南風一の世界

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• きみの魅力

  　　　きみの魅力　　　南風一ことさら美人ではないし（可愛いには可愛い）スタイルが抜群にいいわけではないこちらに興味があるとか好意を持っているというのでもない単なるボランティア仲間の一員にしか過ぎないボランティア活動がなければ会うこともないし電話したり年賀状一枚交換するわけでもないそんな仲にしか過ぎないのにささいなきみの仕草が気になるのはどうしてだろう？事務所でお昼の休憩をしていたとき雑談を交わしていたこちらの話に乗ってくることもあれば黙って聞こえない振りをしていることもあるそうして俺がおにぎりを食べ終わったころさりげなくきみが言うのだった「あちらにコーヒーがあるわ　飲んでも構わないってことだからもし良かったどうぞ」俺は自分でコーヒーを入れて飲んだコーヒーを飲み干した後まだ時間があったからカップはそのまま机の上に置いたそして本を読んでいたきみは暫くして「カップ　洗っておくわ」そう言って空になったカップをキッチン台のところへ持って行ったかとおもうと手早くささっと洗ったそうしてまた遺跡のチラシなどを見ているのだった「ふーむ」女性というのはなかなか分からない性だった （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2011/01/04

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• デジカメ

  　　　　デジカメ　　　　南風一高校１年生になったばかりの頃学校からの帰り道にはいつも写真屋の前を通った当時はアナログカメラだったけれどガラス越しに陳列されたスタイルの良いカメラは高校生の目に魅力的な恋人の姿に見えた母親にねだって１年生が終わるころにはとうとう手ごろなカメラを買ってもらったカメラを手にしてまず撮ろうと想ったのが好きな女の子だったクラスは別だったけれど電話をかけて待ち合わせることにした彼女はクラスのお別れ会があるとかでスーツ姿だった俺はジーパンにサンダル姿彼女に写真を撮らせてくださいと言うと快くＯＫしてくれた彼女は何のポーズもしてくれなかったけれどよく十数枚も写真を撮らせてくれたなと今にして想うそれにしても彼女が通った中学校の近くでしかもお別れ会とあって知り合いが近くを通り過ぎるからだろう彼女は路地裏から出ようとするとき俺を制して「ちょっと待って」とか言ってなかなか気の利くところを見せるのだった帰るときも駅で友だちが待っているから一緒はまずいと言って自分が先に歩いて行った俺は彼女の後から何食わぬ顔して駅に歩いていった俺が切符を買って改札口を抜けるときもきみは何食わぬ顔して友だちと話をしていたその後　１週間くらいしてきみに電話したら「もう電話をかけて来ないで」と言われた「写真出来上がったけれど　要らない？」と問えば「要りません」とはねつけられた１週間のうちになぜそんなに嫌われたのか俺には皆目理由が分からなかった当時に１４００万画素のデジカメがあればきみはもっと美しく写っていたことだろう（どの写真もきみはにこりともせず　俺を睨みつけているのだった）買ったばかりのデジカメを試し撮りしながらもしデジカメで撮っていたらきみは少し笑ってくれたかなと相変わらず馬鹿なことを考えている （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2011/01/03

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• きれいなままで

  　　　　きれいなままで　　　　南風一１日送れて届いた年賀状の中に大学入学時のクラスメイトのものがある彼女は大学卒業後暫く東京で働いていたけれど今は沖縄で暮らす今年５０才になるはずだがいまだ独身のはずその彼女が昨年末に大学の同窓女子たち数十人に会ってきたという曰く「みんなきれいでしたよ」うーん確かに外見ではまだ若いと想っていたい願望があるから彼女がそう思い込むことに何の異議もないでも彼女と俺を含めクラスメイトがはじめて顔を会わせたときの年齢は俺の息子たちがあっさり超えてしまっているそんな年頃の女性たちをきれいだなんてどこを指してそんなことを言っているのか？俺も彼女たちに会いたかったねそれとも本当にきれいなのかも知れない （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2011/01/02

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• お正月

  　　　お正月　　　南風一義父母の家に年始に出かけて酒を飲む地デジ画面に大きく映る各地の正月風景を眺めながら何かに急かされたような気持ちはなくあるがままの時間を楽しむ平城京遷都の１３０１年以前に遡ったところでこれほど長閑で楽しい宴を持った者がいたかどうかそんなことは誰も口外しないから季節の巡りとともに人の移り変わりとともに当たり前に消えていく墓石の下に眠る人たちが昔にそんな楽しいひとときを持ったことなんか誰も知らないしそんな人たちがいたなんてそんなことを考える人は誰もいない （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2011/01/01

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• 夢の彼方

  　　　夢の彼方　　　　南風一電話でなら近況を伝えてもいいと伝えてきたのにそれ以上を求めたからきみはふっつり電話にもメールにも応答しなくなった今さらしつこく連絡されたって平穏な家庭生活が騒がしくなるしそれは本意じゃなかったよね今さら若造でもあるまいし切った張ったという歳でもない息子たちの近況でも書いてきみと俺とのことには何も触れない連絡するにしたってそれくらいの話題が適当なんだろう何もかも夢の彼方だね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/31

