名取試験
さてさて、個人稽古を始めて少したったころ、師匠から試験曲のお稽古をしましょうといわれました。この当時の試験曲は「手習い子」と「廓八景」女舞と男舞を一曲づつ覚えるのです。(現在は「汐汲み」が女舞の試験曲)日本舞踊の流派によって、試験のやり方や基準など様々ですが、花柳流に限って言えば、名取の受験資格は15歳からとのこと。これは、日本舞踊そのものが、もともとは歌舞伎から派生したもので、色恋を歌ったものが多いため、15歳くらいからだと恋愛的な感情の理解や表現が出来るとの判断からだそうです。さてさて、この試験、実はこの2曲を全部踊るわけではありません。試験会場で、受験者をいくつかのグループに分け、順番を決めて、最初のグループからおどります。お家元をはじめ試験官の先生が「ここまで」といったらそこで踊りをやめます。そしてその続きを次のグループが踊るというやり方なのです。これはどこまでなのかはその時々で違いますし、前のグループがどこまで踊ったかを会場で見るわけにはいかないのです。試験会場に入って音がかかったところから踊らなければなりません。つまり、この2曲、完全に踊れるようになっておかなければならないのです。