南風一の世界

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• 雑談

  　　　雑談　　　南風一今日は突然の訪問昨夜のテレビの話題でひとしきり本当はもっと違う話がしたかったのに雑談はそのくらいでお仕舞いきみの容姿をさりげなく賛美しながら本当に賛美したいのはもっと他のこと何一つの本当のことを言い出さずに今夜もさよなら （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/30

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• 極意

  　　　極意　　　南風一楽しく暮らすコツなど幾らでもある日々の喧騒を終えてやれやれとストーブの前で新聞を広げるけれどうたた寝ばかりして一向に新聞を読み進めないひとときもその一つ休日の午後ぶらりと散歩に出るのもその一つ本当にやってくるかどうか実現するかどうか不明の事柄の到来をなんとなく待つこともその一つ多分ありえない恋の行方を手前味噌に空想していかにも本当に起こりそうに想像することもその一つとりあえず手の届きそうな目標を作って実現できなければ別の目標に切り替える執念深くがんばり続けることはできないけれど適当なところで折り合いをつけてまた自分では価値ある目標を追っているつもりになる確信を持って馬券を購入したギャンブラーのうきうきした高揚感とどこが異なっているのだろう （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/29

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• 取り扱い注意

  　　　取り扱い注意　　　　南風一きみは無邪気というか余りにも無防備だから戸惑ってしまう男はいつも聖人君子とは限らないたとえば真夜中にきみの携帯に電話して「ゆうこー」と叫び出すかも知れないたとえば休日に電話して「ちょっとドライブに行こう」って誘い出すかも知れない仕事の電話なのにきみからの携帯番号が残って困っている （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/28

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• 淡い恋

  　　　淡い恋　　　　南風一出張先から帰るとき悪天候で飛行機が飛ばなくて鉄道で帰ってきたという真夜中になるというのにわざわざ帰ってきた理由が友だちと会うためというから振るっている友だちが出張でこちらに来るから会おうということになったらしいがあいにく彼女の方も出張彼女は真夜中に友だちのホテルを訪ねて会ったという友だちは元同僚で転勤で他に移ったというが夜中にホテルで会う仲なんて俺が彼女に抱いていた淡い恋心は一気にしぼんだ友だちが異性か同性かなんて野暮なことを聞くのはよした （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/27

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• あたりまえに

  　　　　あたりまえに　　　　南風一あたりまえにきみが近くにいる気がしてあたりまえにそのことでうきうきしているきみはどんなふうにして俺のところにやってきたのだろう俺の家の前までやってきたか通りに車を止めて立っているのかも知れないきみは空気に紛れてやってきたか高い空中に浮かんで見下ろしているのかも知れないきみの気配は確かに俺に届いているあとは話しかけてくれさえすればいいきみはすぐそばにいるのだから楽しくおしゃべりしようよ （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング 

  2009/11/27

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• なぜ

  　　　　なぜ　　　　南風一　暗闇の中を家への道を急ぐとき顔もはっきり見えない人影とすれ違うそんな影の薄い人と俺や俺が好きだったきみとの違いは何か俺もきみも暗闇の中を過ぎる人影と何ら変わりない俺もきみもひとかどの人物でも何者でもなかったそれにもかかわらず好きになってしまったのはなぜ？どこにでもいたきみを好きになったのはなぜ？ （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/26

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• 夢の生き物

  　　　　夢の生き物　　　南風一思ったよりあっさりしたもので俺がさよならの手紙を書いたのにうんともすんとも言ってこなかったそれから１年が過ぎてどういう風の吹き回しか俺の自宅に電話があったという何を伝えたかったのかそんなことは分からない姉が言うには特に言伝もなかった何も言うことはないきみにとっても俺にとってもそうであっただろうきみが俺に求めたものが何であったのか分からないように俺もきみに何を求めていたものか分からないはっきりしているのは俺がきみにいだいたものは幻想に過ぎなかったたとえきみと俺がうまく行っていたとしても俺が想像したようなきみは何処にもいなかっただろうきみは俺が作り上げた夢の生き物と競争しなければならなかったきみに勝ち目はなかったのにそれでも戦おうと試みたのかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/25

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• 独身女性

  　　　独身女性　　　南風一４０路や５０路の独身女性が話している今度電話するのは結婚の報せだからそれまで電話しないから私だって同じよ私の方が先に電話するからいえ私の方が先よ半分が本音で半分が嫉妬そんなことを言い合って慰めあっているのかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/24