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• 心当たり

  　　　　心当たり　　　南風一年越しそばや握りすしオードブルを仕入れに行った大晦日のこととてスーパーマーケットは混んでいた入り口付近でジャバラのスカートに黒タイツ髪はカールがかかったワーキングウーマン風お尻の突き出た体形はどうもどこかで見覚えがあるしばらく買い物を続けるうちに正面から顔を拝見した顔からすると確かに知り合いではないけれど服装やら体形髪型から想像される性格に心当たりがあるそうだ彼女にそっくりなことに思い至った二十数年前のことだから今はもう教師を続けていないかもしれない意地っ張りで甘えん坊強情で梃子でも動かないずうずうしくて始末に終えないだけどどこか可愛い今頃きみも主婦して年末年始の買い出しに忙しいのかな？それとも昔にそうであったように仲の良い友達同士集まってぺちゃくちゃやっているのかな （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/31

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• 年の暮れ

  　　　年の暮れ　　　　南風一若い頃は年末やお盆が近づくと人恋しくなったその矛先は決まって一人の女性だったその女性と人生のすべてを交換するほどの価値があったかどうかそれは分からないそのときはその女性の歓心が得られてその女性と一緒になることが叶えば俺の人生は成功したも同然だと想った結局その夢は叶わなかったから俺の人生を交換することや恋愛にそれほどの価値があったものかどうか今となっては分からないままになってしまったね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/30

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• 年末

  　　　年末　　　　南風一いつかしら大晦日が近づいて今年はこのままきみに会えないのかなと想っているときみが突然やってきた年末の挨拶という今年もお世話になりましたというのは型通り俺が夜に携帯に電話してきみが営業用の携帯なのでやんわりかけるなと訴えたことはもうすっかり忘れてしまったのかな？あれ以来以前に比べて確かに隙間風が吹いているように感じる遺跡調査について楽しく話した覚えはとんとない何よりきみと会うことがなくなった俺のことより仕事を優先してもらってもちろん結構とはいえきみは何が面白くてこの寒い中営業しているのかな？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/29

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• 正月休み

  　　　正月休み　　　南風一きみは明日から正月休み休みとはいえ一番寒い頃「山はちょっと寒すぎるかな？」と水を向ければ「ええ。山は行きませんけど　マラソンに備えてそろそろ練習でもと考えてます。　食っちゃ寝ばかりではさすがに・・・でしょ？」「ああ　マラソンはいいですね」「でもほんの４キロ走るだけなので」「４キロといえば２０分くらいかな？　歩けば５０分といったところだけど走るのは結構大変ですね。　まあしっかり練習して本番に備えてください」３０才過ぎの独身女性の正月がこんなものでは恋人を見つけるのもなかなか大変かなそんなこともきみは漠然と望んでいるには違いないけれど積極的な努力をしないのだからなかなか恋人は現れないね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/28

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• どこで間違えたものか?

  　　　どこで間違えたものか？　　　南風一０才と１才は随分違う１才と２才も随分違う５才と６才は随分違う６才と７才も随分違う１５才と１６才は随分違う１６才と１７才も随分違う２０才と２１才は随分違・・・う？いえ　随分は違わない２１才と２２才も随分違わない３０才と３１才はほとんど違わない３１才と３２才はほとんど違わない４０才と４１才はほとんど違わない４１才と４２才もほとんど違わない５０才と５１才はほとんど違わない５１才と５２才もほとんど違わないそれなら２０才と５１才はほとんど違わない？２１才と５２才はほとんど違わない？いえ２０才と５１才は随分違うわだから２１才と５２才だって随分違うあれ！どこで間違えたのかな？２０才から１才ずつ歳を加える分には全然変わらなかったのに５０才になって気がついてみれば２０才とは似ても似つかないほど老けている （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/27

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• 相性

  　　　相性　　　　南風一小雪のちらつく中久々にきみと発掘調査に臨んだ朝の９時から夕方４時までクリスマスを寒風吹きすさぶ戸外で過ごした外見だけでは相性というものは分からない排水ポンプを片付けるとききみは排水ホースをぐるぐる巻いてくる俺が給水口をバケツに突っ込んだままにしていると斜めに傾けろというホースが折れているのでまっすぐにさせようとそういうことを言うことは分かる俺が慌ててバケツを傾けると傾けすぎて水が溢れるホースが余計に折れるきみはじれったそうに「もう」とかつぶやいて顔をしかめているきみに悪気はないことは分かるけれどもやはりこういう女性は遠慮したいなと思う何もないときはきみのことを気に入っているけれどこういう些細なことできみと俺は性が合ってないなと悟る （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/25

