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カテゴリ:おしん
現代のおしんが、橋の上から川沿いに連なる街の風景を見ている。
孫の圭がおしんの方に走ってくる。 「やっぱり中川材木店なんて知らないってよ」 「確かにこのあたりだと思ったはずなんだけどね。ま、なんてったって75年も前のことだし。 七つだったんだから、はっきり覚えてるったって子供のころの記憶なんてあてにならないもんだね。」 「この辺もすっかりかわっちまったらしいし。」圭がおしんにいった。 「新しい人もはいってきてることだし。そんな大昔のこと、知らないのも無理ないよね」とおしん 「でも、覚えてる人がいないってことは相当昔にどうにかなっちまったってことだな」と圭。 「本当だね、いろんなことがあったからね。大恐慌、不景気、戦争、 大きな店だってずいぶんつぶれたから。」おしんが、落胆したような口ぶりだったので、圭は どうにかしたい風であった。 「そうだ、役場行って調べたらなにか消息くらいは、、。」 「いいよ、そんなつもりできたんじゃないんだから。あの時飛び出したっきり一度も来る機会が なかったんだから。もし今でもお店があったらと思っただけで。もうそのころの人はみんななくなっちまってるだろうからね。ただね、たけぼっちゃんが行きてらしたら一目お目にかかりたいと思ったんだけど。それだってあちらさんはおばあちゃんのことなんぞおぼえておいでにはならないだろうし、ここにきたのは昔が懐かしかっただけのことだよ。本当に大昔になっちまったんだね。あの頃の面影なんてなんにもありゃしないんだから。あんなつらい思いをしておしめを洗った川だってもうどのあたりか全然わからないくらい変わっちまって。 あんなことがあったなんてゆめだったようなきがするよ。」 「ずいぶん、雪が深くなるんだろうな、この辺は、寒いだろうな冬は」圭が川の方を見ていった。 「寒いなんてもんじゃないよ。まるで体中、、、」 川をのぞむ高台からおしんと圭は、おしんが昔いたであろう店のあとかたを探しながら、二人、 しゃがんでいる、圭はおしんの話にじっと耳を傾ける。 おしんは、今、この同じ場所で、あのときのおしんをみつめていた。 七つの身で厳しい奉公に耐えてきたのに、、 あの時自分のなかではじけたものはなんなんだったのか 吹雪の恐ろしさも忘れていた、ただ、母のいる家へ早く帰りたい そんな幼いひたむきさが今のおしんには懐かしかった。 吹雪の中をおしんはひたすら歩いていく。 雪はどんどんひどくなっていくかのようだった。 雪道に足を取られ、ふらふらしながらも歩くおしん どのくらい歩いたであろうか、、とうとう、おしんは雪の中に倒れてしまった。 「母ちゃん、もうすぐ帰れる!」倒れたおしんは、母ちゃんのことを思い、目をつぶったまま 微笑んでいた。 「かあちゃん、今帰った!」家の中からふじと作造が走って出てくる。 「おしん、よく帰ってきたな!」と、ふじ。 「いがった、いがった」と作造。 ばっちゃんも飛び出してきた。 おしんは、ばっちゃんの姿を見て叫んだ 「ばっちゃん!」 「達者で何よりだった」げんきなばっちゃんが笑っていた。 雪の中でおしんは夢を見ていたのだ。 その夢の中でふじの声がした。 「おしん、二度と奉公さなぞ、出さねえからな」 作造の声もする 「米もよおぐできたから安心してうちさいろ」 おしんは、吹雪の中で眠ってしまったのだ。 囲炉裏に鍋がかかっている、パチパチと薪の燃える音がする。 小屋のようなところだ おしんが藁の中で眠っている。 目が覚めたおしん。 起きるとひげ面の男が横にいた。 「お、気が付いたか。」 起きようとするおしんに「いいから寝てろ」と。 「誰だ、おまえは」 「もう大丈夫だ、ゆっくり寝てればすぐに元気になる」 男は起きると着物を羽織り、 「今、熱い汁を飲ましてやるからな」といって囲炉裏の方に向かった おしんは藁から起きると 「おれは、なしてこだなところさ」と男に聞いた。 男は一瞬笑っただけで何も言わなかった。 入口からまた違う男が入ってきた。おじいさんのようだった。 身を固くするおしん。 「だか、しんぺえで様子みにきただ」 「さぁあついぞー 少しづつゆっくり飲むんだ。」そういっておしんの顔に椀を近づけた。 おしんは、顔をそむけた。 「たぬき汁だ、うめえぞ、せいもつくから」とおじいさんが言った。 「少し匂うけど、我慢しろ、あったまるぞ」そういってまた椀を近づける おしんは、今度は口をつけて飲んだ。 「うまい!」おしんはひげ面の男に「自分で飲む」といい、自分の手に椀をもった。 ひげ面の男は、たちあがると、毛皮をとり、おしんに着せた 「おまえの着物乾いてないからこれで辛抱しろ」 「おめえが、ここさ連れてきたときはもうだめだと思ったがよ。このあんちゃんのおかげで おめえは命拾いしたんだぞ。」と後から入ってきたおじいさんが言った。 