南風一の世界

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• ９月

  　　　９月　　　南風一別に季節と戦ったわけでもないけれど高度の下がった太陽に照らされた木陰を抜ける風は確かに何かの終わりを告げる稲にも花があって形ばかりの白い小さな花をぶら下げた稲がもう穂を膨らませ始めている運良く猛暑を乗り切ったタニシはサギに啄ばまれることなく大きく育って水の中を動くそれだって稲を刈るころにはカラカラに干乾びて死んでしまうのだろうけれど今夏もこうして過ぎようとしている過ぎ去ることに何の意味もないただたんたんと暮らしていけばいい （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2008/08/31

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• 大学

  　　　　大学　　　　南風一俺が選んだ大学をなぜ選んだかって？もちろん　卒業生が何をやっているかいろんなところで活躍している卒業生が多ければ自分もそんな人間になれると思い込むでしょそれから学費が安いこと俺の父親は４０ちょっと過ぎに事故にあってそれっきり寝たきりだっただから学費の高い大学には行けなかった動機なんてそれだけのこと大学に入学したら今度は友人から「なぜこの大学を選んだの？」と聞かれた別に動機はなくてネームバリューがある大学だったからと答えた周りの連中は友だちを差し置いてでもいい企業に就職しようという輩ばかりだったから俺みたいにいつかしら就職に背を向ける学生は物珍しかっただろうというわけで入学するまでは夢ばかり見せてくれた大学去るときはすっからかんの大学だった門を抜けたあと５年間うろうろして門から出てきた俺が入学すべき大学でなかったことは確かだった （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2008/08/31

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• 秋の風景

  　　　秋の風景　　　南風一霧雨が残り田んぼでは鈴虫が鳴く朝夕の風はひんやりしてきたのにときどき雲間から顔を覗かせる太陽の光はまだ蒸し暑い人生の一時期美しい姿態で周囲の人を魅了したこともあるだろうでもそんな時期はほんの一瞬そんなときの記憶の残滓をいつまでも引き摺ったところで美しい姿態の人が戻ってくるわけでもないならば無駄な追憶に時間を費やすのは止めよう甘美な恋愛など次々に現れてくる若い人たちに任せておけばいいもうとっくに順番を終えた者がいつまでもぐずぐず昔の恋人の面影を夢想していることほど笑止なことはないね （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2008/08/30

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• 瓜二つ

  　　　瓜二つ　　　南風一中学生のころ「おまえによく似ている奴を見たよ」とよく言われた「それは多分従兄弟だよ」と答えたものだった真相がどうだったのか知らない年をとってそんなことも言われなくなったけれど昔好きだった女の子によく似た娘を見かけることもなくなった道ですれ違っても若い女性の顔を見ることもなくなったしきみに似た女性がいたとしても気付かない同一人物でも年をとると見分けがつかないのにまして今のきみを見つけるなんて至難の技だね （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2008/08/30

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• きみの思い出

  　　　きみの思い出　　　南風一近くを通れば「ほらほら　美穂ちゃん　南風さんよ」という声が聞こえてモデルのように背の高い快活そうな女の子がにこにこ笑顔を投げて寄こすその都度「こんな俺のどこがいいのかな？」と不思議に思ったものだった俺が会社を中途退職する日ちょっと淋しそうな顔をして遠くから俺を見つめていたきみが嫌いだったわけじゃないきみとは関係なく会社を辞めたいときだってある好意を寄せてくれる女性（ひと）を嫌いになったりするもんかそれから２年が経って今度は東京を去ろうとする前に一度きみに会っておこうと決心した元勤めていた会社に電話してきみを呼び出すときみはあっさりＯＫしてくれた２年の間には色んなことがあっただろう出会った頃は毎日が楽しくて仕方ないという風に見えた俺は特に会社のことも異性のことも聞かなかったお互い乾いた関係かな以前も　それから後も「多分最後になると思うけど　お元気で」「南風さんも」俺に包みを押し付けて手を振ってきみは改札口の向こうへ消えて行った （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2008/08/29

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• きみに無いもの

  　　　きみに無いもの　　　南風一２９才のきみに無いものは夫子ども子育ての大変さと逆に子育ての喜び独身のきみにあるものは独りだけの時間お金恋人若さの輝ききみを得るためなら持っているものを全部投げ捨ててもいいそんな男はきっと現れるだろう俺だって昔なら当たり前に持っていたのに （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2008/08/28

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• 後ろ姿

  　　　後ろ姿　　　南風一午前の病院薬を貰って院内を駐車場の方へ向かった階段を上がったところで３０代半ばの女性と出くわしたので道を譲った（女性の地味なスカート姿をうしろから見たかったのが本音だった）女性は大きな革靴を持っていたご主人のものかどうかそれは分からないとにかく見ず知らずの男がすぐ後ろを歩くのにそんなことにはとんとお構いなしどんな事情があるのかな駐車場に出て私は女性の後姿を見送ったまだ腰のくびれはあるしスカートのお尻の形もいいその女性が１０年前に今日の自分を想像したかどうか知らない確かに女性には美しく輝いていた未来があったはず恋におぼれていたころやがて男が病院に入院して大きな革靴を持って歩く日が来るなんてきっと想像しなかっただろう形のいいお尻が愛撫を忘れられて落し物のような後姿 （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2008/08/26