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• クリスマスイブ

  　　　クリスマスイブ　　　南風一クリスマスイブの夜を恋人同士で過ごすカップルもいようそそくさと自宅に帰って暖かい部屋で一家団欒のときを過ごす家庭もあろう私の家は妻の作ったケーキを食べる昨日は煎茶を飲んだから今日は紅茶にする濃い紅茶は美味い濃い煎茶も美味いコーヒーももちろん美味い賃金が下がり物価も下がって生活が苦しい苦しいという人たちが増える中で１００円玉一個ではるか海の彼方で採れる紅茶でもコーヒーでも煎茶でも楽しむことができる大昔ならそうはいくまい幾ら王侯貴族といえどもインドや南米、中国で採れる物産をいつでも何処でもロープライスで楽しめるというわけには行かなかっただろうそう思えば現代日本人が生きている国はユートピアの国に違いない （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/24

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• 年賀状

  　　　年賀状　　　　南風一たくさんの年賀状に混じって届けば俺の年賀状だって外見上は単なる旧友からのものに見えようきみの旦那が訝しがることもあるまいそうは思うもののなかなか踏み切れない結局今年もきみには年賀状は出さないだろう出したからといって何かが変わるものでもない俺はきみのことを忘れていないそんなことは伝わるかもしれないけれどそれ以上でも以下でもないきっと彼女は俺のことを懐かしく想い出してくれるに違いないとか独り合点したところで彼女の方は「だからどうしたの？」なんて翌日にはもう忘れてしまっているかもしれない下心が見え見えなんだからきみは相変わらずにやりと笑ってやり過ごすだけだろう （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/23

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• ひとたび

  　　　ひとたび　　　　南風一一昨年は恩師の退官祝いがあって卒業以来、数十年ぶりに顔を会わせた旧友たちもいた年末には遠方から友人が帰ってくるから忘年会をやろうという誘いがあったけれど出なかった昨年は誘いがなかった今年も誘いがないそれはそれでいい同窓というだけで群れる必要はないし集まったからといって話すことがそうそう新しくなるわけでもない懐かしさだけで楽しく過ごせる時間なんて短ければ短いほど価値があるあれほど会えるか話すことを熱望したきみに対してだってひとたび話してみれば心の中で「なんでこんなにどうでもいいことばかりを話しているのだろう？」「他にもっと話すべき話題があったはずなのに」と焦っている一方で「こんなにありふれた話題で退屈するくらいなら話さなかった方がよかった」と悔やんでいた話す前には好きだったきみの声を聴けることをあれほど楽しみに待った俺だったのにね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/22

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• ある時を境にして

  　　　ある時を境にして　　　　南風一それまで好きで仕方なかったのにある時を境にして一瞬にしてきみのことを忘れなければならない好きから憎悪へきみの俺に対する想いは一瞬にして置き換わってしまったのだから俺もきみのことを忘れなければならなかったのだろう掌を返したようにそんなに簡単に忘れられる相手なら最初から好きになっていなかった諦め切れないから好きだったのにきみを諦めたとききみはやっと本心を見せたもっと早くきみに応えて欲しかったきみからすればもっと早く強引に連れ去って欲しかったのかも知れない （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/21

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• 馬鹿な男

  　　　馬鹿な男　　　　南風一会ってすぐに好きだなんて浅はか以外の何物でもない近頃１年半に渡って一緒に活動する機会を持つ女性がいてとみにそう思うきみとは通学の電車が一緒だったけれど話したことはそんなにないきみが仲良しの友人とめちゃくちゃ喋り俺はそばでそれを聴いていた俺の身の上を話したこともなければ趣味や学校のことについて話したこともなかったそれなのにきみのことが好きできみは俺の恋人になって遠からず結婚することになると信じ込んでいた根拠なんて何もなかったただそうなると信じ込んで疑うことがなかった愛着が湧き本当に好きだと想うまでにはじわじわとした交流が必要なことは論を待たないそれにもかかわらず交流の機会を持つことも無くきみは俺の嫁さんになるだなんてよくそんな笑止千万なことを当たり前のように思い込んでいたものだと想う馬鹿な男だね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/20

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• 至福の時間

  　　至福の時間　　　南風一きみとの活動が記録に残されたり永遠に刻まれるものでもないまず俺が先に死に次にきみが死ねばもはや二人がボランティアで数年間一緒に発掘調査をしたことなんか憶えている者は誰もいなくなる（俺がきみのことを詩に書くこともあろうけれど　俺の詩が人々の記憶に残ることはまずない）金持ちになることよりも社会的な名誉を得て人々の尊敬と賞賛を浴びることよりも本当のところもっとも気分が落ち着いて安らぎを覚えることがある義務的な仕事やスケジュールをこなして家庭の義務をやり終えて後は予定時間目一杯まで何もかも忘れてひたすら土を削る土の中に混じった土器の破片を取り出していくきみが一生懸命に土を削っている姿を横目で盗み見る合間の休憩時間にきみと交わす雑談たったそれだけの楽しみだけどこの楽しみを何百億円と交換してくれと言われても交換するつもりはないなかなか至福の時間だね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/19

