カテゴリ:シネマ/ドラマ
松本清張原作 橋本忍・山田洋次脚本 野村芳太郎監督 1974年 松竹 全編 劇場公開50周年記念 特別配信 公式動画 今も語り継がれる 日本映画史上、不朽の名作。 刑事、犯人、被害者、 あの伝説の親子の彷徨。 いずれもはまり役の入神の演技。 そして、ダイナックで悲痛な映像美。 なお、松本清張の原作(読売新聞連載)は、 着想の面白さはあるのだが、いろんな要素を あれこれ詰め込み過ぎて散漫・冗長となり 珍しくやや失敗作と言っていいだろう。 がっかりするから、読まなくていいとも思う(・・・僕は読んだけど)。 その骨子(つぼ、エッセンス)だけを使って 思い切り盛り上げた映画は、空前の傑作となった。 映画が原作を完全に超えたと評され、 ほとんどの主要作品が映画・ドラマ化されている 巨匠・松本氏もそれを認め、絶賛したと伝えられる。 前半のひとつの山場、わらすべ一本の捜査の手がかり 「ズーズー弁」の謎が、国語学者・金田一春彦氏作図の 「日本語音韻地図」で鮮やかに解明されるあたりの、静かな昂奮。 「おすすぬすんぶん」。 それに続く、島根・出雲行きの丹波哲郎刑事の旅のシーンも 重厚なピアノ協奏曲(コンチェルト)『宿命』が流れる中、 テレビドラマではありえないぐらいゆったりとした ペースで描かれ、これぞ映画の呼吸と思わせる。 何気に好きなシーンである。 当時二十歳そこそこだったという島田陽子が美しい。 この映画では全く台詞のないチョイ役・丹古母鬼馬二あたりも ちゃんと芝居をしていて、存在感があるのがすばらしい。 古い警視庁庁舎(東京・桜田門)が何度も映るのが 今の目で見ると、昭和レトロで懐かしい。 なお、この映画は私はDVDで持っているので もう見飽きるぐらい見ているのだが(笑) もしまだ見ていないという方がいるならば、 奇跡のラスト40分間だけでも ぜひ一度見てほしい。 緒形拳、いい人だなあ。 加藤剛、かなしいなあ。 どちらも男の中の男なのだが、 つらくて悲しい「宿命」の出会いだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年11月13日 15時23分15秒
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