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• 電話してもいいかな

  　　　電話してもいいかな　　　南風一携帯電話を充電して電話番号をメモしてあとは実行に移すだけ何処で電話しようか話し声が聞こえないところがいいかそれなら散歩に出かけようそれとも自転車で行った方がいいかまてまて日が高いからもう少し日が翳ってからにしようか日が高いうちの方が気分が晴れて色々考えることなく電話できていい点もあるけれど時間はたっぷりあるからようく考えてからにしようそしてごろんと横になっているうちに眠ってしまった目が覚めたときはまだ３時半だったから電話しようとすればできないことはないだけど気分が失せてしまった高校の友だちという理由でどんな顔して電話できるだろうそもそもきみを選べなかった男が何を今さらだろうそして予期したとおり今回も電話できなかった今度電話してもいいかなと思える日はいつ来るのかな？ （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2008/08/25

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• いつになっても

  　　　いつになっても　　　南風一金を稼ぐわけでなく誰からも強制されたわけでもないただ自分の庭に繁茂する樹木だから剪定する虫に食われたか暑さにやられたか家を建てたときからあったツゲの木が立ち枯れたあっさり根元から切ることにした同じく１４年前に植樹したモチの木や金木犀が大きく茂ったので特に景色が変わるわけでもない梅雨時に植えたトマトやキュウリの葉っぱも黄色に焼けて秋風にそよぐこのお盆にはきみも実家に帰っていたのだろうかと考える２５年ぶりだもの昔の友だちって電話すれば話すチャンスもあることだろうと手前味噌な想像を膨らませて切り落とした枝木や引っこ抜いた野菜の蔓を束ねる額に汗して戸外で作業する楽しさは１７才のきみに出会ったときのときめきにも似た原初的なうれしさを思い起こさせるさて一人の中年男の胸中をよぎった懐かしい清々しさにどれほどの普遍性があるものかそんなことを手土産にしてあっさり電話できるほど人の世の中は甘くない戸外の秋風に洗われながら何の役にも立たない作業に勤しむことの楽しさはいつになっても変わりがないのにね何が変わってゆくのだろう （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2008/08/25

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• それだけのこと

  　　　それだけのこと　　　南風一電話をしたくなるのはきみが許婚だからじゃないあえて言うならきみはおおぴらには言えない恋人だからふっと声を聞きたくなるそれだけで十分じゃないかそれ以上求めて何になるきみと話すことで心が軽くなるきみにすれば　それだけのことそんな関係を続けていて何になる？ご免たったそれだけのことでそれだけのことが俺には限りないオアシスさ （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/23

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• 虹色

  　　　虹色　　　南風一炎天下に交通整理に立つ警備員幾ら日焼けしたといっても黒人ほど黒くなることはないきみのことが好きだといっても浅いところにとどまっていたに過ぎなかったきみが何処に住んでいるのか知らないきみの家族構成がどんなのか知らないなんとなくきみは恵まれなくて陰を持っているでもそれは全部俺の空想の産物本当はきみは恵まれた家のお嬢様で何不自由なく暮らしていたのかも知れない今となっては何が真実だったのか本当はきみと俺が理解しあえる処まで進めたものかどうか分からない俺はそれ以上進まなかったしきみも追っかけて来なかった好きで好きで仕方ないというところまでなぜたどり着けなかったのかな （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/23

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• 秋の空

  　　　秋の空　　　南風一白っぽくなった秋の空に透明の滑り台があって女たちはその中を翔けてゆくつい先日赤ん坊を産んで乳飲み子をあやしていた女は自転車に乗る子どもを叱っているつい先日三人目の赤ん坊を産んだ女は乳飲み子を乳母車に乗せて幼稚園へ歩いていたのに娘のような涼しい姿で車に乗ってパートに出かけるきみの記憶は初めて話しかけたときの女学生のままにとどまっているけれど透明の滑り台のどのあたりを翔けているのだろう白い秋の空を見上げてきみの姿を追ってみる西から翔けたとして次々と若い女性が生まれてくるからもう大分東の方に移っていることだろう何処までゆくつもりかな？ （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/22

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• 何事もなかったように

  　　何事もなかったように　　　南風一成人病検査のエコー検査が終わっていつもなら「お疲れ様でした」という女性が今回に限って何も言わない私は「ありがとうございました」とだけ言って暗室を後にした何もかも口にすればいいものでもない暗闇でのこと二人が黙っていれば誰も知らないそのあと女性は患者の番号を呼んで何事もなかったように検査を続けていた私も何事もなかったように病院を後にした （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/20

