紫式部 めぐりあひて見しやそれともわかぬ間に雲隠れにし夜半の月かな
紫式部(むらさきしきぶ)めぐりあひて見しやそれともわかぬ間に 雲隠れにし夜半よはの月かな新古今和歌集 1499 / 小倉百人一首 57たまたま出会って見たのかどうかも分からない間に叢雲むらぐもに隠れてしまった夜更けの月だなあ。(邂逅して、お逢いしたのかどうかも分からないうちにいなくなってしまった、愛しいあなた。)註わかぬ:現代語「分かる」ではなく、古語動詞「分く」(意味は同じ)の打ち消しなので、この形になる。上掲の結句は、百人一首を採った。新古今集(原作)では「夜半の月かげ(月光)」。百人一首の方は、撰者の巨匠・藤原定家による推敲か。確かに、間違いなくこちらの方がいいと思われる。『プレバト』みたいなことを、千年前の人もやっていたってことか