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いろは歌
色は匂へど散りぬるを 我が世誰ぞ常ならむ 有為の奥山けふ越えて 浅き夢見じ ゑひもせず 花の色は照り映えているけれども やがて散ってしまうのを見れば われらが現世はいったい誰が常磐であろうか。 有為転変の奥山を今日も越えて来て 浅き夢などもう見るまい、酔いもするまい。 註 長く敬愛されてきた不朽の名歌。作者は不詳だが、知識階級であった僧侶の誰かであることに間違いはないだろう。 有為:仏教概念で、因縁によって生じるすべての現象と変化。 4行目は、「浅き夢見しゑひもせず」であるとする古来の解釈もある。この場合は、「浅き夢見し(ことに)ゑひもせず」の省略形となる。「見し」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、「連体形の準体言用法」となる。この場合の訳は、「浅い夢を見たことに酔いもしなかった」となり、これはこれで十分に意味は通じるし、捨てがたい解釈である。 当時、濁点表記がなかったために生ずる異見である。 また、2行目の「常ならむ」は、もともと可能の「え常ならむ(恒常的でいられるだろうか)」だったとする説もある。「越えて」の「え」はヤ行の「え」、こちらはア行の「え」で、上代では区別したので、一理あるといえる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年04月14日 04時07分32秒
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