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• きみに出会わなくても

  　　　きみに出会わなくても　　　南風一きみと同じような制服を着て夏休みというのに真っ黒になって部活通いの娘色白で可愛い娘もいるけれどそんな子どもっぽい娘の何処に惚れたのだろうと思う俺がきみを好きにならなくてもきみの日常は別に何も変わらなかっただろうきみはいつもように部活に熱心で仲のいい友だちとお喋りに夢中部活で仲のいい男ともだちとも楽しくやって何の不足もなかったそんなところにそれほど知らない俺が現れてさぞかし迷惑しただろう俺だってきみに出会わなくてもそれほど人生は違わなかっただろうもっと幸せになることもなかったもっと不幸になることもなかったきみと出会わなかったときと同じような人生を歩んでいるのだもの出会ったからといって同じだったね （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/19

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• 俺が何に安らぎを見出そうと

  　　　俺が何に安らぎを見出そうと　　　南風一若いというのは何の取り柄だろう？齢を重ねると成功なんてないこと失敗もないことただ干上がった川が現実の姿ならば干上がった川が在るがままに眼前にあることを知る１００年経てば誰が道を歩いていたのか誰が家に住んでいたのか朝が来れば忙しなく出かけて何をしていたのか夜がくれば家に帰り着いて家族と何を喋って何に笑い転げていたのか誰も知る者はいないならば今だって何も知らなくていいじゃないか俺が何を思って暮らしていようと俺が何に安らぎを見出していようと誰も知らなくてもいいじゃないか （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/18

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• 乙姫さま

  　　　乙姫さま　　　南風一２５年が過ぎてきみとは？そして俺とは？何だったのかなと思うただ若いことだけが取り柄の何処にでもいた女と男２５年が過ぎてそんな唯一の取り柄さえ消えてしまってもはやきみに振り返る男もいないかな２５年も過ぎれば好きという感情すらうやむやになってしまう事実に昔は気付かなかった歳をとってしまえばその程度のものに成り下がってしまうきみへの想いになぜあれほど眩いばかりの未来がぎっしり詰まっていると勘違いしてしまったのだろう夢から覚めたら白髪の浦島太郎がただ一人見知っていた人たちの姿は何処にもないもちろん龍宮城に帰る手立てもない （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/17

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• きみと会社

  　　　きみと会社　　　南風一きみと会社はよく似ている思い通りにならないこちらの言うことを全然聞かない生活費を貰ってお世話になっているけれどこんちくしょういつか見ておけこんな会社辞めてやるって思っているけれど翌日には　またけろっとして会社に通っている近頃　定年を迎えた先輩が挨拶回りに来る姿が目立ってきたどの顔も「やれやれ」という表情と「これでこの会社ともおさらばだ」という晴れ晴れしい表情俺も二度会社を変わったからな会社を去るときの気持ちのいいことったらこの上ないどれくらい憎しみと落胆と絶望と一縷の希望を丸飲みしたことだろうきみと別れたときもその当座だけ　「さばさば」した気分だったそれから悲しくなって結局会社もきみも夢にしか過ぎなかった （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/16

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• 駅の途中で

  　　　駅の途中で　　南風一夏休みか春休みに帰省していたとき駅へ向かう道できみのお母さんに出会った（きみとは出会わなかったのにね）「こんにちは」と会釈してすぐに歩き出したきみのお母さんもちょっと驚いたようだったけれどさすが歴戦のお母さんだけのことはあった多分俺のことなど忘れていたのかも知れないそんな素振りなど微塵も見せずさも俺のことをしっかり覚えているような口ぶりだった（それに俺はすっかり騙されていたのかも知れない）「また家に寄って行ってください」とか何とか言っていたけれどどれだけ本心から出たものやら分からないきみではなくきみのお母さんに気に入って貰ったようだったけどあの頃のきみのお母さんの年齢をすっかり超えてしまって今あの頃のきみのお母さんにもう一度出会ったら何て挨拶すればいいのかな？「昔はお世話になりました。　（いや　お世話になれなくて　お世話できなくて　御免なさい　かな）全然変わらない姿にきみと勘違いするかも知れないね （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/14

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• 夏の思い出

  　　　夏の思い出　　　南風一高校生のころ夏季補習というのがあった俺はてっきり先生たちの粋な計らいで違うクラスの異性たちにお近づきの機会を提供してくれるものだと思い込んでいた暑い盛りに学校なんかに行きたくなかったけれど教室の中にちょっと想いを寄せる別のクラスの女の子の姿を見つけたときは俄然学校に出るのが１００倍楽しくなった先生の話しなんかちっとも聞かなかった彼女の横顔を眺めて「俺のことを考えているのかな？　きっと帰りには　どこかへ一緒に遊びに行こうって　誘って来るに違いない」そんなありえない夢想にばかり浸っていた３０年も昔の楽しい夏の思い出・・・ （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/12

