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丁寧な暮らし

丁寧な暮らし

2019.09.06
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カテゴリ:おしん
茶の間でつねとたけぼうを抱っこした奥様が座っている。

「ほんてんにあきれけえったへなごだっす。腹減れば少しはこたえるかとおもってんけど、
 まだこりねえで、どこまでごうじょっぱりにできてんだか。」と、つね。

「いいかげんにくわしてやれっちゃ。うちじゃ奉公人さ、昼飯くわせねえで、こきつかってるって
 近所のうわさにでもなってみろ、旦那様や店の信用にかかわるんだから。」
 奥様が、たけぼうのおしりをぽんぽんとたたきながら、話す。

「おれがまちがったことしてるってのがす?」強い口調で言い返すつね。

「んでねえけんど。」と口ごもる奥様。

「どだらとこで、奉公人ば、学校さ上げてる家があるんだっす?そのほうが
 よほど物笑いの種になるんだっす。」

「おしんは、立派にやることはやってる。松田先生の話では、たけしのめんどうもよおくみて、
 勉強もよおくできるそうだ。七つのおぼこにしては、根性のあるおぼこでねえか。
 もう一月、辛抱したんだ、この辺でそろそろ、なぁ、、おつねさん、、」
奥様が、つねの顔色をうかがいながら諭すように言った。
しかし、つねは片づけをしながら黙っている。
「旦那もそういってるんだから、、。」

「おしんを仕込むのは、おれの務めだっす。」

二人の話を陰で聞いていたおしんが、走って入ってくる。
「遅くなって、、。」
奥様がにこやかに、たけぼうをおしんに渡す。
「たけぼう、さ、いくぞ」
「今日も、良い機嫌だなっす。」
つねが不愉快そうに顔をそらしている。
「毎日、めんこくなるなぁ、たけぼうは、、。」
そのおしんの言葉を聞いて、つねは、「ちっ」と舌打ちした。
奥様はおしんに、
「頼むからな、、」と。
その陰で、漬物をおもしろくなげに噛み切るつね。

おしんが、たけぼうをおんぶしながら走って学校に向かう。

おしんが念願の学校に通いだしてからもう一月になろうとしていた、
昼飯抜きのひもじさにも、つねの冷たさにも耐えての一月であった。
そのおしんを支えてくれたのは、担任の松田先生のあたたかい心遣いであった。

道の途中で、松田先生に会った。
「先生、おはようございます。」、おしんが先生に挨拶をした。
松田先生が、おしんに包みを渡した。
「あ、おはよう、今日は、イモしかなかった、かんべんしろよ。」
おしんは、その紙の包みをじっと見つめていた。
そして先生をじっと見つめた。
「昼飯ぐらい、なんとかする、こんなことで負けちゃだめだぞ」
おしんは、先生を見つめて、微笑んでそして、大きくうなづいた。

川でおしめをあらうおしん。
「かあちゃん、おれ、一日も休まねえで、学校さ、いってるぞ。今にかあちゃんさ手紙書けるように
 なるからな。なんにもつらいことなどねえ、学校さ、いってるんだもの。どだなことでも辛抱しねと。」
洗い終わると、石に座って先ほど先生からもらった包みからイモを取り出すおしん。
いもをみて、「わあ」と声をだし、勢いよくほおばるおしん。
「かあちゃん、イモってうまいな、」そういって川の方を見ながらいもにかぶりつくおしん。


この川の流れが母の住む故郷に続いていると思うと懐かしくておしんはいつも川のほとりに来ては
母に話しかけていた。
おしんが昼飯を食べさせてもらえないと知ってから、
担任の松田先生がおしんのために何かともってきてくれることも。
松田先生だって奥さんも子供さんもいて苦しいだろうに、申し訳ねえ、とつぶやきながら、
いつも松田先生のこころづくしの昼飯を一人、川のほとりで食べた。

が、おしんの幸せもそう長くは続かなかった。

授業中、、教室で皆が習字を書いている。
たけぼうが、急に泣き出した、困ったおしんは、筆をおき、立ち上がってあやした。
「立って、うろうろするな!」見るからに意地の悪そうな体の大きい男子(健太)が、おしんに言った。
おしんは、仕方なく席に戻った。
すると、また、たけぼうが泣き始めた。
「うるせえ、泣かせるな!」
又、前の席の健太が、おしんに怒鳴った。
「健太、黙って書け!」
先生が、健太を注意した。
「でも、、」

おしんは、立ち上がって、廊下に出て行った。
「健太、そだな言い方するもんでねえぞ。おしんだって遠慮しながら、
 それでも学校さきたくてきてるんだ。友達じゃねえか、優しく助け合わねばだめだぞ!」
先生が健太を叱った。
不服そうに返事をせずに下を向く健太。