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• 絶滅危惧種

  　　　絶滅危惧種　　　南風一梅雨時に国府と推定されている土地を歩いた大抵の道はアスファルトが敷かれ水路もコンクリで固められているそんな中にたった１箇所１町四方だけ昭和がそっくり残っていた昔ながらの土道と外壁がコールタールを塗った板で覆われた家台所の裏にはプロパンガスのボンベがあり流しの水は雑草で蔽われた水路にそのまま流れる水路の脇には紫陽花が咲いていたすぐ脇の家の前は家族が食べるだけの野菜が植わっている家の中からおかっぱ頭の女の子や青洟垂らした腕白坊主が賑やかに飛び出してきそうな気がしてこれは映画のロケにもってこいだと思ったそんなことを記憶していたから何かの折にぜひ使いたいと思ったどこにもあるけれどどこにもない光景子どもの頃には当たり前だった光景がいつの間にか当たり前でなくなっていた （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/23

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• 幼い姉妹

  　　　幼い姉妹　　　南風一お母さんが幼い姉妹に食事を取らせているお姉ちゃんの方はしっかりした箸さばきで天ぷらを口に運んでいる妹の方はおぼつかない箸さばきで天ぷらに噛み付いているお母さんが妹の方の世話をしようとすると妹の方は「いやー」と叫んで構うなというジェスチャーをするお母さんは自分が食べるより子どもたちの世話で大忙しお母さんにとって姉妹でも子どもは子ども特に二人の子が姉妹だからといって落胆していることはないのかも知れない世の中には女の子ばかりの家男の子ばかりの家がある他方で男の子と女の子が揃った家がある女の子か男の子に偏った家にすれば当面はつまらないかもしれないけれどやがて男ばかりの家の子が適齢期になって女性に恋するとき彼らの相手は女の子ばかりの家がないと追いつかない誰も自分の子どものことをそんな風には考えないのだろうけれど偏りがあって社会はうまく回っていく （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/21

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• 安全運転

  　　　　安全運転　　　　南風一来月、再来月には国庁跡と思われる場所を掘るまだまだ一緒に活動するしその後だってどんどん続けて探索活動を行うかもしれないだから古墳や古代道らしき跡を訪ねた後まだきみが一人居残って博物館を覗いてみると言い出したところで「それじゃあ　俺も」なんて後から追っかけることはできないもっと踏み込んで「俺はきみのことが好きなんだ。　ぜひ一緒に遊びに行こう」なんてことは冗談にも言い出せない本能のままに行動すればあとの付き合いの方がギクシャクするそれよりも当たり障りなくたまにきみを茶化して楽しむそんな安全運転の方がどれほど分別のある大人の付き合い方だろうそれに比べれば若い頃なんて好きと思えば一直線に突き進んで後は野となれ山となれ随分こわいもの知らずだったけれどさてどちらが良かったものか （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/21

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• 元の木阿弥

  　　　元の木阿弥　　　南風一足かけ５年盆暮れには必ず帰郷しただろうにきみはどんな思いでときを過ごしたのだろうそこに俺の付け入る隙は１ミリも１秒もなかったそのことを不思議に思ったこともきみには一度もなかっただろうたったそれだけの愛情関係に過ぎない二人が既成事実のように結婚を話題にし始めたもんだから空から見下ろしていた神様は笑止千万か茶番とびっくりしたに違いないきみは足かけ５年かけて気に入った男を掴まえることができなかった俺も気に入った女を掴まえられなかったそんな理由だけじゃ二人がうまく行くわけなかったね足かけ５年かけてやっぱり元の木阿弥に戻ったきみと俺 （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/20

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• 儚い夢

  　　　　儚い夢　　　　南風一１６、７才の小娘だったけれどきみには男を見る目が確かにあったと信じたいなぜならきみくらいだったからね俺が初めて呼び止めたとき立ち止まって一緒に歩きながら素直に俺の話に耳を傾けてくれたのは随分長い距離を一緒に歩いたけれどあのとき何を話したのかもう思い出すことはできないだけど俺の口から次にどんな言葉が飛び出してくるのか待ちかねたように見つめ返すきみの瞳と唇と鼻俺はきみの表情ばかり見つめていた本当にこんな女性と恋愛できたらばら色の人生だなと思ったその日から時間は止まったままなのにあのときのきみの姿を見かけなくなったのはなぜ？俺もいつかしら鬢に白髪が目立つようになりとても若者とはいえなくなりつつあるもう一度１６、７才のきみに会いたいというのは儚い夢かな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/19

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• 謝る女

  　　　謝る女　　　南風一電話の向こうで遅くなってごめんなさいと謝る声を聞いて同じだなと思う謝る女はいつも同じなぜ謝まらなければならないかその理由を知っていて謝っている謝るくらいなら最初から謝らないようにすればいいだけなのにずるい性かこちらの重要性が低いだけなのか遅れてしまって結局謝っている何もしないことも重要なメッセージなんだよそんなことを言ったところでこちらの優先度が低かったことがばれただけの話しだからどうってことないかきみにとって （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/18

