南風一の世界

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• 羽根を伸ばす相手

  　　　羽根を伸ばす相手　　　南風一我が子の遊び具合を見ていたらなかなか俺に連絡をくれなかったきみの事情など取るに足りなかったと今さらながら思い至っている健康な若者ならば労働から解放されたときこそ思う存分気ままに気の会う仲間と羽を伸ばしたいよね羽根を伸ばす相手がたまたま俺じゃなかったそれだけのことさ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/11

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• 黒のシルエット

  　　　　黒のシルエット　　　南風一細めの黒いパンツスーツ姿のシルエットが美しい正面に座っているのに上着の襟首が大きいせいかマフラーを羽織っていたせいか顔の方ははっきり見えない携帯を操っていてそれで顔が隠れていたのかも知れないすらりとした体形に似て顔も細面昔から俺の好みだったタイプの女の子に違いないそうはいってもこちらは５０歳だから父娘ほどの年齢差があるとても好みがどうしたというような年齢でもないもはや眼前にあるのは俺とはまったく無縁の魅力に違いないそれで一向に構わないのだけれどなにやら淋しい気もするね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/10

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• 若いカップル

  　　　若いカップル　　　　南風一若いカップルを見ればこれから大変だなと想う好きの一言で何もかもうまく行けばいいけれどそれだけで生きていくことはできないいつまでも好きという想いがあれば大抵のことは乗り越えて行けるだろうけれど魔法の杖でもあるまいし若いときだけそう信じてしまう若さも好きも含めて幻想に過ぎなかったことにやがて気付く日がやってくるけれどそうやって生きていく以外に人類が生き延びる道も知恵もないことに気付かされる （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/09

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• 俺が好きになったのは

  　　　俺が好きになったのはことさらタブーでも何でもなく好きならば自然に性的興味だって湧いてくるだろうことさら雑念扱いして振り払う必要はないしいつまでもプラトニックに留まる必要もないでもきみを好きになったとき胸の膨らみやお尻が気に入ったわけじゃないし俺が好きになったのはきみが作り出す幻想の世界だったいつまでも幻想のままに留まってくれればいいのになぜ性的関心まで持ってしまうのかな？単にきみの身体が欲しいだけなら他の女性一般ときみとの相違点は何処にあるというのだろう？俺が好きになったのはプラトニックのままのきみの姿だったのにね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/06

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• 普通に「好き」

  　　　普通に「好き」　　　南風一昔好きだった人ならいつまで好きでいられるのかな？もし今すぐに会えるとしたら会いたいと想うのかな？何十年も過ぎたから普通に「好き」といえるときがやってきたそれもこれも片時も好きだった人のことを忘れなかったから何十年もかかってやっと自分の想いに忠実になれる関係ってのは喜ぶべきか喜ばざるべきか病気に倒れることなく二人が健康に生きてきて再び話しができる日を迎えることができたのは確かに嬉しいことには違いないね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/05

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• 好き

  　　　好き　　　　南風一男から「好き」って言われたら好きになるというのはあるのかな？あるいは好きとは言われなくても名前を聞かれた程度で「好き」になるというのはあるのかな？いずれも同じ中学校とか同じ通学圏とか狭い田舎町での話し通学時によく見かけるとか学校内の廊下ですれ違うとか日常的に顔を会わせるとかそんな機会が重なれば想いは以心伝心でもそんなものは成就すると想ってはいけない淡い夢のままとか片想いのまま終了という方が幾層倍か美しい想い出となったことか間違っても淡い恋心を追っかけてはいけない （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/04

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• きみの何処に

  　　　きみの何処に　　　　南風一きみの何処に惚れたのかな？確かに若いめちゃくちゃ美人ってわけじゃないけれど可愛いスタイルがいいってわけじゃないけれど出るところは出ていて丸みを帯びているところはやはり相応に人目を惹くきみの何処に惚れたのかな？ことさら意味深な言葉を交わすわけじゃないボランティア仲間としてごく当たり前の会話しか交わさないごく当たり前の会話や活動のふれあいに違った意味の嬉しさを見い出そうとしているこれって内向的若者の話ならば「もっと積極的になれ！」とか応援したくなったりしてなかなかほほ笑ましい話に違いないだけど中年男の話となれば事情がちょっと違ってくる「いい年して目を覚ましなさい。もっと現実を直視しなさい」そんな台詞を投げつけたくなるのが関の山かな （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/03

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• カレンダー

  　　　　カレンダー　　　南風一息子の部屋のカレンダーは５月と６月で止まっている私の意識の中ではつい先日変えたばかり息子はカレンダーをめくらない私は目にする度今度の休みにでも破こうと思うのにいつかしら１１月になってしまった昔なら神経質に日時の経過に拘ったのに今ではカレンダーなんてほとんど関心がない狐に摘まれれた老婆みたいにいつまでも同じ処をぐるぐる回り続けているいつもカレンダーに置いてきぼりを食わされてあわてて道に戻るのに気がつけば再び迷子になっている （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/03