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• クリスマスプレゼント

  　　　クリスマスプレゼント　　　南風一ほんの少しの心配りにしか過ぎないだけど研修説明会にみんなが集まるのを見計らってクリスマスチョコ飾りをさりげなく配るきみならではの演出だね休日には着飾って若い男とデートに行くこともなく熟年のおじさんやおばさんに混じって遺物を掘ったり地形調査をしたりそんなことをしているうちにもきみの若さはなだらかにピークを過ぎていくそんなことより自分の心の充実感の方が大切というのかなきみの日常が充実していることは分かるけれど女性が若さを失ったとき本当に後悔するのじゃないかな （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/18

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• そっけない素振りで

  　　　そっけない素振りで　　　南風一目には目を歯には歯をって言うのかな？きみは俺が直接担当者と話してくれと伝えたものだからさっそく俺抜きで別の担当者にアポイントを取って翌日彼を呼び出してさっさと用事を済ませた彼女が呼び出した別の担当者とは１５分余りも話し込んでおきながら俺にはまだ居るから用事があれば降りてきてくれというまるで俺にはお呼びが無いという調子渡す書類があったから１階まで降りていけばきみは玄関口に立っていて一時も雑談に付き合うつもりはないらしいきみがそんなだったから俺も思いっきりそっけない素振りで書類を渡して「それじゃあ」とだけ言って背を向けた （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/17

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• 遠い記憶

  　　　遠い記憶　　　南風一余り会えないと何ともなくなって恋しいことさえ忘れてしまう忙しいときも朝起きていつ仕事に出ていつ仕事が終わったのか一週間がいつ過ぎてしまったのかさっぱり記憶が無い憶えているのは確か昨夜も飯を食べた後風呂に入って就寝したこと一週間前にも早や休みが来たと思ったこと過ぎ去った後に過ぎ去る前の早や過ぎ去ったなという何も無い記憶だけが新しいきみは何処に行ってしまったのだろう？きみだけを特別と思い込んだ俺が間違っていたのかな？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/17

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• 年末

  　　　年末　　　　南風一年末になれば息子は親の元に帰ってくる久しく離れて暮らしていたとしても盆暮れに子どもが親の元に帰ってくることに何の違和感もないごくごく当たり前すぎて親の方も何の疑いを持つこともない昔プロポーズはしたけれどプロポーズした方が返事も待たずに離れてしまったときなどプロポーズされた相手の方が何年経とうとも盆暮れにはきっと恋人が自分の元に帰ってくるなんていつまでもそんな馬鹿な幻想を抱くはずないよねもうすっかり忘れていよう （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/11

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• テレビ出演

  　　テレビ出演　　　　南風一もし出演すれば広く顔が売れてぜひ息子のお嫁さんにとかいう話が降って湧くかも知れないそれにもかかわらずきみは木曜日の午前中には発掘作業に参加するくせに午後は「残業があるからとか」訳の分からない理由をつけてテレビに出演するのを固辞したといううーんきみらしいというかちょっぴりきみを見直したね誰でもいいとかやたら目立てばいいというのではないだけどそんなきみだから３０代半ばというのに未婚でいるのかな （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/09

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• アルバム

  　　　アルバム　　　南風一最近のものからもっと以前の１０年以上前のものまで何の脈略もなく並べられた写真子どもたちは挑発的な現代風の若者姿であったり小学生や幼稚園児であったりはたまた中学生と高校生大学生と中学生の姿をしていたりするめまぐるしく成長していく子どもたちの姿に比べて子どもたちの近くで俺と妻は何処も変わっていないように見えるけれどそれらの姿の裏では１０数年の歳月が流れている俺や妻は今も写真の中と同じ姿でいるのにまだ背の小さかった子どもたちはもう何処にもいない父母の背をとっくに追い越してしまった子どもたちは何処へ走り去ったのかな？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/08

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• 甘えた声で

  　　　甘えた声で　　　南風一甘えた声で人にものを頼むときだけ女性の武器を最大限に活用する鼻にかかった声で頼まれれば無下に断るわけにも行くまい（もちろんいいけれど　代わりに一発やらせろ）内心でそう想うけれどそんなことを口に出したりすればほっぺたを叩かれるに決まっているきみは男を意のままに使うのは随分うまいねけれどプロポーズさせるところまで持っていくのはへたくそなのかな （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/07

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• 引き返して

  　　　引き返して　　　　南風一道を間違えたなら引き返して間違えた処から正しい方向へ向かえば正しい場所に到達できる人生の伴侶を間違えたかもと想ったところでそれなら別の女性と一緒になっていたら幸せになっていたかと問えばそれは分からない今から好きだった別の女性のところに引き返そうと想ってももはや好きだった女性は昔のままではない俺だって若い頃の俺じゃないから間違った処まで引き返そうにも引き返す場所がない （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/06