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• 最も心踊ったとき

  　　　　最も心躍ったとき　　　　南風一人生において最も心躍ったときそれはきみと楽しいおしゃべりをしながら歩いた学校までの道のり帰りに一緒に帰ろうときみと約束してどきどきしながら下校の時間が来るのを待った日その日きみは俺が想像したとおりにかばんも持たず小走りに現れた「やっぱり友人に変に思われるから」と一緒に帰ることを断りに来たのだったああいいよと俺は手を振って先に帰ることにした駅までの道すがら「何を心配することなんかあるもんか　結局きみもありきたりの優等生の大馬鹿野郎さ　いつまでも周りのことばかり気にかけて　人生を台無しにしていればいいのさ」そんな悪態をつきながら女ってやつは全部そうだ一度男を舞い上がらせておいてすかさず梯子を外す （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/17

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• 奥深くの元素

  　　　　奥深くの元素　　南風一きみや外部要因が原因であるかのように思っているだけど本当は自らの歴史に理由があることを知っているそれは俺という人間を形作る元素きみにはきみを形作る元素があったそれは物質とは無関係なところで親和性があったり反発し合ったりする俺はきみのことが好きだと言いつつ絶対にきみには譲れないところがあることを秘めていた同じようにきみは俺の求愛に応えつつ絶対に俺の嘘を信じようとしなかったきみも俺もお互いの中に反発しあう元素を感じ取っていて黙っていたのだね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/16

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• 悲しみ

  　　　悲しみ　　　　南風一失恋とか大学受験失敗とか失業とか離婚とかそれらも不幸には違いないが命のある限り再度乗り越えられるチャンスはあるそれに比べて我が子の死恋人の死最愛の親族が事件に巻き込まれて死亡したときにはどうすればいいだろう命ある限り試練は付きものとはいえ特定の人だけ何ゆえにそんな試練を背負わねばならないのだろう偶然か必然か人の世は不公平失恋ならまだ詩でも作ってあれこれ紛らわせることもできようだけど余りにも深い悲しみは言葉さえ失ってしまう （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/15

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• 意地悪

  　　　意地悪　　　　南風一お寺の見学に行って本堂の基壇の石垣を見た直径５０センチはあろうかという柱の跡のある基壇を石垣に使っていたそのあと現在の垣の下に中世の土塁跡があることも教わった足利尊氏が全国に建てたという利生塔があった南大門脇の垣の下に何かの欠けらのようなものが集められていたそこからきみは１片の欠けらを拾い出してきた私は意地悪のつもりで「それは粘土の花瓶の欠けらですか」と茶化してみたきみは「まあ失礼な」とむくれて専門員の方へ駆け寄って教えを請うていた多分昔の瓦の欠けらだろうと教わって一安心したしたのだろう得意になって同様な欠けらを拾ってきた他の仲間と見せ合いっこをしていただから意地悪はやめられない （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/14

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• 抱きしめて

  　　　抱きしめて　　　　南風一薄暗い道で抱き合っている人影見てはいけないものを見たようなバツの悪さを感じるけれど当人たちが特に悪びれる様子でもないのに通りすがりの者が気兼ねするのも妙な構図俺にもそんなことがあった晩飯を彼女と一緒に食べた帰り道場所も考えずに二人で抱き合っていたら中年のおじさんが「ちょっとごめんよ」と言ってバイクを出そうとしていた彼女と俺は「すみません」と言って抱き合ったまま横に移動したなんとそこは市役所の駐輪場だった中学校の同窓会があって３次会のカラオケまで付き合ったトイレに出たら小学校からの同級生だった女性が一緒に行くと付いてきたトイレから出ると彼女がみんなの待っている部屋とは逆の方へ俺の手を引っ張っていくなんとそこで彼女に抱きしめられたそんなとき女性の身体はつくづく柔らかい抱き合ったくらいで何に感動するのだろう？ （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/13

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• きみが望んだものは

  　　　きみが望んだものは　　　南風一別れなんてものはないに越したことはないだろう一途に愛するそんなことはおよそ長続きしないことを知っているから一途ということに憧れる離れて行けばきみがむくれることくらい百も承知していたけれど離れて行かないうちは俺の値打ちなど保険程度に過ぎなかった俺がとどまっていたからといってきみにとって別段うれしいわけでもなかっただろうそんな関係なんてのも広い世の中には確かにあるんだ俺が一方的に好ききみはそれほどでもなく受身に過ぎないそれなのに俺のことをつなぎとめておきたいきみが望んだものは何だったのかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/12