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• 不確かなもの

  　　　不確かなもの　　　南風一確かめようがないものなんてたくさんある想いを寄せる人が一体こちらのことをどう想っているかなんて確かめようがない手探りで大体の感触を掴むことはできるけれど確信をもってそれが本当に正しいかどうかなんて不明数十年がたって「実はあのときは・・・」なんて裏話めいたことを耳にしたところで俺にしたって想いを寄せていたきみにしたって今さら何十年も昔の俺たちに戻ることはできないから詮無いことさまだお互いの気持ちが不確かだった頃に本当の想いを知りたかった早すぎたら早すぎたでそのままうまく行ったかどうかそれも分からなかったけどね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/02

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• 本当は？

  　　　本当は？　　　　南風一人間関係なんて簡単なものと想っていた勘違いして好きになって勘違いして結婚して勘違いして子どもが生まれる悩むことなんて何もないでもそれは何も無いときまでの話に過ぎない死ぬまでずっと勘違いというのが一番幸せな人生なのかなと想う好きな人は好きな人のままに本当は？なんて詮索しないに限る時々想い出してそれで幸せならばそれは幸せってことさなぜ？なんて聞かないでおこう （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/11/01

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• 独り善がり

  　　　独り善がり　　　南風一甘い親というのは確かにいるねそれは俺のこと息子の起こした交通事故に親がしゃしゃり出る言われはない息子は親が心配するほど半人前じゃないのかもしれない父親の胸の中では息子はいつまでも小学生みたいなものだからついつい息子を差し置いてしゃしゃり出るのかもしれないいい加減乳離れが必要なのは親の方なのかもしれないね俺は昔から思い込みやら決め付けが激しい性分だったから好きだった彼女と行き違いがあったのも俺の方に責任があったのかもしれないそんなことに気付かないままに何十年も生きてきた自分だけ正しいと思っている独り善がり （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/31

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• 何処にもない

  　　　何処にもない　　　南風一曲がりくねった道はなぜ曲がりくねったか？昔むかし道はへそ曲がりだったからまっすぐ歩きなさいと言ったところで千鳥足がせいぜいだった誰も疑問に思わず曲がった道の両側には稲や野菜が植わっていたから田畑の中をのんびり歩いてゆっくり行きなされという趣向だったのかも知れない道はそれぞれの目的地へ向かうまでの通過点に過ぎない曲がりくねった道のその先にそれぞれの夢や希望を携えて何万人いやもっと何十万人という人が通り過ぎたのかも知れない通り過ぎた人たちの姿や昔の尊崇を集めた神社の面影そんな面影は何処にもない車が轟音をたてて通り過ぎる道路より曲がりくねった道の方が何百倍も歴史が古いのだと言ったところでそんなことを気に留める人は何処にもいない （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/30

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• 弱いもの強いもの

  　　　　弱いもの強いもの　　　南風一弱いもの中古車を展示した隣に建っていた鉄筋コンクリートの２４時間保育所育児が必要な子ども数が減ったのか経営が立ち行かなくなったのか敷地ではパワーショベルが唸り声を上げコンクリート塊の土埃が舞うあっけないもので無くなってしまえばそこは昔から何も無い空き地だったのかもしれないと記憶の方が頼りないそれに比べて強いもの誰かを愛する想いかな？親が子を想う愛情小さな子どもが親に頼る依存心恋人といえども親子といえども何処かでいつか乳離れしなければならないときがくる離れるまでが楽しいひと時離れてからも変わらぬ想い （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/30

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• 何処の世界の

  　　　　何処の世界の　　　　南風一生きてきた年月を振り返ったり子どもたちが成長して社会人になることを想ってそれは何処の世界のことだろう？と不思議な気持ちがする自分では中学生か高校生のときのままと信じているけれど外見を見ればとてもそんなに若いはずもない歳をとるに連れ本当は学生時代の身も心も想い出とともに置いて来るべきだったのだろうそしたら壮年の我が身も過ぎ去った歳月も素直に受け入れられたのかな （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/28

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• 明るい空間

  　　　明るい空間　　　　南風一市役所に行くには国道の下の地下道を通らなければならない自転車を押して坂道を降りる誰の彫刻か知らないけれどその芸術性はともかく大きさから随分手間がかかっただろうことは分かる地下の空間を抜けて坂道を上がるところでエレベータから自転車を押した婦人とすれ違った確かにわざわざ坂道を降りたり上がったりするよりもエレベータに乗って垂直に降りたり上がったりする方が楽には違いないなと想う坂道を上がって突然明るい空間に頭が突き出たとき何というのかな一瞬記憶が吹っ飛んでしまって「ここは何処？　俺は何をしようというのだろう？」坂道を完全に上りきって地下道から出た頃には「そうだ　これから市役所へ行って息子の所得証明書を貰ってくるんだ」意識は地下道を下りていく前の記憶とつながったそんな風にして今日一日は過ぎていくのだろうこれまでの何十年の歳月だってそんな風に過ぎてきたしね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/27