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• 個性

  　　　　個性　　　　南風一数十年の単位で見るときみも俺も結婚して子どもを作り子どもの成長とともに同じように歳をとっているきみが女子高で一緒に学んだ同級生だって俺が高校や大学で一緒に学んだ同級生だって早い遅いはあったけれど大抵は結婚して子どもを作って住宅ローンや子どもの教育ローンに四苦八苦している遠い昔に俺が惹かれたところのきみの個性なんてものは本当にあったものかどうか？きみにふさわしい男は俺だと自惚れたところの俺の個性なんてものは本当にあったものかどうか？きみも俺も結婚して子どもを作って生活にあくせくして同じように歳を重ねている （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/05

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• 謎

  　　　　謎　　　南風一取るものもとりあえず９ヶ月ぶりの発掘調査に駆けつけた今日は３人の参加俺は１１月中一度も出なかったからこの人数が少ないものか多いものか分からなかった昨年ならきみは土日専門だったのに今年は平日に出たりして今日はお休み俺は久々だったのできみのお休みとは無関係に発掘調査は楽しかった収穫は少しだけあったけれど大きな目的からすれば小さな小さなものかな建物の礎石らしい石が一個同一地層やその上の粘土層からも土器やお皿の破片が出土する問題は粘土層がいつ、なぜ出来たか？だ住居地を田畑に変えるとき水漏れを防ぐために一面に粘土を張った？もし人為的なものでないとすれば恒常的に川水が浸入してくるところに細かな泥土が堆積してその後湿地を埋め立てて田畑とした？地層の謎はなかなか解けないね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/04

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• 怖いから

  　　　怖いから　　　　南風一もしきみに会えたら冷静さなど失くしてしまうかもしれないそれはきみにしても同じかも知れないだから怖くて会うことが出来ないあんなに好きだったのにそんなことは一言もいえないままに離れてしまった二人の間を遮るものが何も失くなったとき二人はどんな行動に走るか？それはきみにも俺にも分からない俺は有無を言わさずきみを抱きしめるかもしれないそれからキスをしてきみがあえぎ声を上げるまで抱き続けるかもしれないそう想像しただけでも自分が怖いからやっぱり会えない方が二人にとっていいのかななんて考える （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/03

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• きみに会えない

  　　　きみに会えない　　　南風一きみと話すことは二度と叶わないと思っていたから予想に反してすんなり話すことができたことは本年最大の収穫といえるかなだから俺がフライングしてきみは会えない代わりに電話なら良いと言ったのに俺はぬけぬけときみに会いに行くからとメールして電話もかけたきみは電話に出なかった多分思案しているのだろうと想った駅の近くをぐるりと回って小一時間ほどしてまた電話した今度は「電源が切れているか電波の届かない場所にいます」というメッセージが流れたきみが意図的に電話に出ないようにしたのは明らかだったきみのことが好きだから余りいい気はしなかったけれどそうせざるを得なかったきみの胸の内を想って切なかった今は会えないそれがきみの明確なメッセージだった （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/02

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• 赤ちゃん

  　　　赤ちゃん　　　　南風一赤ちゃんは皆同じような顔をしているだから赤ちゃんを見ると果たしてきみと一緒になっていたらどんな赤ちゃんが生まれていただろう？と想うやがて赤ちゃんが大きくなればこの子は確かにきみに似ているとか確かに俺に似ているとなるのだろうそれでも赤ちゃんはきみではないし俺でもないそれならきみと俺の赤ちゃんでもきみ以外の女性と俺の赤ちゃんでも同じようなものだったに違いない結局赤ちゃんを作ったことについて誰を好きになって赤ちゃんを作ったところで大した変わりはなかったということかな （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/12/01

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• 楽しみ

  　　　楽しみ　　　　南風一これまで随分勝手なことばかりやってきた好きになった相手は当たり前に俺のことが好きと信じて疑わなかった歳をとってそれまで当たり前に思っていたことの数々が実はそうではなかったと気付き始めたたとえばつい最近まで可愛い女の子がいれば当たり前にこちらの好意に応えてくれると信じたところが孫が出来ても不思議がないほどのおじさんになるととても若い頃のようには無条件の好意を期待する方がどうかしていることに気付くそんな事実に気付いたときはちょっと男が終ったような淋しい気持ちになるねこれから長い人生が残されているのに何を楽しみに生きていけばいいのだろう？若い女以外に楽しみは幾らでもあるそう強がって生きて行くのかな （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/30

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• 幻想

  　　　幻想　　　　南風一うぶな乙女はこの世に存在したか？男は何十年か生きてみるとそんな乙女など人類が生まれてからこの方存在しなかったと確信するうぶな乙女は男の幻想に過ぎなかったそれが分かるのは女も男も大分歳をとってからだった （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/29