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• 夫婦

  　　　夫婦　　　南風一通勤途中でいつも通る道一軒の家があってその家の前に小さな畑があって朝　畑で野菜の手入れをしているご主人の姿を見かけることがある朝　洗濯物を干している奥さんの姿を見かけることがある車が三台あって娘さんと息子さんは大きな車そしてご主人は軽四の小さな車ご主人の顔は黒くて童顔奥さんの顔はまあ白い方娘さんは最近赤ちゃんを産んだのか随分色が白いご主人の姿を見ると奥さんとは全く赤の他人だなあと納得するいくら結婚して同じ屋根の下に暮らしていてもやっぱりどこも似ていないだけど色の白い娘さんは顔立ちがお父さんとよく似ているお父さんとお母さんは全く似ていないけれど娘さんの顔立ちはお母さんとよく似ている夫婦は何処まで行っても似ていないのだけど不思議だな夫婦の間に生まれた娘さんは全然全く似ていない夫婦にそっくりだ夫婦は赤の他人なんだけどね （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/08

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• 一抜けた

  　　　一抜けた　　　南風一行きつけの病院で可愛い事務員がいるなと思っているといつかしら顔を見なくなったそれから一年が過ぎて一緒に働いていた事務員はまだいるけれど可愛かった事務員の姿はやっぱり見かけない近くのマクドナルドでも可愛い店員さんがいるなと思っているとじきに姿が見えなくなった彼女と一緒に働いていた店員さんは２、３年が過ぎてもやっぱり働いているけれど可愛かった店員さんの姿は二度と見かけない可愛い女の子は売れていくのも早いのだろうけれど一抜けたら何処へ消えて行くのだろう彼女たちにとってそれが幸せ？　かな （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/03

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• 出会い

  　　　出会い　　　南風一真夏の朝車を運転して東へ向かう対向車が通り過ぎるけれどどの車もサングラスを付けたように運転手の顔は見えない運転手の顔が見えなくても車はすれ違うことができる運転手が誰かなんて知らないままに過ぎたからといって何の問題もないきみと俺との出会いだってたまたま顔が見えたから出会いが成り立っただけでもしきみの顔が見えなかったら出会っていることもなかった出会いなんてそれだけのものだった （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/03

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• 水門のショーツ

  　　　水門のショーツ　　　南風一小学校の校門近くに水門がある水門の鉄棒に誰が引っ掛けたのか女性のショーツが風に揺れている淡いピンク色でレースのフリルで縁取りされている汚れたところはないようだがさて誰かが身に着けていたものかどうか分からない交通当番に現れたお父さんは不思議なものを見るように眺めた子どもを見送ってきたお母さんは眉をひそめた子どもたちもショーツを指さして誰が脱いで行ったのだろうと囁いているまさか交通当番のお母さんじゃあるまいしあらぬ疑いをかけられたお母さんたちは「ちゃんと穿いているわよ」と囁きあっている箒と塵取りを持って現れた校長先生は子どもたちが指差す方向にキュートなショーツを見つけるとちょっと近づいて行ったがあらぬ疑いをかけれてはまずいと思ったのか何事もなかったように塵拾いを始めたさてその後水門の鉄棒に引っ掛けられたピンクのショーツは誰が持ち帰ったのだろう子どもたちが学校から帰る頃には跡形もなかった誰かが「警察に届けたんじゃないの」と言うとまさかパンツを落とした人はいませんか？って交番前に吊るしておくのかな？さぞかし　交番は楽しいところになったねって笑いあった （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/02

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• 一日の始まりに

  　　　一日の始まりに　　南風一長い髪をなびかせてホットパンツに　すらりとした小麦色の脚車の横を軽快にペダルを漕いで通り過ぎてゆく少女よもう３カ月来きみの姿を見かけるからきみの姿を見かけない朝は少し物足りない一日の始まりになる今日は少し遠くにきみの姿を見つけたからすぐ間近かにきみの姿が迫ってきたときにはきみの姿を網膜に焼き付けるようにきみを見つめてしまったきみは俺が乗り出すようにきみの姿を見つめていることを知っているからわざと視線を横に逸らすなんて可愛い仕草なんだろうすらりと伸びた小麦色の脚を思い出しながら親子ほど年齢が離れた男がいい年をしてなぜ心をときめかせているのだろうなんて訝しんでいる （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/08/01

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• 昔のままのきみで

  　　　昔のままのきみで　　　南風一俺が好きだったきみはもうすっかり変わってしまったのかも知れない小さな幼児の手を引くお母さんの脚や腕はすらりとして小娘のように美しいでも小学生の子どもに連れそうお母さんはちょっと娘さんとはいえない色気はあるけどねもしきみに子どもがいるとしたら高校生くらいになっているのかな美しく年を重ねたといえば聞こえはいいけれどきみはやっぱり昔のままのきみでいて欲しい （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/30