「このあんちゃんは、裸でおめえをあっためてみてくれたがら、もうこごえしんでしまってるんだっていうのに、なんとかしてたすけてやりてえって、一晩中おめことだいて、 おめの一念が通じたんだな。」ひげ面の男がうなづいた。 「おめーどこのおめー村のわらしだ?なしてあんなとこ歩いてたんだ?」おじいさんがおしんにきいた。 「みち、まちがったんではねえのか?」 「どこさいくつもりだかしらねんども、なんにもわからねもんだから仕方なくて、このあんちゃんはおめことしょって吹雪の山道しょってここさ連れてきたんだ」 「だら、あんちゃんがおれば?」とおしん 「あれ以上、雪に埋まってたらわかんねえとこだったぞ。まだ日も暮れてなかったし。」とひげ面の男。 「運のいいわらしだ」とおじいさん。 「おめえの体が良くなったらば、おれがおくってってやるから。家はどこだ?」おじいさんがおしんにきく。 「あるんだろ?いけっどこが」 おしんは、汁を飲みながら黙っている。 「忘れてしまったんだが?おめえなまえはなんてんだ?」 「 疲れてんだ、今日はゆっくり寝かしてやれ。」 おじいさんの矢継ぎ早の質問を気の毒に思ったのか、ひげ面の男が質問を遮った。 「へっへへへ、、おめえの客だ、おれが横から口出すことではねえんだけども、このわらしだって しんぺえしてるもんがいるんだろうから。早くけえしてやらねばと思ってな。」 おしんは、黙っている。 「んだば、おれは」そういっておじいさんは出て行った。 雪の中、中川材木店の前。 定次と若い衆が足早に店から出てきた。 二手に分かれ、誰かを探している様子である。 茶の間で、旦那様と奥様が座っている。つねは、一段下がったところに座っている。 「おしんはまだ七つだ。仕込むのもええけど、少しは手加減してやらねど。」と旦那様 「おれだって何も好きでこしゃいでるんではねっす。他のことならともかく盗みは厳しく言わねば 癖になるから。それにおしんのためにもよくねっす。」とつね。 「おしんが盗み?ほだなことがあったのか?」と奥様にきく旦那様 「てえしたことではねえんだす、おまえさまのみみさいれたらおしんがもどったとき、おしんもつらか ん べと思ったんだす。おれの胸さおさめて、おまえさまには黙っていたんだけんど、、、、。 おしんがおつねさんの財布から50銭銀貨ば」 「おれが財布ばそこにおいて、ちょっと納屋さものとりにいったその暇に。そん時おしんしか いなかったから、、。」と、つね。 つねが話している間、何かを思い出すかのような顔をする旦那様。 「おしんが、ちゃんと持ってたから、おつねさんもつい、、。」と奥様 「そら、おしんさ、わりいことしたな、、」と旦那様。 首をかしげる奥様。 「その50銭銀貨なら、おれが、、。」 つねが、旦那様の方に目をやる。 「店の者に使いに出すのに、帳場に銭がなかったからちょっと借りたんだ」 「おまえさま」 「後で言うつもりだっただけんど、つい、言うのを忘れてしまって、、」 「忘れたですむことではねっす」と奥様 「なら、おしんが持ってた50銭銀貨は、、」とつね。 「奉公さくるとき、ばんちゃんがくれたっていっていたでねえか」と奥様がつねをせめた。 「ほだなことなら、おしんはもうかえってこねえかもしれねえな」と奥様。 「とにかく、草の根分けても探すべ」と旦那様。 「帰ってくるっす」つねがいった。 「米一俵とひきかえに、奉公さ来てるんだス。どだなことあったって年季奉公おえねばなんねんだす。 途中で逃げ出したりしたらどだなことになるか。それぐれえおしんだってよくわかってるっす。」 つねの言葉に顔を見合わせる旦那様と奥様。深くため息をつく旦那様。 雪山の中 ひげ面男とおじいさんが歩いている、囲炉裏の前で黙って座っているおしん。 二人が小屋に入ってくる 「やっとこぶりになってきたぞ。いまならまだやまおりれるかしんねえ。あんちゃんがとちゅうまでついていってやるっていうからな。天気さえよければ、まぁもうみちにまようこともねえだろ。もうひとゆきふってくると、はぁ、やまはもうおりられなくなってしまうぞ。」 「うちまでおくっていってやりてえが。」とひげ面の男。 「ばかいうんでねえ。おめえがむらさいってみろ、命はねえんだ!」 おしんは、驚いて顔をあげる。 「いや、おれたちは、ここで、すみやいたり、りょうをしたりしていそがしんだ。やまおりられればいえさ、かえれんだろ。」とおじいさんがおしんにいった。 「もう大丈夫だ、顔色もよくなった、うちの人も心配してんだろ。早くした方がいい」 ひげ面の男がおしんの前に座っていった。 「かんづけもそろえてやっからな。はりいてるうちにかえらねえと、 ほんてんかえれなくなってしまうど」 二人の話の間中、おしんは、下を向いて黙っていた。 やっとくちをひらいたおしんは 「おれ、帰るとこなどね。どこさも帰れねんだ。」 「そげなこといったっておめえ」とおじいさん。 「おれ、奉公してるとこさ、逃げ出してきたんだ。