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カテゴリ:おしん
語り手 奈良岡朋子さん
おしん 小林綾子さん ふじ 泉ピン子さん なか 大路美千代さん 俊作 中村雅俊さん 松造 大久保正信さん 作造 伊東四朗さん 圭 大橋吾郎さん おしん 乙羽信子さん 思いがけない俊作の発熱におしんは、精いっぱいの看病をした。 そのおしんの姿が、閉じようとしていた俊作の心を再び開くことになった。 健康が回復すると、俊作は暇を見てはおしんに字を教え始めたのである。 本を読めるようになりたいというおしんの幼い一途さは、字が習えることで 有頂天だった。 が、それよりもおしんには、そういう俊作の気持ちの方がはるかにうれしかった。 おしんが薪に炭で字を書いてる、横には俊作。 「ようし、よくできた。次は、なにぬねの、だ。」 薪に俊作が字を書く。 「な、だ、うーーん、となまえのな、なのはなのな、」そういって、ふーっと、薪に残る 炭をふいた。 「なすびのな、なっぱのな、なべのな、」おしんが言った。 「なきむしのな、だ」俊作はそういうと、おしんのおでこをつんとついた。 「さっ」 俊作が、木をおしんの方に向けた。 今度はおしんが、木に、「な」の字を書いた。 横で、おしんが書く字を見守る俊作。 「とてもその小屋のあったところまでは行かれないな、おばあちゃん」 場面は現代のおしんにかわる。圭とおしんが、山のホテルのラウンジにいる。 「行くつもりなんてありませんよ。そこがどこだったのか、 いまだに見当もつかないんだから」とおしん。 「だってちゃんとおりてきたんだろ、山から。そこがどこだかおぼえてるはずだ」と圭。 おしんが窓から見える山の方を見る 「月山がみえたんだ、じゃ、やっぱりこのへんのどっかかな。」 「いいんだよ、どこでも。大事なのは思い出なんだから」 「あの頃がおばあちゃんの一生のうちで、一番幸せな時だったかもしれないね。」 「そんな何にもない原始的な暮らしが?」 「ああ、字を習いたくたってなんにもないんだから。木の皮や板ぎれに消し炭で。 雑巾でふいたって、消し炭のあとがすぐに真っ黒になっちゃって。」 そういって、圭と笑い合うおしん。 「だからおばあちゃん、鉛筆や使い捨てのボールペンなんか粗末にすると怒るんだな。 よくしかられたもんな。店の従業員たちだって副社長は細かくてたまらないって怒ってたよ。」 それを聞いて大笑いをするおしん。 「あはは、、悪口は慣れっこだよ。板切れや消し炭でも、 字を覚えるってのがうれしくってねえ。 うちが大騒ぎしてるなんておもいもしないでさぁ。」 おしんが立ち上がって窓の方に向かう。 外には、ちらちらと雪が舞っている。 窓から外を見るおしん。 「俊作あんちゃんには、いろんなことを教えてもらった。 ものがなくっても、人は幸せになれるってことも。 生きるってことは、どういうことなのか、そんな大事なこともね、、。」 おしんの目は遠くを思い出していた。 七つのおしんが、山小屋の中で本を読んでいる 「き み し に た ま う こ と な か れ。 なんだこりゃあ、聞いたことのねえ言葉だなあ。」そういうとまた、 本の文字を読み始める 「す へ に う ま れ し 、、、」おしんの読む途中、俊作の声がした。 「おい、おしん、今日は月山がよくみえるぞ、きてみろ!」 俊作が小屋に入ってくる。 「おれ、もう、この本読めるぞ」おしんが俊作に本を見せた 俊作の顔色が変わった、そして、おしんからその本を取り上げた。 おしんは、不安そうな顔になった。 「すまねえ、あんちゃんの本を勝手に。んでも、読みたかったんだ、あんちゃんに本を 読めるようになりたかったんだ。」そういって頭を下げた。 俊作は黙っている。 「その本開いたら、木の葉っぱさはさんであるところあったから。もうにどとしねっす。 こらえてけろ」おしんは深々と頭を下げた。 「おしんにはまだわからないよ、その本は」俊作がふりむいていった。 「難しい字のところには、ちゃんと横さ、ひらがながかいてあったからよめるけんど。 