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• 街の何処かで

  　　　街の何処かで　　　　南風一お盆を持って顔を上げると「南風さん」という声そこに立っていたのは先日同窓会で３０年ぶりに会った旧友お互いに「先日はどうも」と笑って隣り合った「もし先日会っていなかったら　多分分からなかっただろうなあ」と旧友が言った「３０年も会わなかったのに　一度会えば会うものですね」それもしかり旧友が言うとおり自分では昔とちっとも変わっていないと思い込んでいるけれど他人から見れば昔の姿から程遠いこんなんじゃあ昔好きだったきみと街の何処かですれ違ったとしてもお互い全然気付かないのだろうね （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/29

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• ひまわり

  　　　　ひまわり　　　南風一ひまわりはいつも夏の思い出とともにある梅雨が明けて日差しが強くなるとひまわりはぐんぐん背を伸ばした一番高いところにお盆ほどの大きな頭を付けて黄色の花びらをつけるどういう意味なのか分からないが小学校の花壇には必ずひまわりが植えられている図工のスケッチにはもってこいだし理科の観察や植物の栽培にはもってこいだったのかも知れないひまわりの絵を描くのは楽しかったし夏休みに水遣り当番で学校へ行くのも楽しかったプールの横に大きなひまわりが首を伸ばして風にそよいでいた好きだった女の子を追っかけまわしていたずらするのも楽しかった大人になってひまわりが高い背を伸ばしている姿を見かけなくなったけど小学校の校庭には今でもたくさんのひまわりが林立しているのかな （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/27

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• 美しいもの

  　　　美しいもの　　　南風一美しいものは１７歳のきみの姿長い髪をして色白の顔の真ん中にちんまりとした鼻とピンク色の唇が行儀よく収まっていたセーラー服の下に隠れたきみの肢体も真っ白と想像できたけれど特にすぐに見たいとは思わなかったきみの美しい姿に惚れてはいたけれど心がこちらに靡いて来なければ美しい肢体は何の意味もない今ならきみの心を独占するより美しい身体の方を礼讃しておけばよかったと思うきみの心なら永遠に独り占めすることもできただろうけれどきみの身体の方はそうはいかなかった好きになってくれなんて言わないから一度だけ抱かせてくれ今ならそちらの方がどれほど欺瞞的でなかったか好きだなんて言葉は「きみの裸を見たい」とねだるのとどれだけ違っていたのだろうきみへの思いが裸だったのではいつまでも恋しく思い出すことはなかったのだろうけれど （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/26

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• 都の味

  　　　都の味　　　南風一毛利輝元の上洛日記を読みながら当時の輝元や家臣と同じような心持で飛行機に乗っていた秀吉が戦国大名を意のままに従えるために使った手段それは武力ではなく財力でもない親兄弟のような肉親ではないけれど何くれと気にかけたり無防備ともいえる親愛の情を寄せてくるから思わず肉親に対するように振舞ってしまう人心掌握術の巧みさ戦うことなくすでに敵の心を掴んでしまっている現代日本は法治国家として個人も法人も法律に従って資本主義の下で生きていると思い込んでいるでも人は法律や金儲けのために生きているわけではない家族であったり気の合う仲間と楽しく暮らすこちらの方が法律や金儲けより何倍も楽しいね毛利輝元が秀吉に親愛の情を覚えたわけいつの時代も都は田舎より優雅に違いないビッグバードで買う１千円ぽっちのケーキすら都の味がする （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/25

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• 身体

  　　　身体　　　南風一熊蝉の身体は大きいし全身が緑と黒を基調にして翅も薄い格子目の精巧な作りで見た目にも美しい夏の海辺で戯れるビキニ姿の女性の身体も胸の膨らみが見事で腰がきゆっとくびれてはちきれそうなお尻のラインが美しい蝉も女性も一つ一つ一人一人が美しい身体の美しさに惹かれたら求愛してセックスして子どもを生んで育てる金儲けだの社会だの老後の介護だの医療だのそんなものが何にもなかったらどうだったろう熊蝉みたいに１週間だけ鳴き暮してころっと死んでしまう死骸は哀れだけど熊蝉の生態がそんなものだと知っているから誰も熊蝉を哀れと思わないビキニ姿の女性が美しいまま子どもを生んだらすぐに死ぬ子どもは勝手に育って成人するなぜそんなものと決まっていないのかな （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/21

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• 蝉時雨

  　　　蝉時雨　　　　南風一狭い庭のいたるところに穴が開いていつから潜って今夏を待ち続けていたのか一斉に蝉が鳴き出した蝉は飛べるから飛んでいった先で卵を産む蝉の幼虫は誰に教わるわけでもないのに土に潜ってやがて外に這い出してきて木に登る親に教わるわけでもないのに鳴き方を覚え一週間一生懸命鳴き暮らす蝉はなぜ鳴くのか蝉も分からない鳴くことで何かいいことがあるのかそれも分からない蝉の鳴き声は太古以来変わっていないのだろうか蝉の鳴き時雨れる松林の下で涼んでは　また海に泳ぎに出た小さい頃に幼なじみと遊び呆けた一日真っ黒になって砂浜の砂が焼けて痛かった蝉時雨はバックミュージックのようにいつも夏の思い出とともに響いていたけれど蝉が夏の思い出を憶えているわけではない蝉は順番に夏のバトンをつないでいるだけなぜ真夏に現れて一生懸命鳴かなければならないかその昔火の国に住んでいて悪さをして火の国から追放されたそれ以来暑くなれば昔住んでいた火の国を懐かしんで泣き明かすようになったとさ （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/21