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• 昨日もそうであったように

  　　　　昨日もそうであったように　　　南風一まだ薄暗い街を郊外に向かって車を走らせる空港に着くとパソコンから印刷しておいたＱＲコードを読み取り機にかざしてゲートを抜ければそこはもう異次元いつもなら読めない硬い本を読み耽るうちに飛行機は滑るように目的地に降り立つまたゲートを抜けて電車に乗り込むしばらく揺られて外に出ると街角には仕事へ向う人たちが忙しそうに通り過ぎるその中に混じって俺もまた通勤しているような錯覚に襲われる十数年のブランクなんてまるで嘘昨日もそうであったように今日も俺は当たり前に会社へ向かう俺が退職してから社名も変わったから俺の席はもうないだろうそれでも昔歩いた道をそのまま進むと昔の仲間たちが「よお」と応じてきそうな予感がする十数年なんて何のことだろう俺は昨日のままの俺昨日の俺はまだ就職したばかりの新米サラリーマン特段の夢なんてない何の苦もなく身体が空気のように動いたから心も気ままにうろついた俺が恋した魅力的な女性たち彼女たちは何処にいるのかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/11

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• 年相応

  　　　年相応　　　南風一インターホンを新しいものに変えたら極めて調子がいいリビングの蛍光灯が一つ切れたので交換したら明るくなったものは正直で十数年すれば故障したりがたが来る交換すればまた元どおりになる私たちの身体はまだそこまで行かないけれどやがて悪くなったところをすっぽり入れ替えればまた元気になるのだろういつまでも若くありたいなんて望まない年相応の姿形でいい何も恋愛ばかりが生きがいでもないだろうボランティア活動に参加する山に登る野菜を作る若い頃には見向きをしなかったことが限りない安らぎをもたらしてくれるそれは年相応の成果かな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/10

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• 長閑な秋の一日

  　　　長閑な秋の一日　　　南風一午前中は妻の買出しに付き合う壊れたインターホーンを買い換えて懸案の用事をやっと片付ける時計を見れば１２時半を過ぎて約束の１時半が迫っているやばいと思って急いで昼飯をかき込んで車を走らせるそうして着いた処には先週の調査が中止になって二週間ぶりに同好の士が集う車に分乗して古墳神社や古代官道が有ったとされる地域の古代寺院跡を訪ねる古代寺院を避けて不自然に曲がった水路昔は川が流れていたという河岸段丘いわれを聞かなければ気づきもしない事柄そんな事柄が重なって現在の地形や土地の姿がある堤に上がって古代人が目印にしたであろう山を眺めるなじみの山も眺める向きが変わると随分違う姿を現す馬や徒歩の古代人からすれば蟻が盛り土を仰ぎ見るようなものだったのだろう調査員の解説を聞きながらきみの横顔やお尻を盗み見てきみは何に想いを馳せているのだろうと考える古代人は死に絶えたけれど彼らが眺めながら歩いたであろう山の姿はそのままにある長閑な秋の一日が懐かしい思い出に変わる頃にはきみはどんな風に変わっているのかな？その頃にはもうきみのことを忘れてしまっているのかも知れない （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/08

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• 好きな人とゴールイン

  　　　好きな人とゴールイン　　　南風一きみが娘を持っていたら初めてのデートがどんなに大切かきみは口をすっぱくして話し聞かせたことだろう一つ　学園祭に呼ばれたからといってまだ信頼関係ができていないときにうかうか出て行ってはいけない他者のインターラプションが思わぬ命取りになる一つ　いつまでもうじうじせずに本命と決めたらすぐに決断を迫るもし選んでくれないなら二度と連絡しないでと強く言う最初から本命にふさわしくない男ならすぐに逃げ出すさどうしようと少し揺れている男なら予期せぬ逆プロポーズにちょっとたじろぐけれどきみのことを本当に好きなら素直にＹＥＳ好きな人とゴールインなんてそんなに簡単だったんだ （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/07

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• 若者の特権

  　　　若者の特権　　　　　南風一人のことをとやかく言えたものじゃないけれど留年して司法試験を目指したあと民間企業に転じた友人社会政策を勉強したからと生命保険会社に就職したものの会社に幻滅して転職した友人高級官僚になって民間企業の苦労など何処吹く風と仕事や趣味に何不自由なく暮らしている（ように見える）友人製薬会社に就職したもののすぐに会計事務所に転職して今は会計事務所を経営している後輩若い日彼らの誰もがそれぞれの進路に希望や夢を抱いて出発したはず。ある者の希望や夢は達成されある者の希望や夢は幻滅に終わったのかも知れないどんな職業にしても夢や希望を抱けることが若者の特権時代は変わってもそのことに変わりはない （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/07

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• 後輩

  　　　　後輩　　　南風一彼自身は就職先も決まり出社するまでは気楽な身分俺も進学が決まり学校が始まるまではこれといった予定はない退屈を紛らすためかその一年後輩はやたら俺を呼び出しては雑談に耽るのだったそのころ俺は一人の女性を追っかけていた何を話すにしろそのことが影響していたのかも知れない「恋に恋するということもありますよ」後輩はそんなことを言ったそうかもしれないその女性を恋していたのではなく彼女に恋する自分に恋していた今なら生きがいはことさら恋愛の中にあるのではなくたんたんと暮らしていく日々の中にあることを知っている若い頃なぜあんなに焦っていたのだろう （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/06