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• 木枯らし１号

  　　　木枯らし１号　　　南風一ちょうど２０年前の夜その日も木枯らしが吹いた別れの宴のつもりできみと一杯やった俺はたまにしか事務所に寄らなかったその事務所の席のすぐ斜め前だったかなきみは年配のコンサルタントの秘書役みたいだったのかなきみを初めて見たときこんなに可愛い娘がいるのかと訝しく想ったそんな可憐な容姿とは裏腹に顔はどう見ても化粧っ気のない素顔だったかな？薄いブラウスの背中にはブラジャーのラインがくっきり浮かぶどうも顔に無造作に付いたような擦り傷がある（後でよく聴けば　きみはバイクツーリングが趣味で　四国一周にも出たという活発な女性だった）たまに昼食へ向かう地下道ですれ違うときには向こうからニコニコして近づいてきたきみと二人だけで話したかった特に何かについてというわけではなくただ短い時間を一緒に過ごしたかった本当は木枯らしの吹く帰り道で「ひやー寒い」とか何とか言いながらきみを抱きしめたかったけれど駅に着くまでの道のり最後まで何もできなかった仕方なかったからきみが乗って遠ざかっていく電車へ向かって馬鹿みたいに手を振り続けたそれが最後の別れだった （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/26

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• アクセサリー

  　　　アクセサリー　　　南風一それから色々なことを知っていくところだったからそれほど悲しいわけじゃないだろ？きみにとって俺は伴侶でも恋人でもなかったただ俺の方が一方的に言い寄って行っただけのこと好きでも嫌いでもないかといって結婚したいわけでもしたくないわけでもなかった要するにどちらでも良かったのさ切実感も切羽詰ったところもなかったからちょうど有ればいいアクセサリーくらいのところだったのかな？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/25

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• 再生

  　　　　再生　　　南風一金木犀は１０月の初旬に咲いて中旬には花を散らせる金木犀が花を終えてから気温は再び上昇して下旬には下がりはじめる気温の変動に騙されて金木犀は再び花を付け甘い香りを漂わせる夜など「確か金木犀の花は終わったはずだけれど　　さて　どうしたことだろう？」と見上げれば再び花がちらほら付いているそんな風にきみも俺も何度でも若返ることができればと想うけれどもし若返ることができたとして金木犀の芳香のように若さだけで昔のようにきみを愛でることができるかどうかそれは分からないけれど （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/24

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• 痴情

  　　　痴情　　　　南風一近くの店に買い物に行っていたのだろう小学校低学年と幼稚園くらいの男の子二人を連れた若いお母さん小さな男の子の方は買い物袋を道端に放っぽり出して何やら文句らしきことを言っているお母さんの方は笑いながら「それなら今晩のおかずはないから」とか言っている小さな男の子も観念したのか放り出したらしい買い物袋を拾ってお母さんやお兄ちゃんと歩き出した３人とすれ違いざまお母さんと目が合ったお母さんのスタイルが物語るとおりまだまだ子悪魔的な魅力がある昔好きだったきみは近況について俺に喋ってくれたけれど会ってはくれなかったきみは半世紀をかけて日本女性の型にすっかりはまっているから今頃その考え方を変えろと言っても無理だろうもしきみの頭が何物にも染まっていなければ懐かしい感情のままに奔放に俺の胸に飛び込んでくれてもよさそうなものだけれどそれは夢のまた夢道端の凸面鏡に映る中年男の姿形を見ればかつての若さも魅力も消え果ててとても痴情が湧いてくるような代物じゃないねもっと若かったらどうにかなったのかな？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/23

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• 訪問

  　　　訪問　　　　南風一きみが訪ねてくるのをじっと待っているわけじゃないから突然訪ねてきたっていつも席にいるわけじゃないこのところ大抵席にいたからという理由で電話も入れずにやってくるのは随分人を食った話さというわけでせっかくきみが訪ねてきてくれた日には俺は不在絶対に会わなければいけないというものでもないけれど会えなければ会えない日が続くと会えたら嬉しいのになとも想ったりする今度訪ねてくるときはきっと電話を入れてほしいいついつ会えると分かっていれば待つことが楽しみに変わるから （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/22