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• 存在の記憶

  　　　存在の記憶　　　南風一人が一人死んだからといって世の中の何かが変わるものではない人が一人死んでも休日のマクドはハンバーガーを食べる家族で賑わっているお中元売り場も賑やかだ多分俺が死んだところで何の変わりもない葬式の翌日には友人たちもすっかり俺のことを忘れるだろう日々の些事に追われて俺どころじゃないからね生きていたところで死んだところで久しく会わない友人にとって存在感がないことに変わりはないそういやあいつはもう２０年前に死んだっけふと脳裏をかすめる友人の姿なんて生きていたって死んでいたって同じこと若い頃の姿しか思い浮かばないもう何処かで息をしていることはない生前のようにあれこれ仕事のことで訊ねてくることもない近頃ご無沙汰しているがどうしたのかな？ああそうだったあいつは死んだのだったもう２０年にもなるんだそんな風に先に逝った友人のことを思い出していた当人もやがて鬼籍に入る （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/20

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• きみの生き方

  　　　きみの生き方　　　南風一３０年が過ぎてきみにはきみの生き方があったのだろうと思うそれは些細な夢だったかもしれないでも俺のプロポーズよりずっとずっと大切な夢だったろう結婚式を挙げてセックスして赤ん坊を産んだら　後は子育てに追われるそんな暮らしよりきみにはきみにしかできない仕事がある本当にそんな風に思っていたのかな？今でもそんな風に思うのだろうか？ （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/20

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• 蝉取り

  　　　蝉取り　　　南風一家の前で蝉取りに興じている子どもたち子どもにすれば飛ぶものを網で捕まえるのは愉快に違いない大人の目からすれば蝉の短い命をそんなに痛めつけないでくれと思うけれどかつての自分の姿を二重写しにして子どもたちの好奇心に水を差したくないとも思う昔　父母のあとを追っかけて田んぼまで行った父母は稲の世話をやっていたけれど俺は虫かごを肩からぶら下げて網で蝉ばかり追っかけていた栗の木の高いところにいる蝉を恨めしそうに見上げていると父が網を掴んだかと思うとひょいと蝉を捕まえていたちょうどあのときの父の気持ちもこんなものだったのかなと思う （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/19

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• 街角

  　　　街角　　　南風一母親らしき女性とその子どもらしき子どもが並んで自転車で行く子どもの話に相槌を打ちながらスラックスの腰あたりからショーツを少し覗かせて父親は仕事に行っているのだろうけれどさてその父親は若い頃妻となる女性が子どもを生んでやがて子どもと連れ添って自転車で走る未来を想像しただろうか？いつも息子を送って行った帰り道で出会う娘ジーンズだったりホットパンツだったり野球帽を斜めにかぶっていたり長い髪をなびかせていたりショルダーバッグを肩にかけて軽快に自転車を漕いで通り過ぎる１カ月も同じ姿を見かければその娘はその姿のままで永遠に自転車を漕ぎ続けるように思い込むけれどその娘はもはや初めて見かけた頃の娘ではない娘は一日ごとに昨日の娘から遠ざかってゆくそのことに娘本人は気付かない娘の横を通り過ぎる男たちも気付かない （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/18

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• 取り返しのつかない

  　　　取り返しのつかない　　　南風一３人の子どもに１カ月４５万円を仕送りしている旧友があり４番目の子どもが中学３年生なのでまだまだ仕事しなきゃという旧友があり私も子どもが社会人になるまでまだ５年はサラリーマンを続けなきゃと思う他方で結婚はしているけれど子どもを作ることなくイギリスに留学したり英会話学校に通っているという旧友があり独身のままピアノ教師を続けている旧友がありどんな暮らし方が幸福なのか誰にも答えられないのだろうと思う少し老けた風貌も含めて今さら取り返しのつかないものはたくさんあるだけど生き方ってものは幾らでも変えられるんじゃないかな心置きなく自分のために生きてゆくそれだってこれまで脇目も振らず子育てに生きてきたから迎えられる生き方なんてものもあるこれが正解なんて生き方なんかないよね （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/16

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• 自分だけ

  　　　自分だけ　　　南風一卒業から３０年顔を見てすぐに名前が浮かぶ旧友がいればしばらく顔を眺めても誰だったか名前が一向に浮かばない旧友もいたこちらがそんな調子だから相手もそんな具合だったろう自分だけ若いと思っていたけれど変わっていたのはお互い様だった （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/13

