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小沢蘆庵(おざわ・ろあん) そのかみのはらへに捨てし人かたは けふのひひなをうらやみぬべし 『六帖詠草拾遺』(江戸時代中期) その昔、祓えとして流し捨てられた人形は 今日の大切に飾られる雛をきっとうらやんでいるのだろうなあ。 註 今に続く雛祭り(上巳の節句、桃の節句)の起源が流し雛の風習であり、雛が本来は災禍や穢れを憑依させて流す禊や祓いの神事の形代(かたしろ)で、「精霊流し」などに類するものだったことはよく知られている。 流され捨てられた昔の人形が、この歌が詠まれた頃(江戸時代)から美々しく飾られるようになった雛人形を羨んでいるという、奇抜な発想が面白い。 そのかみ:(すっかり様変わりした今から見て)随分さかのぼった昔。 ぬべし:完了の助動詞「ぬ」の終止形に推量の助動詞「べし」がついたもので、陳述を確実にし強調する用法。きっと~だろう。確かに~だろう。cf.)正岡子規(俳句)「鶏頭の十四五本もありぬべし」。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年03月03日 14時07分05秒
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