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カテゴリ:孫子・三国志
前回の日記では、営業戦略方法論『Value Base Selling』にはソリューション戦略とポリティカル戦略があることと、ソリューション戦略の概要まで説明した。
今日は、残りのポリティカル戦略について説明したい。 法人向けの営業の場合、顧客はひとりではなく企業という組織である。 顧客企業の組織はポリティカル(政治的・政略的)な階層構造があり、個人間の力関係の調整により全体としての意思決定がなされる。 その構造は、組織図や表向きの役職だけではわからない。 表向きの役職では権限が無くとも影響力を発揮する人が存在するし、逆に、権限があっても、全く影響力のない人もいる。 権限と影響力は別なのである。 実際にどのようなプロセスで意思決定がなされるかは、各々の組織の人間関係・力関係によって異なるので、付き合いの浅い顧客企業や新規の顧客企業の場合、なかなか実態がわからない。 しかし、こういうことをわからずに営業しても、重要な情報は入ってこないし、顧客企業に対して効率的なアプローチもできない。 まずは、顧客企業の人間関係・力関係を把握する必要がある。 組織には、パワーベースという、影響力を持つ人たちの人的ネットワークが存在し、情報を共有し、目標を達成するために働く。それは、表向きの組織や権限の有無に関わらずに存在するグループである。 また、パワーベースは複数存在し、パワーベース間で、密かに競争や協調が行なわれ力関係も常に変化している。(わかりやすく言えば派閥) パワーベースには、Foxとよばれる最も影響力がある人物が存在する。Foxは、必ずしも表向きの権限者ではない。経営の上層部や現場の権限者の付近にいる参謀のような存在の場合が多い。ときには外部のコンサルタントであったりする。(三国志では、蜀の主君である劉備ではなくて、軍師の諸葛孔明のようなイメージ) 営業活動をするときに考えなければいけないことは、パワーベースを見抜き、最も強力なパワーベースに対してアプローチすることである。 そして最も重要なのは、Foxを味方にすることである。 これをFoxハンティングという。 何も考えず、パワーベースの外にいる人に、いくらアピールしても時間の無駄ということだ。 また、Foxを味方にするには、自社のソリューションの有効性をアピールするだけでなく、Fox自身の欲求にも答えなくてはならない。それは賄賂のような違法なものではなく、自社を採用し成功することによりFoxも昇格するとか、Foxが自社といっしょに成長していくビジョンを提供することである。 『Value Base Selling』は、孫子の兵法を応用し、パワーベースやFoxの見抜き方、アプローチの仕方等をロジカルに教えてくれる。 企業は、ある程度の大きな案件になれば、購入を決定する際に、業者にRFP(Request For Proposal → 提案要請書 )を渡して、プレゼンテーションをさせることが多い。 これは複数の業者を公平に評価したことを証明するための儀式だったりする。 プレゼンテーションを旨くやったところで、実は、もう決まっていたということが多々ある。 大きな案件になれば、提案書を何日も徹夜して作成することもあるだろうが、まったく時間の無駄である。 『Value Base Selling』を受ければ、プレゼンテーション前の営業担当者の戦略的な活動がいかに重要かわかるだろう。 繰り返すが、『Value Base Selling』は米国ホールデン社が開発した営業戦略の方法論を教えるトレーニングで、日本ではHRDコンサルティング社が提携し、企業へトレーニングを実施している。 僕が受講したときの講師は、元コンピューターメーカーの営業をしていたベテランの方で、自分の経験談も交えて、わかりやすく実践的な説明をしてくれた。 ケーススタディもあるので、とても楽しく、時間はあっというまに過ぎてしまった。 営業だけでなく、コンサルタント、SE、その他、法人向けの仕事で、顧客と接する機会の多い職種の方に、お薦めのトレーニングである。 URLは以下のとおり。 http://www.hrd-con.co.jp/index.htm お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004.12.11 19:37:35
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