テーマ:映画館で観た映画(8561)
カテゴリ:観た映画のこと
公開中の映画『最強のふたり』を観てきた。東京サクラグランプリ受賞とかセザール賞で主演男優賞を受賞とか、一部で高評価を得ているフランス映画である。
予告編で窺えた概要は「障害者と型破りな介助者の感動あるお話し」だ。ここ数年、伴走をしているので障害者と接する機会が少なからずあり、興味惹かれる設定である。また映画として観たいテーマでもある。日頃、人間関係を深く考える性質ではないけど、映画や小説のテーマとしてなら嫌いじゃない。むしろ好きな方である。 「最強のふたり」というタイトルは原題"Intouchables"と結びつかない。原題の訳語は難しいが「相容れない仲」といったあたりか。「最強の」はどういう意味だろう。なにかにつけ対極のふたりが手を組み事に当たれば万事円滑に進む、ぐらいしか思い当たらない。どうも曖昧なトーンである。そう、いささか曖昧なのである。タイトルに限らず映画のシーンでもそうだった。思考に飛躍があって、よく言えば詩的なタッチが随所にある。 彼はあそこでなぜああしたのか? 彼はそれをどう受け止めたのか? 小さな疑問がいくつも積み重なっていき、ついには自分なりの解釈を足し込まないと理解が進まなくなる。いつしか自分で判断している。映画は解釈を押し付けてこない。それが意図してのものなのかは判らないが、この作品の味わいであったと思う。 ハリウッドでリメイクが決定されたらしいが、ハリウッドだとこのあたりは対極だ。解釈を押しつけてきそう。 それと随分笑わせてくれた。半分以上コメディである。笑いの間合いがなんとも良かった。主役のふたりは互いに悲劇を背負っていながらも、その世界は明るく楽しい。そこはやはり脚色で、現実は現実なんだろうけど、それも有りだと信じて許せる一線を踏み越えはしなかった。 で結論として。 面白いのは面白いけど、いまひとつ捕えどころのない感じであった。両極はやはり極まりすぎて、感情移入できる人物枠ではなかった。出来事すべて、もうひとつパンチが足りない。このあたりは作品の出来うんぬんではなく、私の期待と違ったというだけのこと。 (んー、この感想自体も曖昧で捕えどころのないものになった。映画は笑えて楽しかったが、こちらは面白くもなんともない……。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.11.01 00:52:26
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