母ちゃんとこさ帰りたかったから。 でも帰ったら父ちゃんにこしゃがれる、また、子守に帰らされてしまう。 奉公さしてたとこだけは帰りたくねえ、あんなとこ死んだっておれ、帰らねえ。」 「だけっど、ここにいるってこともできねえんだから」 おしんは、ひげ面の男のほうをじっと見つめた。 「いいさ、こんなとこで我慢できんだったら、いろ」とっひげ面の男。 「しゅんさく!」おじいさんが名を呼んだ。 「たとえ山をおりたって家まで無事にかえれるかどうか、あの吹雪じゃ里だって相当つもってるだろうし、 うちまでおくっていけるんだらともかくこのこひとりじゃとても」 「山さえ下りられればまただれかつれてってくれるひともいんだべ」 「この子だって何か事情があるんだろう。 何もいま無理しなくったって春になって雪がとけてからだって」 「しゅんさく!」 ひげ面の男は俊作という名前だった。 「そうしたほうがいい。ゆっくりしろ」そういって俊作は、おしんの頭に手を置いた。 二人が外に出てゆく。 「おめえ、あげなわらししょいこんでどうするつもりだ。自分のことわかってるんだか? なんぼゆきだおれだからって、助けてくるなんて間違ってるんだ。人に隠れて暮らしてるもんが 人助けなんてできるがらだか。あのわらしが村さ、けえっておめのことしゃべってみれ、 いっぺんだ」 俊作が銃をかまえた。 「逃がした、、。」と俊作。 「うさぎなんてどうでもええんだ、おめえの命にかかわる話だど。万一のことがあってみ、おれだって」 おじいさんは、俊作の横で話し続ける。 「おれはな、おめのこと、203高地で戦死したせがれの代わりに神様が授けてくださったのだと思って、おめのこと面倒見てきたってのに」 又、銃を構える俊作。 「パーーン」銃を放った俊作。 銃の音に驚いたおしん。 何事かと思い、外に駆け出す。 「兎だ、今夜はごちそうだぞ」俊作が振り向いておしんにいった。 かすかに笑みを浮かべるおしん。 「しゅんさく!」 おじいさんは、まだ怒っている。 「あの子もおれと同じように逃げてきたんだ、ほっとけやしないだろ。」 そういうとしとめたウサギを取りに行った。 雪の中、おしんに向かってウサギを見せる俊作。 おしんは、こんな山奥で暮らしている二人の男が一体何者なのか、見当もつかなかった。 しかし、一見けわしい若いひげ面の男の目が、思いがけず優しいのを見ていた。 これからどうなるあもわからないのに、おしんの胸には妙な安らぎが広がっていた。 ※ この回は、前回があまりにひどかったので、冒頭で成功したおしんにもどしてもらった シチュエーションがよかったです。 あんなひどいめにあったけど、今はこんなに成功しているのよと思うと少しは心が 慰められます。そして、あんなひどいことがおきた中川材木店がなくなっていたのも、なんだかなという感じでした。 今回のつねは、やり過ぎでした。頭からおしんを犯人と決めつけました。 たまたまもっていたばっちゃんからの50銭銀貨があだとなってしまいました。 しかも、裸にされて、、今なら虐待ですね。 銀貨をとられたあとに、かえせと、とびかかるおしんは、えらいと思いました。 理不尽には、負けない、という根っこがもうこのころからあります。 旦那様と奥様、つねさんもきちんと謝るべきでした。 旦那さまや奥様は謝りそうですが、つねさんは謝らないと思います。 つねさんは、終始反省のない人です。 多分、この家の中で誰もきちんと注意できないのです、奥様、旦那様とたててはいますが、 旦那さまや奥様に注意されても決して、はいとはいわず、自分の意見を押し通します。 旦那様奥様、つねさんという組織は、実はあまりうまくいっていないかと思います。 だから、きっと、長くお商売はできなかったのかもしれません。 人は財産です、奉公人であっても同じです。 人を大切にしない組織は最初はよくても決して長続きはしないと思います。 人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり、、、と申します。 人を大事にしてこその組織です。 中川材木店がなくなってしまったのも、常なのかもしれません。 今回、中村雅俊さんが出てきます。 俊作あんちゃんです。 おしんを見ていて、何人か、おしんを助けてくれる方が出てきますが、俊作あんちゃんもその一人です。 俊作あんちゃんと比べると、つねさんのなんとレベルの低いこと、、。 やはり、教育は大切だと思います。 あまりにも理不尽なことばかりでしたが、おしんは、ここで理不尽さを深く学びました。 7つの子供が自分の身で学んだんです。 そして、この時代、こういう子供がきっとほかにもたくさんいたんだろうと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.09.10 13:33:46
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