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• 想い出の中では

  　　　想い出の中では　　　南風一子どもたちは思い思いの方向へ歩みだして幼稚園や小学校へ通っていた頃のようにいつまでも小さな子どもじゃないんだからやがて乳離れしていくものさ俺が好きだったきみも想い出の中ではいつまでも小娘に過ぎないけれど今じゃあ　スカーフにエプロン姿でかいがいしく家事などをこなしながら立派な主婦然とした姿になっているのだろうきみの姓は知っているけれど下の名前は知らない両手を合わせたり両膝を折って大げさな素振りでくすくすと笑っていたねきみは何がそんなに可笑しかったのだろう？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/21

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• 歯科衛生士

  　　　歯科衛生士　　　南風一虫歯の親知らずを抜く前に歯科衛生士が歯垢を取ってくれた元来潔癖症の人が歯科衛生士に向くのかそれとも職業柄歯科衛生士は潔癖症になるのやら歯は輝くばかりに白くなった新車を磨き上げるようにきれいにする必要性などさらさらないそのうち１年もすればまた歯垢が付いて黄ばんで来るだろうに２０代後半の女性の歯科衛生士の磨きっぷりときたら俺の頭に柔らかい乳房を押し付けて一生懸命に磨いてくれるそんなに一生懸命やったらへとへとになるよ毎日歯磨きはするけれど虫歯にならない程度にほどほどでいいと考えているから（歯科衛生士さんには悪いけれど）その磨きっぷりはちょっと異常だね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/20

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• 女

  　　　女　　　南風一すべすべした肌もピンク色の唇も艶々した黒髪もすらりとしたプロポーションも歳をとるに連れ消えていく代わって身に付いていくのは経験や知恵素振りや立ち居振る舞いは落ち着きを増ししっとりとした姿に美しさを感じることもあろうそうやって女は魅力を保っていくのかな？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/19

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• 水のように

  　　　水のように　　　南風一大人の関係とは不思議なものでべとつかず付かず離れずさらりと会話を楽しむ会話の中できみを好きだという想いが伝わればそれで十分それ以上何も求めない仕事だけの関係ボランティアだけの関係そこに留まっているからいとおしく感じる関係というものもあろう一歩でもそこから踏み出したら鉢から飛び出た金魚みたいにぴちぴち跳ねたところで水の中のようには優雅に泳げない何を勘違いしたのだろうね水の中だから優雅に近づいたり離れたり遊ぶことができたのにさ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/18

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• 一人身

  　　　一人身　　　　南風一一人身の美しさそれはあると想う肩ほどでカットした髪ことさら念入りにブラッシングを施したというほどでもない肩から引っ掛けたザック顔をおおう程度の日傘それらの全部が一人身の美しさを醸し出す本当は同じ班だったのに俺が一足早い班に入って出発した帰り際に次の班とすれ違ったきみはにこやかな笑顔を投げて寄こす俺は昨日のシンポジウム資料を渡してそのまま立ち去ったきみは「ありがとう」と言って受け取ったほんの数秒間の出来事に過ぎないけれどそんなことがとてもいとおしく想えることさら時間を作って何かに誘うということはないいつも活動スケジュールに従って活動が終わればそそくさと家路につく誘えないからことさら時間を作れないからほんの数秒の出会いが何時間にも匹敵するのかも知れないね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/17

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• 山城

  　　　山城　　　　南風一好奇心とは不思議なものでおばさんやおじさんになってもお爺さんやお婆さんになっても一線の研究者を退いても所狭しと参集する昔の山城ネットワークについて知見を深めたところで何が満たされるのか分からない２時間が過ぎたところで途中休憩が入るまで席を立つ人は誰もいない何がそんなに人を惹き付けるのだろう？午後１時から５時まで薄暗い部屋で私は居眠りしつつときたまスライドを眺めながら山城のいわれや構造、類似点を聴く明日は山城の遺跡へ実地見学に出かけるたくさんの人が参加するのか３班編成になるという週末の２日間を家の掃除や風呂掃除をほっぽり出して一銭の儲けにもならないことに現を抜かすなんてどういう料簡なんだろう？（自分でも分からない）週末の休日くらい適当にだらだらして散歩して庭弄りして夜が来れば一杯引っ掛けて床に就けばいいそれで十分なのにわざわざ出かけて何を満たそうというのかな？きみに出会えるわけでもないのにね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/16

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• 勘違い

  　　　勘違い　　　　南風一俺はきみの方ばかりが悪いと想っていたけれどそれは大きな勘違いだったのかも知れないね余りよく知らない相手から求婚されたからといって即座に「ＹＥＳ」なんて答えられるわけがないそんな当たり前のことを忘れて俺はきみが悪いと思い込んだきみは多感な女だから色々な男に想いを寄せて俺一人に絞りきることができないのだろうと決め付けたきみは女の本能としてどの男と一緒になるのが自分にとってベストなのかと慎重に判断して行動していたのだろう俺に急かされ癇癪を起こされたからといって「それではハイ」なんて問屋が卸すはずなかったまだ未練が残るうちに去ろうというのは俺の身勝手な自己保身に過ぎなかった （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/15

