カテゴリ:J-POPパラディーゾ
大塚愛 金魚花火 ささやかな導入部(クラシック音楽でいうイントロダクション、ポピュラー音楽で俗にいう「イントロ」「Aメロ」)を経て、ポピュラー音楽では定石の「Bメロ」がなく、美しい主題(テーマ、サビ)が延々と繰り返される、ありそうでめったにない『ボレロ』(ラヴェル)構造の逸品。 そのサビの部分は、しかし退屈とは全く無縁で(もっと長くてもいいぐらいだ)、少しずつアレンジを変えながらじわじわと感動を盛り上げていき、涙を誘う。 大塚愛の「かわいい系」のきれいな声での気魄あふるる歌唱も絶品。名曲と思う。 この構造に近いといえるJ-POP作品は、山下達郎『クリスマス・イブ』ぐらいしか思い浮かばないが、これは間奏部分ではっきり引用している通り、前古典バロック時代のヨハン・パッヘルベル『カノン ニ長調』へのオマージュ的変奏である。 洋楽では、『サニー』なんかはそうだろうか。ビートルズの『トゥモロー・ネヴァー・ノウズ』や『ヘイ・ジュード』の後半部分もそうか。いずれもポピュラー音楽史に輝く傑作といえる。 それにつけても思うのは、失恋(ロスト・ラヴ)は人生で最もつらい体験のひとつであるとともに、やはりすぐれた詩歌・文学の泉でもあるということだ。 ゲーテ『若きウェルテルの悩み』は、人類の世界文学史上の最高傑作の一つと見なされている。わが母の愛読書でもあった。 坂本野原 ごめんねといまさら言わぬわたしにもこんな思いをさせたひとあり あさはかな小天狗にして今でいうチャラ男なりしか白い秋来る そのひとはおしゃれな街で幸せに生きているから 会うと気まずい クラス会 いそいそと行く そのひとも来る 切なくて苦くて楽し 楽しくてやがてかなしく衰えてみんな死ぬんだ世は事もなし お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年09月01日 23時42分06秒
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