学校からの帰り道、おしんが、今日習ったことを暗唱しながら歩いている。
すると、先ほどの健太と何人かの生徒がおしんの前に立ちはだかった。
健太がいきなり、
「おまえ、もう、学校さ、来るな、きてえなら、赤ん坊おいてこい、うるさくて
 勉強できねえでねえか。」
そばにいた生徒もいった。
「学校は子守のくるところでねえよ。おれんとこのおっかあもそういってた。」

「今日だっておれ、おまえのおかげで、先生にこしゃがれたんだ。悪いのはおまえだ。そこさ、
 手ついて謝れ。」と健太

「おれがなにしたっていうんだ」とおしん。

「なんだと、おまえがほだな赤ん坊つれてくるからでねえか」と健太。

「先生は、先生は連れてきてええって。」とおしん。

すると横にいた二人の女生徒がかわるがわる
「先生がひいきしてると思ってえばってるんだな、おしんは」
「んだ、先生から昼飯もらってくってるんだって、ちゃんと知ってるんだから」

「先生は、、先生は、、」とおしん。

「何が先生は、だ、お前が辞めればええことでねえか、、」と健太。

「おれは、、おれは、、」とおしん。

「やめねえっていうんだったら、こられねえようにしてやる。お前も赤ん坊も二度とこられねえように
 してやるからな。」
背中で、たけぼうが泣いた。
「たたかれてもええのか、まだわかんねえのか」
そういって健太は木の棒でおしんの足を思いきりたたきはじめた。

「ほだなことでおれが辞めると思ってるのか」とおしん

健太はまた、思いきりおしんの足を棒でたたいた。

おしんは、かんねんして、足をついた。健太の棒がたけぼうのほうに向かった。
「何するんだ、」
おしんは、膝をついて土下座した。
「ごめんしてけろ。たけぼうは堪忍してけろ、おれはなにされてもええ、たけぼうだけは。
 たたきてえなら、おれさ、たたけ。」そういって頭を下げた。
そのおしんに向かって
「なら、学校さ、こねえな。こだえてえなかったら学校さ、やめろ。先生に言ってみろ、
 今度は赤ん坊殴り殺してやるかんな、」そういってこぶしをふりあげる健太。
土下座をするおしんの横を子供たちが通っていってしまった。

背中で泣くたけぼうに
「大丈夫か、悪かった、堪忍してけろ、悪かった、おれが悪かった、」
背中を気にしながら、
「えがったー頭たたかれなくてえがったー」とたけぼうに話しかけるおしん。

茶の間におしんが足を引きづって戻ってきた。
「何してたんだ!」と、つね。
奥様もかけよる。
「坊のお乳も忘れて遊び惚けてたのか?」と、つね。
「帰ってきたか、、心配したぞ。、何かあったんじゃねえかって」
たけぼうを、奥様に渡すおしん。

奥様がおしんのてのけがにきづく。
「おしん、手から血がでてるでねえか」

「申し訳ねえっす、転んだんだス」とおしん。
「あっぶねえなあ、たけぼっちゃまはなんともなかったのか」とつね。

「それより、おしんば、みてやれ、こだいはれあがってぇ」と奥様。
しかし、つねは、そっぽをむいている。
おしんの足を見た奥様
「足もケガしたのか、、。」
足を隠すおしん。
「おしん、おまえ、ころんだんでねえんでねえのか、ころんだんではほだな傷」

「転んだんだス、いしっころさぶつかって。たけぼうはなんともねえっす、これからきいつけるから
 ごめんしくらっしゃい。」

「学校さ行ってろくでもねえ遊びしてるから!」つねが憎々しげに言った。

おしんは、下を向きながら
「もう、学校さいかね、やめるっす。子守が学校さ行くなんて間違ってたんだ。」
「何があったのか、おしん」と奥様。
「子守は子守だ、一生懸命たけぼうの子守をしてたらそれでええんだ」
「だれがになにかいわれたのか」と奥様
首を振るおしん。
「やんだんなったんす」

それを聞いたつねが、いろめきだった。
「おしん、やっとわかったのか!」みるみる今までのふて腐れた顔が明るくなり、嬉しそうに、おしんに顔をむける、つね。

つづく。


※ このかいは、せつないです。私は、いじめや、意地悪が大嫌い。
この健太には、はなはだ、あきれます。
また、この健太役のこは、滑舌が悪い。
聞き取れないので、何度も、戻してきいたのですが、どうも、後半のセリフが、はっきりしません
意地悪なうえに、滑舌が悪いから一人で、腹立ってました。

おしんは、自分ならがまんできるのですが、たけぼうだけは、守らねばと、土下座しました。
そのおしんに、先生に言いつけたら、赤ん坊を殴り殺すなんていうんです。
私なら、即旦那様に、言い付けますよ(笑)
でも、おしんは、何も言いませんでした。
昔からこのての、馬鹿はいるものです。
しかし、怯まないおしんは、えらかった。
ここは、もう、おしんが、七歳にして、すでに、人間形成がされていた証です。
つづく。





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最終更新日  2019.09.09 00:32:03
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