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• 夢

  　　　夢　　　　南風一昨夜は熱に冒されて夢を見たなぜかきみが隣に座っていて髪をショートカットに切っている俺はきみの身体のどこかを触ったらしい「触らないで！」ときみの大きな声よく見ればきみはきみでも本当のきみとは似つかない顔立ちをしている（きみの肌はそんなに浅黒くなかったし　顔立ちもそんなに不細工じゃなかったはず）けれどもそれはきみに違いなかった今さらながら俺は訝しんでいる「俺は何処を触ったのだろう？　俺がそんなことをするはずない。　そもそもきみが嫌がるはずなんてない」どういうことなんだろう？相変わらず俺は訝しんでいる （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/14

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• 乳房

  　　　乳房　　　南風一営業ウーマンの場合色香も実力のうちだろう胸に大きくカットの入ったシャツ姿でお辞儀をされた日には胸の谷間と白い乳房の膨らみに思わず目がくらくらと来てしまうそれを計算に入れてか知らずかきみは何食わぬ顔でこちらの様子を見ているそれでもきみが色香を含めたトータル力で成績を上げていくのももう１０年が限度だろう俺も含めてきみが虜にした男たちは次々に定年を迎えるその頃にはきみも４５歳になっているもはや若い担当者を相手にきみが色香を武器に使うのは難しい今日もきみの大きな乳房の膨らみを眺めながらこれを揉みしだける果報者は誰だろう？それともこんな魅力的な乳房でさえ誰に揉まれることもなく萎んでいくのかも知れないなあとも考えた （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/12

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• あっけない別れ

  　　　あっけない別れ　　　南風一恋愛の対象ではない異性の結婚話ならばそれが親しい友人ならば「おめでとう」とお祝いの言葉を贈るそれほど親しくなくても顔見知りならば「おめでとう」と挨拶の一つも口に出ようところが相手が恋愛の対象本人だった場合極めて深刻な事態に発展する「奥さんが不在のときに私のところに電話してきて恥ずかしくないの？」「あなたにもう少しのところで騙されるところだったわ」受話器の向こうから激越な言葉が飛んでくるこれまできみの口から耳にしたことがない言葉の数々職場の好きな先輩について事ある毎に話を聴かされていたのは俺の方だったそんなことはすっかり忘れてしまって俺はきみのことを諦めたのにきみは俺が裏切ったと想っている俺はきみの胸のうちを読み切れなかったのかな「分かった。ごめんなさい。もう二度と電話しないから」自分で詫びの言葉を入れながらなぜ謝らなければならないのか釈然としなかったあっけない別れだった （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/11

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• 友だち

  　　　友だち　　　南風一　　散歩らしい犬がある家の垣根の前で立ち止まっている「今日は居ないね。さあ行こう」夫人に促されて犬も納得したのかさっさと歩き出した犬にも友だちがいて散歩の途中で「わん　わん」と吠え交わす一日に一回か二回馴染みの道を歩いて知り合いの仲間と吠え交わす「元気かな？」「ああ　元気だよ」それが健康の秘訣だね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/10

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• 玉手箱

  　　　玉手箱　　　南風一竜宮城で乙姫さまと楽しいときを過ごした浦島太郎海亀に送られて辿り着いた浜辺そこに暮らしていたのは見知らぬ人ばかりさて浦島太郎は乙姫さまが絶対に開いてはいけないという玉手箱を開いてしまう玉手箱の中からは白い煙が上がって浦島太郎は髭も髪も真っ白のおじいさんになってしまう白い煙とは何だったか？一瞬に過ぎた乙姫さまとの楽しい一時は人間時間に直せば何百年に相当するそれほど長く楽しい一時も一瞬の儚い幻想に過ぎないそれは一つの仮説に過ぎない玉手箱の中に詰まっていたものは金木犀か沈丁花の香りであっただろう竜宮城から戻った浦島太郎は玉手箱の蓋を開けて香りを嗅いでしまった一瞬にして子どもの頃の懐かしい思い出が蘇る母や父の記憶兄弟姉妹たちの記憶もし金木犀か沈丁花の香りを嗅ぐことがなければ浦島太郎は昔のことをずっと忘れていられただろう乙姫さまが忠告したのは古い記憶は無いに越したことは無いへたに呼び覚ますことがあればすでに消えてしまった父母や兄弟姉妹のことを思い出して嘆き悲しむそんな人間に生まれついた性のことであった （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/10