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• 暮らし方

  　　　暮らし方　　　南風一どんな暮らし方がいいのか分からない浪花節や演歌が嫌い数学が好き同窓会が嫌い原油価格はなぜ上がるのかと議論するのは好きいくら言葉を連ねても懐古に過ぎない会話は物悲しくてやがて忘れ去らねばならない感情にどっぷり身を委ねることは恐ろしいてきぱきとこなした時間が数字に変わる仕事そんなことに身を委ねておけばとりあえあず恐ろしい感情と向き合わずにすむそうやって３０年が過ぎてさて私の暮らし方は良かったものか悪かったものか分からないし分からなくていいのかも知れない （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/13

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• 乳母車

  　　　　乳母車　　　　南風一乳母車に乗った小さな子どもを見ると俺の子どもにもそんな頃があったきみにもそんな頃があったと思う今さら　そんなことを想像したところで何の益もないことは知っている俺はきみが赤ん坊の頃を見たことはないしきみのお父さんが多分うれしそうにきみを乳母車に乗せて散歩に出ていた姿を知らないきみが生まれたときお父さんはどんなに大喜びしたことだろう今頃は多分年老いて逆にきみの方があれこれ世話を焼いているのだろうお父さんがきみを見る目は再びきみが幼かった頃のやさしい眼差しになってもはやきみが娘時代に厳しかったお父さんではないのだろうと思う人はみんなそうやって年を重ねてゆくのだろうきみだって　俺だって （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/11

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• どこまでなら

  　　　どこまでなら　　　南風一きみと俺がうまく行かなかった理由あれもそうかなこれもそうかな　と色々考えたけれどどれも本当は正しくて正しくないのだろうきみと俺が取り立ててうまく行く理由はなかっただけど取り立ててうまく行かない理由もなかったどこまでならうまく行ってどこまでならうまく行かなかったのだろう？うまく行っていると思い込んだのは俺でうまく行かないと思い込んだのも俺本当はうまく行っていたのかも知れないしうまく行っていなかったのかも知れないそんなことが分かっていたらそもそもきみを好きになることはなかったしきみを忘れようと決心することもなかったかな （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/09

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• 好き者

  　　　好き者　　　南風一女であることで好きになる確率　２分の１グラマーであることで好きになる確率　２分の１お尻の形がいいことで好きになる確率　２分の１髪が長いことで好きになる確率　２分の１物静かであることで好きになる確率　２分の１好きになることはそれら全部の掛け算なんだから結構狭き門なんだなのに近頃は好きになる確率は２分の１以上なぜこんなに惚れっぽくなったのだろう （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/08

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• 前兆

  　　　前兆　　　南風一それは男の方が携帯電話を買い与えたときからだったかもしれないそれとも離れ離れになる時期とたまたま重なっただけに過ぎないのかもしれない男が拘り始め女を我が物にしたい願望を持ち始めたときから崩落の針が進み始める男は気付かないけれど女は「ＦＯＲ　ＳＡＩＬ」という張り紙を大きく掲げるそして男から逃げ出す準備を始める （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/06

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• 幽霊

  　　　幽霊　　　南風一突然恩師の退職祝いをするという電話があったかれこれ３０年ぶりの同窓生の声だった話し振りから学生時代の面影を思い出した昔とあんまり変わっていない俺が彼女のことをそう思うのだから彼女の方もそう思ったかもしれない「憶えている？」と聞かれて「憶えている」と答えたいくら恋人ではなかったとはいえ１年も同じクラスにいればそうそう忘れるものじゃない身近すぎたから恋しなかっただけかも知れない同じクラスにいたらそんな気分なんて失せてしまうのかも知れない俺が彼女の目やクラスメイトの目にどんなに映っていたのかそれは知らないそんなことに興味なかったし高校時代なんて早く過ぎ去ってしまえばいいと思っていたからかも知れない自分では自分の実体など無いように思っていたけれどクラスメイトの目には幽霊のような形にしろ俺の姿が見えていたのだろうその姿はどんなだったのだろう？と聞いてみたい気がする自分がどんな風な気持ちで学校へ行き一日中どんな心持で教室にいたのか？当人が何も憶えていないのだから他人の方が憶えているわけないのだろうけれど （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/06

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• 傘

  　　　傘　　　南風一梅雨明けのニュースが流れるけれど先ほどまで　にわか雨傘を持って散歩にでる傘を振りながら歩いていると小学生のころ学校帰りに傘を振りながら歩いた記憶が蘇った傘を振って田んぼの中の道をほっつき歩いていただけなのに学校の行き帰りがあんなに楽しかったのはなぜだろう？と思う田んぼの間に小川は流れていたし小川を覗けば　フナやアカマツがたくさん泳いでいたちょうど田植えの終わった田んぼの中には蛙やカブトエビがたくさん泳いでいたっけ傘で魚を突っついたり田んぼの畦に穴を開けたりいたずらして歩くのが楽しかったのかな （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/05