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• 見覚え

  　　　　見覚え　　　　南風一昼飯を食いながら何気なく前を見るちょっと見ただけでは全然気づかない暫くして何気なく顔を見るとどうも見覚えがあるはて誰だっけ？そうだ７、８年前まで同じ自治会で衛生委員をしていた人だ顔は思い出せたけれど今度は名前が浮かばない「ウエダ」だったかな？そんな名前だっと思うがちょっと違っている気がする声をかけたいが名前も思い出せないのでは呼びかけることもできない飯を食っている間　二、三度顔を上げて見たが「ウエダ」さんの方も全くこちらに気づかない何年も会わないでいると記憶が完全に飛んでしまうのかも知れない昔会っていた場面とは全然違っているから余計そうなのかも知れないこれじゃあ俺が大好きだったきみが目前に立っていたところでたとえば仕事中の場面だったりすればきみには全然気づかない「ウエダ」さんが外に出て行って大分経ってああそうだ「ウエエダ」さんだったと名前を思い出した早晩きみの名前も分からなくなってしまうのかも知れないね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/05

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• きっかけ

  　　　　きっかけ　　　南風一きみと俺が初めて言葉を交わしたきっかけそれは作為的であり偶然でもあった俺はきみからもう連絡はないものと覚悟していた何が悪かったのかな残念だけど俺が信じたほどきみは俺のことを何とも思っていなかったそんなところにふいにきみから電話があった俺の手紙が新聞に紛れて１週間も気付かなかったというそんなことはどうでもよくてきみが電話をくれたことが嬉しかった結局翌朝電車の中で会ったけれどいつも通り隣り合っただけで格別変わったこともなかった初めておしゃべりらしいおしゃべりをしたこと以外は　ねそれから二、三度予期せずきみに出会ったことがあった今度はどう振舞っていいものか振舞い方が分からなくて挨拶だけ交わしたら昔のようにそそくさと足早に離れてしまったきみにしたらまた以前の俺たちの関係に戻ったと受け取ったのかなそういえば初めて電車の中で言葉を交わしたときだって「好き」とか「付き合ってくれ」なんて一度も言い出さなかった俺の想いはとっくに伝わっていると思い込んでいたからそれは一方的な思い込みだった （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/04

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• 菊花展

  　　　　菊花展　　　南風一毎年繰り返される菊花展を訪ねて今年の大輪菊もきれいだと思うただ追いつけないのは私の意識毎年同じ日にやってきて同じところに佇んでいる自分の姿を確かめる菊なら季節が過ぎれば枯れてゆこうそしてまた来秋の開花に向かって準備を始める私は秋が過ぎれば何をすればいいだろう？植物みたいに暮らしていたら再びきみと出会ったときに辿り着けないかなと想う （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/03

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• 好きという歩き方

  　　　好きという歩き方　　　南風一好きな異性をもっと好きになる好きで十分なのにもっと好きになろうとする好きなことは気持ちいいだから好きなきみをますます好きになっただけど好きな想いに身を委ねることはちょっと怖いきみとともに止めども無い愛欲に耽ることは俺の本意ではなかった天にも昇るような想いをそんなに安易に得られたとすれば人生の目的というものが消えてしまうそんな馬鹿なことがあっていいわけがないそれは何か悪い夢に違いないそう想いつつ愛欲は止めども無く奪うという言葉よろしく一度きみの想いを知ったが最後際限なく証拠を求めだしたそうして破局への道をまっしぐら本当は出会ったときのまま恐る恐る半信半疑で用心深く歩を進めるのが正しい歩き方だったのだろうきみも俺もまだ歩き方を知らなかったからすぐに暴走して二人とも傷ついてしまったね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/03

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• 香り

  　　　香り　　　南風一久々に布団を干したあと手を洗っているといい香りがする例年９月の終わりに一度冷え込んで金木犀が咲き始めるそして再び暖かくなる金木犀は一旦咲くのを止め１０月１０日頃から再び咲き始める普通はそれで満開になるが１０月中旬から暖かくなって１０月下旬に冷え込むと三度目の花を咲かせることもあるそれかなと思ってバルコニーから金木犀を見下ろしたけれど花らしきものは何処にも見あたらないそれなら別の花かなと思ってあたりを見回したけれどそれらしい花の姿は見えないきみも俺も金木犀みたいに二度でも三度でも昔の姿に戻れたらやり直しができただろうにね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/03

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• 休みの谷間

  　　　休みの谷間　　　南風一会話を楽しむという点ではきみは天下一品俺の昔の彼女そのままだ声にしか過ぎないのに受話器の向こうからきみの笑い声に合わせて乳房が揺れるのが分かるきみがいたずらっぽい目をしてこちらを見つめているのが分かる休みの谷間というのにきみが会社に出ているのが不思議と言えば「今日他のお客様のところでもそう言われた」というきみは確かにそんな風に見える仕事なんかより休みがあればそれをうまく利用してヨーロッパ旅行なんかに出かけるちゃっかりしてるけれど仕事の実績は着実に積み上げるしっかり者で抜かりないものね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/02