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• 雨の空間

  　　　雨の空間　　　南風一フロントガラスにバケツの水をひっくり返したような飛沫がぶちあたってそれでも車の中は何事もないような雨の中の静けさ俺が座っているのはただ飛沫に洗われる車の狭い空間それにもかかわらずこの空間はまっすぐにきみの住む空間へつながっていると錯覚するだけど今日は週末きみは夫や子どもたちと団欒のときを過ごしている空想の世界ではいつも俺に微笑んでいるはずなのに例えばメールを出したところで今日は歓迎されないね今度はいつ微笑んでくれるのかな？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/09

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• 恋しい

  　　　恋しい　　　南風一四六時中恋しいわけじゃないからごくたまに半年に一度くらいかなきみに会いたくなる四六時中じゃないから大体きみのことは忘れているそれで何不自由なく暮らしているそんなのだからごくたまに会いたくなったときだけきみに会いたいというのは傲慢なのかなあ？恋しいってものはそんなものじゃないのかな？何歳になっても無性に会いたいときだけきみに会いたい （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/08

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• 連絡

  　　　連絡　　　　南風一ほとぼりが覚めたころに連絡すれば懐かしさだけでまた応答してくれるのかも知れないそれともきみは記憶力がいいからそうは問屋が卸してくれないかも知れない別れの挨拶をすることなく音信不通になって二十数年が過ぎてやっと送った便りにきみは答えてくれたそれは単なる懐かしさゆえだったのかな？それともきみにも幾ばくかの負い目や想うところがあったのかも知れないとにかくきみはほんの一時だけ昔のきみに戻ったけれどそれはほんの一瞬だけ仕事の合間を縫ってかけた電話で１５分間話しただけで途切れてしまった「また電話していいかな？」と問いかけたらきみは「ええ」と答えたくせにそれっきり話せないでいる （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/07

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• 熱病のように

  　　　熱病のように　　　南風一夜明けに雨戸の外から「大丈夫？」という女性の声と「ここです　ありがとうございました」と呂律の回らない声でなにやらお礼を言っている二男の声が聞こえた二男はバイトが引けた後続けて飲んでいたらしかったそのまま自分の部屋へ直行してばたりと眠ったらしかったその日の昼下がりようやく起きてきた二男は自分がどうやって帰って来たのか記憶がさっぱりなかったつまりそれくらい酔っ払っていた前後不覚に酔っ払うとか人事不省に陥るというそんな体験から遠くなってもうどれくらいになるだろう何もかも忘れるくらい女性に恋することも誰かに恋焦がれて何も手につかないということもとんとなくなってしまった熱病のようにきみに恋していたあの時期というのは一体何と表現したらいいのかな？思春期という名の病気だったのかも知れない （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/06

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• 金木犀の蕾

  　　　金木犀の蕾　　　南風一金木犀の蕾がぽつぽつほころび始めた乙女の芳しさに似て今まさに満開になろうとする前が一番甘い香りを放つこの季節になると若き日の疑問がいつも想い起こされる高校２年生のとき「付き合ってくれ」という俺の言葉にあっさり「嫌です」と言い捨てて駆け去ったきみそれから３年の歳月が流れて大学の学園祭でばったりきみに出くわしたきみは頭にシャッポをかぶりエプロン姿で模擬店のクッキーを売っていた通り過ぎる人に混じって歩く俺に近づいてきて何食わぬ顔して「クッキーはいかがですか？」と訊ねてきた「要らない」と断る手もあったけれどお人よしの俺はあっさり「それじゃあ１袋ください」と言ってお金を払ったきみと一緒にクッキーを売っている隣の友人らしき女性は俺ときみが同じ高校出身で昔にきみが俺の申し出を拒絶したことを知らないきみが近くの女子大に進学していることは知っていたけれど白々しく「○○さんはこちらに来られていたのですね」と話しかけた「・・・・」きみは何も喋らずすぐに立ち去ったそして俺に出会ったことなどもう忘れてしまったかのように通り過ぎる学生らしき男性に「クッキーはいかがですか？」と呼びかけていた （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/05

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• 遺跡めぐり

  　　　遺跡めぐり　　　　南風一はっきりした情報がないとき点と点に過ぎない事実を都合よく繋ぎ合わせてあらぬ虚像の産物を作り上げてしまうそんな風に最近ボランティア活動で会えないきみは古都を歩く企画に参加したのだろうと勝手に思い込んでいるそうでもなければあれほど調査活動に熱心なきみが休むなんて想像できないからだからやっぱりきみは初秋のはるか古都くんだりまで遠征して遺跡めぐりに現を抜かしていたに違いないそう確信している （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/04

