カテゴリ:J-POPパラディーゾ
桑田佳祐 SMILE 晴れ渡る 空のように 初めてラジオかなにかで聴いたとき、ああ、いいなあと思った。 それから50回ぐらい聴いているが、けっこうまだ飽きない(笑)。 オリンピックのテーマ曲といえば、これまでいつもNHKが常勝で、言っては悪いけれども民放はほとんど記憶にも残らない有様だったが、東京五輪というこの決定的な舞台で、今回は誰の耳にも民放圧勝。桑田がこれ以上ないドンピシャのハマリ役だった。 一個の音楽作品としても、なかなかの出来ではないか。 長きにわたり桑田の天才的な表現の冒険の数々に驚嘆させられてきた僕らとしては、「神曲」とまでは言わないけれども、十分Sクラスの名曲。 全体としては祝祭感の醸成に鉄板の和声(コード)「(パッヘルベルの)カノン進行」を採用しつつ、ちょっとエキゾチック(オリエンタル)なBメロで盛り上げていき、サビのメロディーの美しさは、さすが桑田。 ポピュラー音楽に、というより音楽に、こんなに美しい旋律がまだ残されていたのかとさえ思う。天下一品の余裕ある円熟の歌唱が唸らせてくれる。 歌詞も、タイアップ的なありきたりの凡庸な表現を超え、貫禄ある表現者として自由で深みのある第一級の詞になっている。 旋律(いわば韻律)に対して字余り気味に詰め込んだ歌詞も、悪くない、どころかむしろ一種の前のめりな熱情感とダイナミズム(躍動感)を醸し出している。 サビの部分で歌い上げられる「情熱を消さないで 歩みを止めないで」「悪戯(いたずら)な運命(さだめ)にも 心折れないで」などの否定形の多用や、「世の中は今日この瞬間(とき)も 悲しみの声がする」などの表現は、あたかもコロナ禍のもとでの開催という不運と苦渋を予言していたかのようでさえある。また、米軍撤退で再び大混乱と不幸な状況の到来必至と見られるアフガニスタン情勢なども連想される。すげえよ、アニキ。 ・・・ただ、そんなこんなで桑田がノリすぎて過剰な表現に走る惧れを過剰に警戒・杞憂したのかもしれないNHKの、これは判断ミスだったか。それとも桑田の方で振ったのか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年08月10日 07時24分10秒
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