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• 晩秋

  　　　晩秋　　　　南風一時間があったので暇つぶしに大型ショッピングセンターに立ち寄ったエコポイントが半減するというのでカラーテレビの売り場が賑わっていた値段の妥当性といったものは皆目分からなかったけれど安い分には多くの人が買いやすいだろうゲームセンターのそばを通り過ぎた昔なら子どもたちが必ず立ち寄ったところだ衣料品売り場も想い出があったもう１０年以上前にＴシャツを買ったし靴も買ったと思う二男の枕を買いに来たときパートで勤めていた叔母に会ったその叔母は数年前に亡くなったからもう会うこともない本屋にも立ち寄った狭い売り場には流行の漫画や文庫本が並べられている内容はともかく外見的には昔と何の変わりもない人様の思惑とは無関係に秋はある随分寒くなったのでジャンパーや防寒着姿の人が目立つもう少しすればクリスマスのイルミネーションが闇を彩ることだろうジングルベルの音楽に釣られて新年が駆け足でやってくる （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/28

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• 若々しさの断章

  　　　若々しさの断章　　　南風一若い女性に混じって運動競技に出たスポーツウェア越しに想像されるボディラインがまぶしい若々しくセクシーな女性はこれからも幾らでも現れてくるのだろう残念ながら今美しい女性は何年か経つうちには色香も衰えて次の世代の女性に席を譲るか自分の生んだ娘たちに美しさを奪われてしまうのだろうそういう風にして若々しさと美しさは生き長らえていく死んでいくのは老いさらばえた個体に過ぎない次々に再生と希望というバトンを渡していくのだから年老いていくのを嘆くのは馬鹿げている人生の意義は恋と若々しさだけではないのだから今を楽しんで暮らそう （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/27

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• 急に気が変わって

  　　　急に気が変わって　　　　南風一学生の頃なら友人たちを下宿に招くと言っておきながら（しかもご馳走の準備はほぼできていたのに）急に「都合が悪くなった」と言ってキャンセルを申し出たりした電車を降りた若い女子大生をデートに誘っておきながら一緒に行った美術館で急に気が変わって彼女を放ったらかしにして自分一人だけ帰ってきたドタキャンするのがボヘミアンの身上それくらいいい加減でないと息苦しくて暮らしていけなかったいつからそんな気ままさを無くしてしまったのかな？今では一週間に２日の休日すら急に気が変わったという身勝手な理由で用事をキャンセルできないでいる （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/26

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• 一人芝居

  　　　一人芝居　　　南風一２２才でプロポーズされたところできみは夢に向かってまだ走っている最中だったからもちろん俺だってまだ海のものとも山のものともわからなかったからまだはっきり決めようがなかったのも了とすべきだったのかもしれないなぜあんなに結論を急いたのかな？慌てる必要なんて全然なかったのかも知れないでも宙ぶらりんの状態に俺が耐えられなかったのかなむざむざと結論を先送りされるよりは自分からスパッと割り切って離れてしまった方がいいそれを潔いという風に思い込もうとしたけれど単に臆病だったに過ぎないきみの方からまだ早いとか嫌いと言われるのが怖かっただけに過ぎなかったのかな俺の方からプロポーズして俺の方からなかったことにして一体何がしたかったのやら （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/25

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• １年前より

  　　　１年前より　　　南風一　　俺は２年前のきみを知らないだから今のきみが１年前にもその１年前のきみよりきれいになったものかどうかそれは知らないそんなことは知らないけれど今のきみは１年前のきみよりとみにきれいになったように感じる髪型といい顔かたちといい初めて会ったときより随分きれいになったこんな魅力的なきみを世の男性諸氏はなぜ放っておくのだろう？誰か好きな人でもできたのかな？きみの表情も肌も１年前より随分美しい （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/24

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• 何処にでもいる男

  　　　何処にでもいる男　　　南風一二男の転出証明書を貰って市役所を出るとき一人の男性とすれ違った年格好が知り合いの一人に似ていたのだろう無意識のうちに目が行っていた向こうの男性の方もこちらの仕草に応えるかのように「これはこれは！こちらに来られていた・・・」と言いかけたところで目が合った「人違いのようでしたね」「・・・」その男性はバツが悪そうに市役所の中に消えていった俺に似た男など世の中に五万といるのだろう若い頃なら自分一人が異邦人のように感じられて全然他人とは異質な人間のように思い込んでいたそんな俺が何処にでもいる男と見間違えられたのだから随分な進歩だった在り来たりの人間に見えたようでちょっと嬉しかった俺に似た男は何処で何をしているのだろう？すれ違った男に教えてもらえばよかったとちょっぴり残念な想いだった （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/23