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• いつまでも同じ場所に

  　　　いつまでも同じ場所に　　　南風一プリンターインクの回収箱の中にメーカーの担当者名が書かれている回収箱が一杯になって連絡するとき誰に連絡したらいいか迷わないようにという配慮からだろうそうとは分かっていてもそれを目にする私の胸のうちはなぜかざわざわと波だって落ち着かなくなる回収箱が一杯になったときもし担当者に電話しても彼（または彼女）はすでに異動してそこにはいないかも知れないあるいは何かの事情で退職してしまって「はあ　何のことでしょう？」と言われはしまいか？それならそれで次の担当者が着任しているに違いないのだろうけれどそれでも担当者の不安定さが気にかかってしまうそうやって担当者名を書いたところで彼（または彼女）がいつまでもそこに居るものか今度電話するときはすでにそこには存在しないかもしれないのにずっとそこに留まっていると無邪気に信じている自分の立ち位置の不安定さを振り返ればプリンターインク回収箱の担当者でなくてもいつまでも同じ場所に留まっている人などいないことに気付くだろうにね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/03

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• 夢のような

  　　　夢のような　　　南風一確かにスタイルのいい女性を見て想うその魅力的なスタイルとて若さとていつまでも続くものではないよくて５０年いや６０歳になっても魅力的な姿態を保っている女性もいるのかもしれないそれでも１００年もたてば皺だらけになるか死んでしまっているのは確かだろう俺が好きになった女性だって美しくて魅惑的だったのはほんの一時に過ぎなかったのかも知れない夢のような幻のような （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/02

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• どういういわれで

  　　　どういういわれで　　　南風一どういういわれで今自分がここに生きているのか？どういういわれで今自分が生きているこの土地や社会が成り立っているのか？そんなことをことさらに知らなくても生きて行くことはできる歴史を知ろうとすることは大切だけど何も知らなくても生きて行くことはできるきみをなぜ好きになったのかそんなことを詮索しなくてもただきみを好きなだけで生きて行ける本当はなぜきみを好きになったのかきみは本当のところ俺のことが好きだったのか今でも俺のことが好きなのか本当はそんなことを知りたいけれど （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/10/01

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• 先輩の思い出

  　　　先輩の思い出　　　南風一本を贈ってもらって著者紹介を見たら同じ高校の先輩にあたる人だった高校の先輩に勉強を教わったことはほとんどない教わったことといえば１年生のとき英語クラブに入ったら３年の男ばかりのクラスの先輩がいつも一番後ろの席を陣取っているそのうち私の隣にやってきていつも雑談ばかりしていた「かわいい子を知らないか？」「そういえば友だちが○年○組の某女子なんか美人って言ってましたね」ふんふんとその先輩は頷いていた翌週にクラブで会うと早速近づいてきて「先週の子はなかなか良かった。　ところでもっと知らないか？」と言う「これも噂ですけど○年○組の某女子は歌手の○○にそっくりという噂です」「それから○年○組の某女子は先週の子の妹でこちらも可愛いという評判です」「それはいいことを聞いた。さっそく行ってみよう。」先輩といえばこんな調子だったその先輩に数学の宿題が分からないから解き方を尋ねた３年生のくせにうんうん言いながら問題を解いていた授業でその先輩から教わった解答を黒板に書いたらバツをつけられてそういう方法よりこういうやり方がベターと言われて赤恥をかいたその先輩は理系だったらしいけれど大学受験はうまく行ったのかな？何処で何をしているのだろう？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/09/30

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• 未来

  　　　未来　　　南風一あからさまに好きとか言ったことがないからそれがお互いの魅力だったのかも知れない好きってことを伝えないままに死んでいくのは切ないから手紙を書いて何とかきみへの想いを伝えようとした俺は今生最後のチャンスのつもりで書いたのにきみは「今にも死にそうな感じなのでちょっと驚いた」と言った「病気でもしているのか？」と問いかけるのには笑ってしまったきみにはまだまだ前途洋洋たる未来が広がっているそれは多分俺の想いとは無関係にあるそれに比べて俺の未来が暗いのはもう昔のようなきみと俺に戻れない現実にあるきみはそんなことを考えないのかな？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/09/29

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• 手紙

  　　　手紙　　　南風一本を贈って貰った人にお礼の葉書を書いてそういえばきみに自筆の長い手紙を書いたことを想い出したそれから５ヶ月が過ぎようとしている確かに自筆の手紙は心を打つことはあろうそれでも互いに伴侶を持ちそれぞれに家庭をもつ者同士に今さら何ができるだろう？きみは俺の稚拙な文字にそれでも心を少しばかり動かされたのかもしれない（連絡してくれたことからそれは分かる）でもそれだけのことそれから後は話もできないし連絡もしない俺がそうであるようにきみは俺がもう熱が冷めたみたいにきみのことを忘れてしまったと思い込んでいるかもしれないね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/09/28