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• 不幸な星の下に

  　　　不幸な星の下に　　　南風一ようやく幼稚園に上がろうとする頃だったかな無邪気に手を振って農道の向こうへ消えて行った後ろ姿を見送ったのは私が従妹の姿を見かけたのは後にも先にもそのときだけだった初老の夫婦にまだあどけない子どもの姿はどう見てもいわくありげな取り合わせだったろう田舎のこととてそんなことをあれこれ噂する者はいない大きくなったらお医者さんになって養父母の病気を治して楽にさせたいと夢を語ったその従妹は不慮の事故で死亡し養父はその１年前に死亡した結局その従妹の人生や養父母の人生は　何だったのだろう？と考えるけれど従妹や養父母が仲睦まじく暮らした日々が一人健在な養母の心から消えることはないだろう不幸な星の下に生まれた従妹の人生が幸福でなかったと誰が断言できるだろう （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/05

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• 女人（ひと）を好きになる

  　　　女人（ひと）を好きになる　　　南風一昨日友だちの家に泊まると言って帰って来なかった二男リビングのテーブルを見ると確か彼女とペアで買ったはずの携帯電話が２台置いてあったさては・・・と思って「なぜ彼女の携帯があるの？　最近彼女に会ったのかな？」と妻に尋ねた妻の話によると二男は昨日学校を休んで京都まで彼女に会いに行っていたという・・・なるほど　それで合点が行った短気なところは親譲りのせいか私と全く同じことをしているもう少し気長になって慌てない焦らない今ならそうアドバイスしたいけれどそんな悠長な助言に耳を貸すような私でもなかった形だけでももう金輪際彼女のことは思い出すまいと行動してみるけれど心が追い付くのは随分遅れてからなんだ試練だけど女人（ひと）を好きになるってのはそういうことなんだ （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/04

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• 宵の白々

  　　　宵の白々　　　南風一不思議なことに仕事を終えて宵の夕闇に風を切ってペダルを漕いでいるとなぜかきみを思い出しているきみはいかにも気があるような素振りをして俺を繋ぎ止めておこうとするけれど実は仕事が早く引けて時間が空くことがあっても俺のことなど決して思い出さなかっただろうと想像する仕事が早く引けたらラッキーと叫んで女友だちを呼び出しておしゃべりすることはあっても俺に連絡しようかなんて気の利くような女じゃなかった何がうれしくて俺を繋ぎ止めたりしたのかな （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/02

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• いつも通り過ぎて

  　　　いつも通り過ぎて　　　南風一通り過ぎてしまってもはやきみの姿が見えなくなってようやく踵を取って返すもっと早く引き返すか最初からきみの腕を掴んでいればよかったものをいつも通り過ぎるときには無関心を装うくせに通り過ぎてからややあって「待ってくれ。ちょっと待ってくれ」胸のうちでそう叫びながらきみを追っかけてみるけれどもうきみの姿は何処にもない何処へ行ったんだとあちこち探してみたりして不甲斐ない自分にせめても言い訳でもするように息せき切ってきみの姿を追ってみるけれどそれだってもはや一人芝居以外の何物でもなんだけどね （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/07/01

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• 今なら

  　　　今なら　　南風一今ならきみが悪かったのじゃないと分かる今なら嫁入り前の娘として当たり前の行動だったと分かる自分の一生を賭けるのだから「はい　いいです」なんてやすやすと頷けるはずがないきみが日常接していた女友だちや男友だち俺はその中のどれにも属していなかったからつまりは通りすがりの他人そんな一見さんからプロポーズされたって頷ける理由なんて何処にもない俺の胸のうちではきみと俺は四六時中一緒にいたように思い込んでいたけれどつまりは一人芝居ひとり甘美な夢に浸っていた幸福な男そんな病気みたいな男に付き合わされて最後は掌を返したように「さよなら」俺っていう男は何だったのだろうきみのことを何にも知らないのにきみのことが好きだったなぜきみでなけりゃいけなかったのだろう （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/06/29

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• 長嶋茂雄

  　　　長嶋茂雄　　　南風一近頃は年収１億円クラスのベテラン選手が簡単に首を切られる時代長嶋茂雄が絶不調だからといって首を切られることはなかった長嶋茂雄がヒットやホームランを打つのは当たり前天覧試合で村山実投手の渾身の速球を軽々とホームランにしてしまうそんな長嶋茂雄の活躍を当たり前のものとして見ていた時代があった今そのころのビデオが放映されるとチャンスに強い長嶋茂雄の雄姿が何かしら物悲しく見えてしまうのはなぜかな？長嶋茂雄の現在を知っているからかなまだ子どものころ長嶋茂雄の雄姿に年老いた長嶋茂雄をダブらせることなんてありえなかったのに （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」１２月１４日発売。購入は、こちら（Amazon.co.jp）からどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキングへ

  2008/06/29

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