えべっさん境内のお宮と、『梁塵秘抄』と、大河ドラマ。
今年のえべっさんは屋台が少なくなっていたので例年だとお店で隠れていた門外の梅宮神社がお参り出来ました。ご祭神は、酒解神。お酒の神様です(^人^)こちらは児社(このやしろ)、ご祭神は児尊(このみこと)えべっさんの境内にある廣田神社の摂社、南宮神社の末社。幼児の健康を守ってくださいます。私がこちらで最も好きなお宮の一つ。立て札には「当社のことは『梁塵秘抄』にも書かれている」とあります。(『梁塵秘抄』は後白河院が編纂した「今様」というさまざまな流行り歌)その中の有名な歌は、先日の、大河ドラマ『清盛』の初回で象徴的に登場しましたね。吹石一恵さんが院の子(このドラマでは清盛)を産み落とした白拍子(しらびょうし⇒立烏帽子に水干・大袴という男装で舞い、歌う女性芸能者)という、あくまでも設定で遊ぶこどもの声きけば わが身さえこそ ゆるがるれ遊びをせんとや生まれけむ、戯れせんとや生まれけむ…とゆったり長く引く節回しで。子供が夢中で遊ぶように、辛く苦しい中にあっても夢中で生きていればいずれ、なぜ生きるのかがわかるのではないかとそんなような台詞がありました。私はかねてより、まさ揺り動かされる切ない響きに聴こえていたのですが、、、なるほど(゜゜)さてさて。ではこのお宮さんが歌いこまれているものはとりあえず、西宮とつくものを探してみたところ,我が子は二十になりぬらん 博打してこそ歩くなれ国々の博党に さすがに子なれば憎かなし負かいたまふな 王子の住吉 西の宮我が子は二十歳になりました。バクチ打ちをして国々さすらっているらしい。さすがにわが子であるので憎み切れず愛しいもの。どうか博徒たち、わが子を負かさないでほしい。住吉、西宮の王子よ。住吉は住吉大社、西の宮は廣田神社あたりでしょか。(西宮神社はもともと廣田神社内にあったというので)王子といえば、王子信仰。熊野詣の道中には、なんとか王子っていっぱい出てくると聴いた気がします。王子→神の御子姿。だから児尊(このみこと)…??もひとつは、西宮じゃなくて、南宮。廣田神社の摂社が南宮神社というから。南宮(なんぐ)の御前に朝日さし 児(ちご)の御前に 夕日さし 松原如来の御前には つかさまつりの重波(しきなみ)ぞ立つ上記は手持ちの本にはなく、検索してひっぱりましたが、こちらだと確かに、児の御前。そのものですね!どうでしょうか。。。こちらは本殿の西にある、百太夫神社。ご祭神は人形遣い・傀儡(くぐつ)師の祖といわれる百太夫です。こちらの御利益も子供の健康。子供は人形が好きというところからきたのかな。さきの児社とともに、私には欠かすことのできないお宮さん(-人-)どの世のどこの子供にも、どうかご加護がありますよう、願っています。「百太夫」もまた『梁塵秘抄』に登場します。もとはやはり傀儡や遊女に信仰されていたようです。遊女(あそび)の好むもの 雑芸(ざふげい) 鼓 小端舟(こはしぶね) ?翳(おほがさかざし)艫取女(とりともめ) 男の愛祈る百太夫遊女の好むものは、今様の歌や舞い、鼓、小端舟、?を翳す人、舟を操る女、男の愛情を得たいとき祈る百太夫の神その男女の愛というテーマではめっちゃ官能的なものもあったりするし。仏教歌で有名らしいのは仏は常にいませども 現(うつつ)ならぬぞあはれなる人の音せぬ暁に ほのかに夢に見えたまふ仏はいつもおられるのだけど、しかとは見えないから尊く思われる。人が静まった暁にほんのり夢で現れなさる。なんて三島由紀夫とか川端康成が激賞していたとか。少しずつ読み始めたところで、ごく一部しか知らないけど、それでもストレートで、おかしくて、随分とブラックで、哀しくてせつなくて、当時の遊芸人を始め、人々の息遣いが聴こえるような歌には惹かれます。それに一番のめり込んでたのが後白河院というのがちょっとキョワイけど記憶に新しい大河ドラマ『義経』のとき怪演した平幹二朗の顔が浮かぶんだもん…(・へ・)今度の『清盛』では松田翔太が演るから、いいかこれからますます、「今様」や白拍子が多く登場しそうですね。欠かさず視ますよ~♪読んでくれてありがとう