カテゴリ:新古今夢幻
慈円(じえん) 夏衣かたへ涼しくなりぬなり 夜や更けぬらむゆきあひの空 新古今和歌集 282 ふと気づいてみると 夏衣のかたわらは涼しくなっていた。 もう夜も更けたのだろうか。 夏と秋が行き交っている空の気配。 註 かたへ:この場合は「かたわら、そば、周り」の意味か。文脈によっては「片方、一方、一部分」の意味になることもある。 ゆきあひ:行き交い、すれ違うこと。短歌では現代でもしばしば使われる語。季節の変わり目、とりわけ夏から秋についていう。 現在の知見では、季節の変化は気圧や前線の移動(北上・南下等)などで説明・理解されるが、前近代の認識では、空に大いなる「風の道」のようなものがあって、行く季節と来る季節が行き合う(すれ違う)というイメージで捉えられていた。 これはこれで、ファンタスティックで「いとをかし(すてき)」な感性かもしれない。 着物 浴衣 ウィキメディア・コモンズ パブリック・ドメイン *画像クリックで拡大。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年09月03日 02時29分18秒
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