おれ、きしたこともねえ言葉だから。」 「これはな、「詩」っていうんだ。」 「「し」?「死ぬ」の「し」か?」とおしん。 「いや、違う、ああ--、、うたとでもいうかな。。」 「あんちゃんの好きなうたか?」 「ああ」と俊作。 「歌なら歌ってケロ。おれ、ききて。あんちゃんのすきなうた。 きかせてけろ。おねげえするっす」そういって、おしんは、俊作にまた頭を深く下げた。 俊作はおしんをじっとみて 「よっし、、よんでやろう」 そういうと、先ほどの本を開いた。 おしんが、静かに聞いている。 「ああ、弟よ、きみをなく、君死にたもうことなかれ、 末に生まれし君なれば 親の情けは勝りしも。 親は刃を握らせて、人を殺せと教えしや。 人を殺して死ねよとて24までを育てしや。 堺の町のあきびとの、旧家を誇る主にて 親の名をつぐ、君なれば 君、死にたもうことなかれ。 旅順の城は滅ぶとも ほろびつとても何事か 君知るべきやあきびとの 家のおきてになかりけり 君しにたもうことなかれ 皇尊は戦いにおん自らはいでませぬ。 畳に人の血を流し獣の道にしねよとは 死ぬるを人の誉れとは お御心の深ければ もとよりいかでおぼされぬ、、」 そこに、松じいが入ってくる 「俊作!」 しかし、俊作は続ける 「暖簾の陰に伏して泣く。 あえかにわかき新妻を。 君わするるや、おもえるや 十月もそわで別れたる 乙女心をおもいみよ この世一人の君ならで ああまただれを頼むべき 君死にたもうことなかれ」 俊作は最後、声が詰まってしまった 「たまげたーあんちゃんは偉いんだな。ほだな難しい本、すらすらっと読めるなんてよ」 「この詩はな、、」俊作がおしんに説明をしようとすると、松じいがわってはいる 「俊作、いい加減にしねば、、」 「おしんだって、いつか戦争に巻き込まれる時が来る。今の日本はこのままではおさまらない。 外地に活路をもとめて必ず戦争が起きる。」 「ほげなわらしさ、何もそげなむずかしいことを、、」と松じい。 「難しいことを教えようとしてんじゃない。心のどこかに今日おれが話したことを覚えていたら それでいいんだ、」 そういうと、おしんの方を向き直って話し始めた 「この詩はな、与謝野晶子という偉い詩人が日露戦争の時、 旅順港を包囲している軍隊にいる弟のことを悲しんで作ったんだ。 戦争だから、人を殺したり、殺されたり、いつ、弟も戦死するかもわからない。 そんな愚かなことをするために親はかわいがって弟を育ててきたわけじゃない。 うちでは結婚したばかりの新妻も泣きながら待っている。 弟は大事な人だ、どんなことがあってもしんではいけない。 戦争の勝ち負けなんてどうだっていい、無事に帰ってきてくれ。 そういう、意味だ、、わかるな」 おしんは、真剣に俊作の話を聞いていた。 「ななつのわらしさ、そげなことはきかしたってわかるわけねだろ」松じいがいった。 「戦争なんて、娘にはしったことねえんだ、なあ、おしん」 「でも、あんちゃんだって戦さいったんだべ?」とおしん。 俊作が驚いておしんをみる 「鉄砲玉さ、まだ、体の中さ、あるんだべ。んだからこの前、あだい 高い熱が出たんだべ?」 俊作が、松じいのほうをみる 「松じい!」俊作が松じいのほうをみた。 「おれ、あんちゃんの傷も、みた。ひどい跡がいっぱい。」 松じいがうなづいている。 「んだ、あんときつい、おめとこそげなからだにしたやつがにくくてな、 おしん、俊作の傷や、鉄砲玉のこと、人さしゃべってはだめなんだぞ。」と松じい。 「なしてだ?戦争でケガしたんなら名誉の負傷でねえか」おしんがたづねる 「うちの村さにも、日露戦争さいって、足なくなってかえってきた若いひとがいたけんど 名誉の負傷だって大威張りしてるぞ」おしんが松じいに言った。 「おしん、そんなものは名誉でも何でもないんだ。戦争というものは、相手のものを たくさんこわし、人を余計殺した方が勝ちなんだ。ものを壊し合ったり、人と人が 傷つけあったり殺し合ったりすることが立派なことだと思うか?もし、おしんが 隣の人と喧嘩をしてその人を殺してしまったとする。」 「おれ、ほだな、おそろっしいいこと、、」おしんが言う。 