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• きみと俺

  　　　きみと俺　　　南風一好きとか嫌いとかいってもクラスメートや担任のように選ばなくても出遭う出会いがあるそんな風に考えればきみと俺が出遭ったのもただの偶然一年過ぎれば離れ離れになるクラスメートのように別れは付きものと思っておけばよかったのかも知れない何人も出会うクラスメートや担任のようにきみも俺もお互いのたくさんの友だちの中の一人それだけの出会いだったのかも知れないね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/11/01

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• 希望

  　　　　希望　　　　南風一きみには好き嫌いがあっただろう父母姉妹や友人と口喧嘩することもあっただろう誰かを嫉妬することもあっただろうだけど見知らぬ街を訪ねてその地の歴史や風光に触れるときもしきみがその場にいたらどんなに楽しかっただろうにと想像するそれは何もないカンバスに新しい絵を描いていく希望だったかなまだ何も描いていないからこれから描けることが限りない魅力を放つもし見知らぬ土地を二人で歩くことがあったなら見知らぬ街を初めて訪ねたときの新鮮な驚きをもっていつまでも暮らしていけたかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/31

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• もっと要領よく

  　　　もっと要領よく　　　　南風一通勤の途上もし自転車のチェーンが外れたら？と思う自転車を諦めてタクシーを探すかバスで職場へ向かう？それとも恥も外聞も捨てて道行く車に手を振ってヒッチハイクを頼む？俺は多分それらのどれでもないだろうチェーンの外れた自転車をとぼとぼ押して職場に着いたときにはとうに就業開始の時刻を過ぎている大人なんだからもっと要領よく行かないかな？青春の日に　きみを去り行くに任せた不器用な性格大人になってそんなもの誇れるものでも何でもないんだよ （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/30

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• 乳母車を押した女性

  　　　　乳母車を押した女性　　　南風一私の前には乳母車を押した女性が立っている前かがみになるとセーターが上がって白い素肌とジーンズの奥から下着が覗く隣の同年代の女性と何やら話している横顔は若くもあり子持ちの母親相応の顔でもあるもしその女性が別れた後のきみだったとして何の不思議もないと考える魅力的な女性はそこかしこにいるきみほど魅力的な女性はいないと思い込んでいたなんて随分世間知らずな男だったとも思うしかしきみが乳母車を押していることはないだろう（もはや遅すぎるものね）巷で乳母車を押す女性はきみより二十歳も若い女性きみが乳母車を押していることはないきみが秋晴れに映える白い素肌を覗かせることもない （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/29

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• 化かし合い

  　　　化かし合い　　　　南風一きみから言われるまでもなく俺はきみに惚れていただから余り焦（じ）らされると思わず本音が出てしまって命令口調になってしまったきみのことが好きでなければわざわざ休日の昼間に何を好き好んで電話なんかする男がいるもんか下心があってのことなんだからきみだって素直に受け入れてくれればよかったきみも俺も意地っ張りだったからいつも肝心なことを横に置いて互いに茶化してばかり狐と狸の化かし合いじゃあるまいしそんなことがいつまで続くと信じたのだろう （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/28

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• 流儀

  　　　流儀　　　南風一それがきみの流儀だったのかも知れない今だからそんなことに気づいている人を切なく想うとき俺には俺の想い方や行動の仕方があったきみにはきみの想い方や行動形態があっただろう運悪くきみのそれと俺のそれが合わなかったたったそれだけのことなのに俺はきみを憎んだきみの何かが悪かったわけではないそんな風に決めてつけてしまって俺が逃げ出したかったのは何からだったろう （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/28

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• 一つの大伽藍

  　　　一つの大伽藍　　　南風一白鳳時代に古代寺院があった場所に立つあたり一帯は田んぼが広がるばかりで１３００年前に大伽藍があった処とは想像することもできない現代の主要道から南にずれ伽藍は南面していたというからぐるりと回って主要道に出ることになるすぐ近くには弥生時代の大集落遺跡があり豪族の古墳も散在するから大寺院が建っていたそれなりの理由もあったのだろう当時の事情を知る人は誰もいないからなぜそこに古代寺院が建っていたか地形や古墳の副葬品　古代寺院の瓦から推測するしかない兵どもが夢の跡というには余りにも侘しい処古墳にしろ大寺院にしろ同じ志を持った人たちが集まらなければとても建造できる代物ではない米や野菜を作って暮らす庶民にとって古墳や大寺院は何の生活の足しにもならないから無用の長物だったろうほんの一時建造されただけで発起人が消えると共に打ち捨てられた崩れ果てて瓦礫となった寺院の跡には何も残らない礎石はどこかへ運ばれ砕けて打ち捨てられた瓦片だけが残るさて立派だったに違いない大伽藍は庶民から見向きもされないガラン堂だったのではないかだから簡単に廃寺と化し歴史のはるか彼方の地層に埋もれてしまった （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/27