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• 紅葉と空

  　　　紅葉と空　　　　南風一盛夏には陽射しを遮って涼をもたらした楓は昨夜からの雨で紅葉をすっかり落としてしまった空はこんなに広かったのだと再認識する枝葉の隙間から透ける空が涼しい秋を待ちかねて秋刀魚の塩焼きに搾ったスダチの実はすべて採り尽くしたと思っていたのに黄色に色づいた実がところどこに残っていた（まだ青かった頃には葉っぱと実が見分けが付きにくくて　採り残しがあることに気付かない）若い頃には目の前のことやそのときの感情で頭や心がいっぱいになって周りのことや長い人生スパンにおける位置といったものが見えなかったもっと早くに一呼吸おいて空を眺めたりぐっと感情を堪えて空のはるか向こうに目を凝らすことができていたら馬鹿な選択ばかりを繰り返すこともなかったかなと思っている （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/23

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• いたずら電話

  　　　いたずら電話　　　南風一休日前の夕方きみは手練の営業ウーマンこちらの想いを切らさないためにさりげない用事を装って電話をかけてくる履歴ボタンを押したりしてきみからの電話や電話番号を確認してみた電話番号は以前のままで変わっていないそんなことを考えながらまた仕事に向かっていると再びきみから電話が鳴った「南風さん　私の携帯にお電話いただきましたか？」「いえ　電話はしてませんけれど・・・」そう答えつつ「ああ　そういえば先ほど履歴をいじったりしていたなあ」と思い当たるところがあったきみの方は何を想ったのか「ああそうですか。私の勘違いかもしれません」とあっさり鉾を収める本当はもっと「いえ確かに南風さんからの着信履歴がありました」と訴えればいいものをそんなにあっさり不問に付してそんなことではなかなか男を捕まえるのは難しいねきみの鼻にかかったような声を反芻しながらビジネスライクなきみの何処に魅力を感じているのだろう？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/22

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• 晩秋

  　　　晩秋　　　　南風一子どもが一通り大きくなって仕事が引けた帰宅後も休日も子どもに構わなくなって随分暫く忘れていた自分を取り戻す子どもが出来てからスポーツシューズとジャンパー、ジーンズが定番だったカジュアル靴とかブレザーなんてとんと縁がなくなって何十年になるのかな今秋妻のおかあさんから貰った誕生日の金一封がようやくブレザーに化けた明後日は勤労感謝の日買ったばかりのブレザーを引っかけて古代寺院の発掘品展示会に出かけようそして久しく忘れていた文化の香りに浸ることにしよう （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/21

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• 好きの深度

  　　　好きの深度　　　南風一休日の午後職場の自主研修に参加する若い女性ってのはそんなに簡単に休日を潰して好きな男とデートに出かけなくても男は何の文句も言わないのだろうか？それとも男とは付き合っていない？（それならそれで問題はないのだが）休日の午後を研修で潰すことより大切なことってのはたくさんあると思うけれどそんなことに気付かない女性はたくさんいるたとえば俺が好きだった彼女がそうだった俺からすれば些細な触れ合いにしろ俺と会うことの方が幾百倍も大切なことのように思えたのに彼女には、幾つもある用事や些事の一つに過ぎないどうしてそんな非対称性が生じてしまったのかな？きみも俺も等しく好きと信じ込んでいた好きは好きでもその深度というものかなあ？それが違っていたのさ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/20

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• きみの面影

  　　　きみの面影　　　南風一次から次に遠くなる女性（ひと）が多いなあと想う会いたくて仕方ないのに会えない俺が会いに行くかそれともきみがもう少し俺に合わせようとすれば多分難なく会えてしまうのだろうそんな簡単なことなのにきみも俺も全然無頓着だから忙しいなら忙しいままにせっかくのチャンスも野暮用に消されてばかりどうにかならないかなと想ってきみの面影を懐かしむ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/19

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• 出会い

  　　　出会い　　　南風一出会いとは不思議なものできみと俺が出会ったのは俺が好きだった女性の結婚式披露宴きみは俺が好きだった女性の友だちだった結婚式披露宴というのは出会いのセッティングでは最高の場所きみも俺もすぐにビビッと来たすぐにきみの住所・電話番号を聞き出して翌週の休日には誘い合ってすぐにデートに出かけた若いってことは楽天的だね俺は留年して就職とも進学とも分からないただ趣味のように勉強らしきことをしてきみをデートに誘って遊んでいるきみはそんな俺をどう想っていたのかな結局きみと俺が現実的な暮らしをする見通しは立たないそれにもかかわらず俺が呼び出せばきみは時間を作って出てきた若い二人はお互いの背にどんな未来を夢見たのだろう？俺は未来というよりただ目の前のきみに惚れていたそれは恋人というより話し相手という意味で好きだったのかもしれないそれだったからやがて進学が決まり新しい学校に行く頃にはきみと俺はデートしなくなっていた （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/18

