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井上文雄(いのうえ・ふみお) 少女子がかしづくみれば いもとせの紙ひひなとぞいふべかりける 『詞鶴集』(江戸末期) 小さな女の子が大切に世話をしているものを見てみたら 妹と背の紙の雛というべきものであったよ。 註 文脈から見ると、節句当日ではないのかもしれない。小さな女の子が何やら大事に扱っているものを覗いてみたら、紙で作った男女一対のお雛様のようなものだったのが、たまらなく可愛らしかったなあ。 かしづく(傅く):(女の子などを)大切に世話をする。大事に育む。 いもとせ(妹と背):夫婦や恋人、親しい男女を言った上古語。妹背。 紙ひひな:紙でできた素朴な雛。 ぞ・・・べかりける:指定・強調・断定の係助詞「ぞ」と、当然・推量の意味の助動詞「べし」の補助活用の連用形「べかり」(「べくあり」が約まったもの)に、詠嘆を込めた過去の気づき・諧謔などのニュアンスの「けり」(「きあり」が約まったもの)がついた「ベかりけり」(べきだった、~のが当然だった)の係り結びで、語尾は連体形「ける」で受ける。「もの」「こと」「とき」などが省略された準体言用法でもあり、これらの形式名詞を補って読む。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年03月03日 14時09分02秒
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