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• 若い頃なら

  　　　若い頃なら　　　南風一自分ではいつまでも若いと思っているけれど季節の変わり目は正直若い頃なら木枯らしが吹き始める頃にやっと冬物に衣替えしたそれでも鼻風邪を引くこともなかったところが近頃は夏物から一気に冬物に衣替えしたけれど土日が訪れるたび鼻風邪を引く俺はズボンにトレーナーというすっかり冬のいでたちなのにきみはジーパンとＴシャツに薄いウィンドブレーカーを羽織っただけおじさんとおばさんたちは午前中の探索で十分過ぎるほど活動したつもりなのにきみは午後から一人で山に登ったりまた地形調査の手助けに行くという仕事には恵まれなくても自分の好奇心や興味には忠実そんな人生を送れる人ってのはなかなかいないね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/26

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• 秋断章

  　　　秋断章　　　　南風一好きな男がいないから古代の遺跡や遺物に興味を持つのか逆に古代の遺跡や遺物に興味を持つから好きな男どころでないのかどちらが真相なのかそれは分からない俺だっていつまでも好きな女を追うばかりが能じゃないから国府調査に参加して暇つぶしをやっているこれといった目的がなくても生きていくために自らをなだめすかしてやっていることはたくさんあるあのときああしておけば良かったこうしておけば良かったと思うことはたくさんあるなあに暇つぶしさと思ってもそうして暇つぶしに使った時間の一コマ一コマをなくしたら自分の人生など簡単に消滅してしまうことも心得ているやっぱり当たらず触らず大人の接触を続けるのが一番楽しく過ごせるコツだなと無難な結論に至るそれが精神衛生上も極めて健康 （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/25

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• 古墳

  　　　古墳　　　南風一古代道を探索に出たすでに古墳であった場所はきれいに整地され田んぼに変わっている古墳の石室を形作っていた大きな石は取っ払われて池を埋め立てて作った公園に移築されていたただ大きな石が無造作に四角に並べられ真ん中に祠が建っているそれを見ただけでは何の石か何の祠かも分からないいわれを聴いてようやく古墳の石と納得する帰り際「持ち主は（古墳を）なぜそのままにして置かなかったのかしら？」ときみが尋ねる「そりゃあ現代は実利の世界だから　田んぼにした方がいいに決まっている」「残しておいた方が良かったのに」「残しておいたところで何の役にも立たないよ」「でも毎日見られるのに」ときみが言う「毎日見られたところで何の役にも立たない」「きみだったら残しておいて毎日眺めて暮らす？」と尋ねたら「毎日眺めて暮らすわ」と言う古代のお墓を眺めて何の感慨があるのかな何の役に立たなくても毎日眺めて暮らせば幸せそんな風に考えられるきみは一人で何の苦も無く暮らしていけるね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/24

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• 顔立ち

  　　　　顔立ち　　　南風一きみの顔を覗き込んで典型的な日本人の顔立ちだなと思う俺が恋した女性はきみに似た大和撫子タイプが多かったのかそれとも瓜実顔のきりりとした目鼻立ちの欧米タイプが多かったのかと考える恋は成就することを願ってするものだろうに初めから破綻を予期していた恋もある遅かれ早かれ別れることになるきみと俺が結ばれる確率は０．０１％もないそれを知っててきみに求愛する何のためにだろう？うまく行くはずもない結局分かれることになる絶対に一緒になることはありえないと確信しているのに熱心にきみに求愛していた何のためにだろう？きみだって俺の愛など信じていなかっただろうそれなのに一生懸命に芝居じみたことを演じていたきみは大和撫子タイプだったのかな？それともきりりとした欧米人タイプ？俺はきみの顔立ちに惚れたのであって決してその性格じゃなかったね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/23

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• 待つこと

  　　　待つこと　　　南風一待てば海路の日和あり待つことは事態の好転をもたらすこともあればいたずらに時を浪費するだけのこともある待てばきみとの関係がどうなるわけでもなかった良くなるわけではなかったもちろん悪くなるわけでもなかったどちらでもなかったけれど時が過ぎ行くことで門は確実に狭まってゆく会わないままにうかうかしているうちにきみは歳を重ね俺も確実に歳を重ねたこんなに早く歳をとってしまうなんて誤算だったね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/22