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• 普段着の恋人

  　　　普段着の恋人　　　　南風一飾らない普段着の似合う恋人というものもある一緒に歩いていて「それにしてもきみはやせっぽっちだね」と俺が言えば「膨らんでるところはちゃんと膨らんでますよ」ときみは反撃してくる俺が結婚してからも妻がお産で遠くの実家に帰ったとき「一人だから泊まりに来ない？」と電話すれば「奥さんに悪いわ」と言う「不謹慎な」とか言って怒らないところが好きだった「そんなこと言わずに土曜日なんだから泊まりに来なよ」となお強く誘えば「明日も仕事があるし・・・」とちょっと迷った振りをする「明日早く帰れば大丈夫だから。ねえ近いんだから泊まりに来なよ」となお誘えば「やっぱり奥さんに悪いから」と言うきみと俺が一緒に寝たからといって誰も傷つくことはないきみがそんな性格だから俺はあと少し近づけなかったのかな実利を取ればいいのにそれができないきみのそんなところが好きだった （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/17

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• 夢

  　　　夢　　　　　南風一次男の就職が決まって引越しの荷作りを終えた夜何の前触れもなくきみが訪れた場所は東京ディズニーランドのようであり倉敷チボリ公園のようでもあり遠くに中世の城のような建物を眺めながら空には花火なんかが上がっていたかも知れない広い通りを俺が歩いていくときみのお姉さんがこちらに歩いてくるのに出くわしたお姉さんは昔と全然変わらないようだったきみは夫と一緒にやってきて後ろの方から遅れてきているとのことだったきみの姿を見ると確かに昔と全然変わっていなかった服装がセーラー服からワンピース姿に替っただけとしか見えなかった二人はなぜそんなに和やかな調子で再会できたのか理由は分からない「あなたも来ていたのね」ときみが問いかけるので「ああ」とか俺の方も答えている全然嫌みでも何でもなくきみと俺は素直に言葉を交わしている （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/16

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• 対話

  　　　対話　　　南風一些事に紛れて秋の休日をうかうかと過ごした昨秋なら菊花展に出向いて山野の散策を楽しんだのに今秋は何て味気なかった休日か心安らかに暮らしていくには避けて通れない事件があるその事件を解決するために東奔西走する走り回ったところで事態がどうこうするわけではないけれどそうすることで幾らか事件の記憶が薄れるだけでも効能があったというべきかも知れない２割る２は１数学的には確かにそうに違いないけれども２割る２は１と言えば不満の顔つきをされる割り切れないのが人の心そう想って１からでも人の心に近づこうと試みるけれどますます遠ざかっていくのも人の心どちらの側もそんなに違った言葉は喋っていないと想うのだけれどなぜそんなに違った音色に響くのかな？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/14

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• 対話

  　　　対話　　　南風一些事に紛れて秋の休日をうかうかと過ごした昨秋なら菊花展に出向いて山野の散策を楽しんだのに今秋は何て味気なかった休日か心安らかに暮らしていくには避けて通れない事件があるその事件を解決するために東奔西走する走り回ったところで事態がどうこうするわけではないけれどそうすることで幾らか事件の記憶が薄れるだけでも効能があったというべきかも知れない２割る２は１数学的には確かにそうに違いないけれども２割る２は１と言えば不満の顔つきをされる割り切れないのが人の心そう想って１からでも人の心に近づこうと試みるけれどますます遠ざかっていくのも人の心どちらの側もそんなに違った言葉は喋っていないと想うのだけれどなぜそんなに違った音声に響くのかな？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/14

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• 泣き虫の駄々っ子

  　　　　泣き虫の駄々っ子　　　南風一家の前の通りから隣りの子どもたちが遊ぶ声が聞こえる二番目のお兄ちゃんの後ろ姿と三番目の女の子の泣き声が聞こえるお兄ちゃんたちにとって末っ子の妹は泣き虫の駄々っ子に過ぎないとてもレディとか男たちが魅力を感じる女性とは見ない泣き虫の幼児に過ぎない女の子といえどもやがて思春期を迎えお化粧をしてきれいに着飾って男たちの視線を一身に浴びるようになるそんなときを迎えてもお兄ちゃんたちは相変わらず妹の姿に幼かった頃の泣き虫の駄々っ子の姿を重ねているのだろうか？それは俺が好きだったきみの姿かも知れない俺がきみのお兄さんとして生まれていたら果たしてきみを好きになっただろうか？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/13

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• 親と子

  　　　親と子　　　南風一血のつながりは如何ともし難い怒っても憎んでも血がつながっているという関係をちゃらにはできないだから喧嘩したところで憎みあったところで最後には同じ場所に戻ってきてしゃあないなとなる縁組とか親子とか切れない関係を無理やり断ち切ろうとするから子どもたちは訳が分からなくなるそんなに簡単に切れるものか？そんなに簡単なものなら血縁というのは何の関係だろう？あっさり解消できるほどみずくさいものなら子どもの誕生とは何を意味するのか？誰の意思で子どもは生まれたのだろう？子の存在とは何か？親とは切っても切れないから愛情と憎しみが同居していたのではなかったか （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/12

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