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• 若さが消えたとき

  　　　若さが消えたとき　　　南風一見かけだけでは人は分からないそもそも泥臭い調査には不熱心だった節目の研修会にはきっちり参加するそんなところから遺跡調査は冷やかし半分の退屈しのぎかなと受け取っていたそんな彼が実は邪馬台国への道程について大胆不敵な仮説を提起した本をものしていた国府調査に対する不熱心さとは裏腹に邪馬台国までの道筋に対する思い入れ様ときたら古地図から始まり中国・韓国の漢字表記と発音の様古代日本の漢字表記と発音の変遷時代や土地を縦横無尽に行きつ戻りつ旁国二十一の場所を突き止めて行く強引とはいえその切れ味といい説得力といい着想の卓抜さといいこれだと決めた獲物へ向かって一直線に突き進んでいくその姿は百獣の王を想わせるものだった他方　調査には熱心だった彼女の方はどうだろう？この頃は週末午前中の活動にぱったり姿を現さなくなったもう三十半ばにさしかかってそろそろ色香も衰える頃若さが消えたときそれでも俺は彼女を恋しく想い続けるのだろうか？それはちょっと疑問だね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/09/26

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• アシュ

  　　　　アシュ　　　南風一国府調査の一環で地名調査に出かけたすでに漢字は言うに及ばず　かな、カタカナ表記を持つ現代日本においても（最近ではアルファベット表記も含めなければならないかもしれない）地名は意味を離れた音として口伝されるに過ぎない当局者か誰かが漢字を当てはめたときから文字として残ったに過ぎない雨水を集めた”アシュ”という水路の行き先が庄屋の庭の泉水であったという土地その庄屋の墓所を見に行った本家は町医者になってとっくに都会に引っ越して行ったという元屋敷跡そばには一区画の墓所があってそこには大から小までざっと４、５０個の五輪塔や墓石が整然と並んでいる墓石にはどれにも「藤原朝臣○○守入江○○何代目宮武○○何代目○○」などと刻まれている地元の人が言うには庄屋の遠い祖先が藤原氏につながる入江さんから嫁を貰ったらしい庄屋さんをやっていくにもなかなか箔付けが必要であったらしく涙ぐましい努力の跡ともいえようか小作百姓の数の方がずっと多かったはずだがこちらはお寺の先祖代々の墓の下で押し合い圧し合い団子になって眠っているのであろうか （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/09/26

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• 何処に住んでいたって

  　　　何処に住んでいたって　　　　南風一何処に住むか？仕事や生活に忙殺される人にとってそれは大した問題ではない仕事に出ていく必要が消え友人も親類も近くに住んでいないときなぜそこに住み続けなければならないか？そう自問してようやく自分が理由もなく縁も無いところにしがみ付いている滑稽さに気付くそれならきみが住んでいるところはどんな理由があってかな？ただ連れ合いが住んでいるから一緒に住んでいるのかな？それだっていつまでも続くわけじゃないそれでもきみが幸せなら何処に住んでいたってきみは幸せだよね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/09/25

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• 谷間

  　　　谷間　　　南風一連休の谷間にきみの声を聞きたかった（甘えたようなちょっと鼻にかかった声）だから仕事とはいえ電話できみの声を聞けたことは嬉しかった仕事なら全然構わないのだねそれって本当はお金儲けのために自分を売ってることじゃないの？いえ「お金儲け」じゃなくて「私の人生」を買ってるのだってお客様さまが私の時間を買ってくれるから私は「人生」を作り上げられるだから私的な付き合いは駄目なくせに仕事ならいいっていうのかな？ （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/09/24

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• 季節の巡りに

  　　　季節の巡りに　　　南風一昨日まで真夏日が続いて寝苦しかったのに今朝は雷鳴が轟いて雨が降ったりやんだりするうち昼過ぎからすっかり気温が下がって肌寒いくらいになった山野やお寺の境内では萩が可憐な花を付けた頃だろうもう一段冷え込むと金木犀がよい香りを放ち始めるだろう季節の巡りにあわせて一年に一回草木は昨年と同じ花を付ける決して忘れることなく一年前と同じような花を付けるそんな風に一年経てば忘れることなくきみに出会うことができたらどんなに嬉しいことだろうにね （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/09/23

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• 打ち出の小槌

  　　　打ち出の小槌　　　南風一一人の主任検事が証拠を改ざんしてしまったというゴールが明確になっているからそこに一直線に辿り着ける方法はないかと考え付いたのだろうその主任検事が当たり前の「事実」と勘違いしてしまったゴールゴールがそこにあるのだから手段は何であってもよかったそこに到達すればそれで有罪は立証されたことになる頂上までの道がなくても検察なら勝手に道を切り開くことができるこの検察が作り上げた道を真相と呼んで裁判所が証拠採用してくれる便利な打ち出の小槌だったけれど事実と真相が食い違った場合事実の方が嘘だとはさすがの裁判官も言えなかったそこで検察の打ち出の小槌はたまに変な道を捏造してしまうことがばれてしまった （詩集の宣伝）「どこにでもある光景」３月２６日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2010/09/22

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