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• どこにでもある光景

  　　　どこにでもある光景　　　南風一仕事で通り過ぎるありふれた街角路地の向こうへ過ぎてゆく一人の女性の素敵な後ろ姿ことさらその女性に限らない後ろ姿が魅力的な女性はどこにでも見つけることができるだろうどこでもどこにでもある光景その一人がきみだったわけかなきみのことを宇宙で一人しかいないかけがえのない女性と思い込んだそんなことも俺の錯覚に過ぎなかったのかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/21

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• びびっとくる出会い

  　　　びびっとくる出会い　　　南風一横断歩道でリュックかばんを背負った女子高生が自転車に跨って信号を待っている午後８時半近くまで部活をやっていたか進学塾にでも行っていたのかも知れない俺は彼女と無関係な通りすがりのサラリーマンにしか過ぎない彼女の友だちなら家が近いという理由だけで頻繁に顔を会わせることもあろうし部活が同じという理由だけで毎日でも親しく話し合うこともあろう気安く会えるとか話せるという理由だけで恋人同士になれるわけではないけれどめったにとか　たまにしか　会えない相手よりはスムーズに恋人になっているんじゃないかなその点　学校も違っていた住んでいるところも違っていた朝の通学のとき　たまに顔を見かけるだけという関係そんな関係に過ぎないのに「好き」になること自体何か無理があったのかなとも思うびびっとくる出会いなんてお互いの錯覚に過ぎないのかな何も知らないから魅力的だけど色々知ってしまったらメッキみたいに色あせる （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/20

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• 人嫌い

  　　　人嫌い　　　南風一俺は気紛れだからむしょうにきみの声を聞きたいと思ったときにしか電話しなかったきみにすればいつ俺から電話がかかってくるか一向に読めなかっただろうそれなのに俺が電話をかけたとき「不在」と言われた記憶は一度も無い電話をかけさえすればきみの声を必ず聞けたそのことが意味することに俺はうかつにも気づけなかったきみは俺からの電話を待っていたのではなくいつも家にいたたったそれだけのこときみはそういう女だった今さらながら俺は随分きみのことを色眼鏡で見ていたその容姿とは裏腹にきみはそれほど八方美人でもなく本当は好きな男を除けばなるだけ男にも女にも会いたくなかったのかも知れない （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/19

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• 昔のきみや俺が過ぎ去っても

  　　　昔のきみや俺が過ぎ去っても　　　　南風一扇風機を仕舞わなければと思いつつまだ仕舞っていない車の座席のビーズを仕舞わなければと思いつつまた今度のことに打っちゃる金木犀の花が満開になり香りは最盛期を過ぎたきみは最後の電話で俺が「今から出て来れないかな？」と言ったら「もうおばあちゃんだから」と拒んだ「おばあちゃんでいいから出て来て」と言ったら（それはきみに会いたいばかりのオウム返しの言葉に過ぎなかった）「懇願したり命令したりどうしたの？」と俺を茶化しにかかったそんなことより「本当は私はおばあちゃんなんかじゃないわ」ってなぜそのとき抗弁しなかったのかな季節が過ぎ行くように「きみ」も「俺」も片時も同じ「きみ」や「俺」の形のままに留まらない昔のきみや俺が過ぎ去っても何の変わりもなく「秋」や「冬」は訪れるそして何の変わりもなく「きみ」と「俺」の姿を運んでくる （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/18

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• 山城

  　　　　山城　　　　南風一もう今日は来ないのかなと思っていたら向こうからきみが現れたいつもと違って今日はジーンズ地スカートに黒の網目タイツ姿上は黒の薄でのセータ正面から見たら胸の膨らみといい脚のラインといいあまりに身体のラインがくっきりと見えるので思わず妻に対してそうするようにごく当たり前に抱きしめそうになった午前にみんなで古代の山城に登ったことを話すと前もって言ってくれればよかったのにきみは悔しがったきみはよほど史跡や遺跡に興味があるんだね結局職員さんの手を煩わしてきみはもう一度午前と同じルートを案内してもらっていたきみの意思とは無関係にきみの身体があるきみが着飾ろうが着飾るまいがきみの意思とは無関係にきみの身体があるきみのスカート姿を見たのは初めてだった （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/17

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• 仲間

  　　　　仲間　　　　南風一周知会に集まった人たちを見るともなく眺めていた顔ぶれは見知っている人が多いどの顔も少し黒ずんで髪は白くなるか薄くなって後退している人が多い私の記憶の中ではどの人ももっと若く髪も黒々としていたはず眼前の人たちはすっかり老けていた私もご多分に漏れず白髪が目立つようになったからみんな均等に老けたのだろう若い頃はまだ現れていない未来のことばかりを夢想して自分だけはみんなと違うと過信したそれでも勉学でもスポーツでも全然敵わない連中たちもいたそんな連中たちも自惚れ屋だった俺も等しく歳をとってしまった大きい意味で私たちは歳をとる生物の仲間に過ぎなかった半世紀近く生きてそんな当たり前のことに気づいている （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/10/15

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