「いやだろ?たとえ、けんかにかったにしても、人を傷つけたり殺したりすることは、 許されないことだ。そだろ?」 「 ほだなことしたら巡査に連れていかれる」おしんが、俊作に言う。 「そうだ、たちまち監獄に入れられて厳しい罰を受ける。ところが戦争では、 軍隊は平気でそういうことをしている。 罪になるどころか、人を殺せば殺すほど手柄になる 人を殺さなければかてないなんてそんなひどいことをして勝ったとしても それが名誉なことだと思うか?」 おしんは、口をぎゅっとむすび、頭を横に振った 「松じいの二人の息子さんだって名誉の戦死をした。でも残された松じいは、 一生懸命育てた息子さんを失って泣いても泣ききれない思いをしている。 それでも戦争は名誉なことだと思うかs?」 おしんは、頭を思いきり横に振った。 「戦争で傷ついたり、死んだりした人の中には、敵味方関係なく、父親、母親、兄弟、子供 みんな残されてつらい思いをしている。それでも戦争はいいことだと思うか?」 おしんは、また頭を思いきり振った。 「いいか、おしん、しっかりとおぼえておくんだぞ。どんなことがあっても 戦争はしてはいけない。たとえ日本が戦争をするようなことがあっても おしんだけは、反対するんだ。 たった一人の力は小さい、だけど、そういう人たちが力を合わせれば 国家を動かすことだってできるんだ。 一人一人の考え方が大事なんだぞ。」 おしんは大きくうなづいた。 「よし、この本をおしんにあげよう。今はわからなくてもきっといつか、 わかるだろう。その時にこの本を読んで、おれのいったことを思い出してくれ。」 そういってほんをおしんに渡した。 「さ、ひとっ走り、山、かけてくるか。今日は視界がいいから 獲物にありつけるぞ」 俊作は、そういって立ち上がると、小屋を出た。 おしんは、俊作の姿を目で追っていた。 雪の中、、 うさぎをおって俊作とおしんが走っている 「バーン」銃を撃つ俊作。 「あ命中した、野ウサギだ!」おしんが嬉しそうに言った 「あんちゃんは、兵隊さんだったから、鉄砲も上手なんだな。あんちゃんも戦争さいって 人殺したのが。何人くらい殺した?」おしんがきいた 「数えきれないな、、」と俊作 「だから、軍人はやめたんだ、、」そういってまた、銃を構えて獲物を追う俊作。 そのあとを追うおしん。 おしんの家。 ばっちゃんとふじが寝ている。 ふじがうなされて、起きた。 「おとっつぁん、おとっっぁん」隣の部屋で寝ている作造を呼ぶふじ 扉を開けて、作造に話しかける 「おとっっぁん」 「なんだ」作造が起きる 「おしんが、おれば、呼んでる。 ふぶきんなかで、かあちゃん、かあちゃんって。 おれ、助けてやりたいけんど、一生懸命歩いても、おれ、手届かね。」 「夢だ、、そだなことでいいちいちおこすな!」 作造は、また布団をかぶって寝てしまった。 「やっぱり成仏できねえで迷ってるんだ」ふじがいう。 「どこか、雪さ埋もれて、、んーだばぁ、、おればよんでるー」そういって泣き崩れる。 「いいかげんにしろ!」作造が怒鳴る、 横に寝ているばっちゃんが涙をこらえている。 「やっぱり、葬式ぐらい出してやらねえと。うかばれねえべ、おしんは。 おれはあきらめてる。おしんみたいなよくできたおぼこは、 早死にするんだな、、やっぱり、、、。」柱に体を預けて泣くふじ。 ばっちゃんは、布団をかぶって震えて泣いていた。 山の中 おしんが一人、木の枝を切っている。 「ああ、弟よ、君を泣く、、末に生まれし君なれば、親の情けもまさりしも、、」 与謝野晶子の詩を暗唱している。 暗唱しながら、雪の中で、なたを振るっている。 おしんの家では、ばっちゃんやふじが、おしんの安否を気にして 布団を涙で濡らす日が続いていたが、 山の中の小屋で字を学び、詩を学び、あんちゃんや松じいから心を学ぶおしんの 顔は明るかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.09.17 06:54:27
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