見えませんが、まあショーモデルと考えれば不自然ではないし。実際のところどうなんでしょうね、気になります。 何れにせよタグ・ホイヤーの場合、モナコV4のベルト駆動もそうであったように、コンセプトモデルは必ず市販化しているので、近い将来市販化される可能性はかなり高いと思われます。もしかしたら機械式時計に大革命をもたらすかもしれない「磁石テンプ」、他社の追従の有無など含め楽しみな技術であると思います。 ただひげゼンマイには機械式時計300年以上の歴史、先人の知恵が詰まっています。これがいきなり無くなってしまうというのは少々寂しくもあります... ※磁力や磁場に関しては当方専門家ではないため正しい表現か自信がありません。ですのでもしご指摘等あれば書き込みをお願い致します。 タグ・ホイヤーの時計を探す お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.04.18 19:52:26
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